決戦
観客席を埋め尽くす熱気が、闘技場そのものを巨大な釜のように煮立たせておった。
石造りの円形闘技場。その中央に立つ妾の耳へ、何万という歓声が濁流のように流れ込んでくる。
「決勝戦!!ついにここまで来たァァァ!!」
拡声魔道具越しの叫びに、地鳴りのような歓声が重なった。
空には幾重もの結界。
観客を守る防護術式が淡く青白く発光し、まるで空そのものに巨大な魔法陣が描かれているようであった。
(……なるほど)
これほどの結界を張らねばならぬほど、歴代の決勝戦は凄惨だったということか。
妾は小さく鼻を鳴らした。
観客席には逆立ちしても勝てない人間ばかりになったことで40位以内で敗退したチェロがいた。
負けたとはいえ入学者として選ばれるラインにいるチェロに男やら女やらが群がっていた。
やけに楽しそうに話している、既に交友の輪が形成されつつあり、その中には同じクラスになるかもしれない合格者も多くいた。
(全く...それに比べて私の相手はコイツか。)
対面には、既に男が立っていた。
肩まで伸びた荒れた灰髪、最低限に整えられた無精髭。
開きっぱなしの胸元。
口元には葉巻を加えて呑気にノーガードで吹かしておる始末。
どう見ても裏路地の喧嘩屋。
それも、場末の酒場で毎晩椅子を投げておる類いの男であった。
「ルーファ・リアス VS オボロ・シリュウ!」
「戦闘開始ッッーーー!!!」




