【150話後感想返信】陽だまり亭、食事をしてお花をもらおうフェアを開催
――陽だまり亭。大量の花に埋め尽くされる店内
ジネット「……あの、ヤシロさん。その…………すみませんでした」
ヤシロ「何がだよ」
ジネット「ミリィさんが困っているかと思って……つい……『すべて買い取る』だなんてことを……一言のご相談もせず決めてしまって……」
ヤシロ「今日明日中には枯れてしまう花が大量に残っていて、ミリィは用事で一週間四十二区を離れる……花を無駄にするのは悲しいけど、仕方ないね……なんて言われて…………」
ジネット「はい……それで、つい……」
ヤシロ「まぁ、お前らしいよ。いいんじゃないか。ミリィ、嬉しそうだったし」
ジネット「綺麗……ですね」
ヤシロ「そうだな」
ジネット「けど……わたしたちだけで楽しむには、少し多過ぎますよね……」
ヤシロ「ん、そうか……それだ、ジネット!」
ジネット「はい?」
ヤシロ「今日は、客にこの花を一輪ずつプレゼントしてやろう」
ジネット「それは素敵な考えですね! 食事をしてお花をもらおうフェアですねっ!」
ヤシロ「よし! そうと決まれば、ロレッタ!」
ロレッタ「はいです!」
ヤシロ「お前の出番だ! 盛大に人を集めてこい!」
ロレッタ「任せるです! あることないこと言いふらしてお客さんを掻き集めてくるです!」
ヤシロ「いや、ないことは言いふらすなよ!?」
――そして、数時間後
ヤシロ「……スゲェ、客が来たな……ようやく一段落した…………」
ロレッタ「ちょっと張り切り過ぎちゃったです……てへっ」
ジネット「でも、お花が全部なくなりましたね。みなさんとても喜んでくださったようで、一安心です」
ヤシロ「ロレッタ……なんて言って人を集めたんだよ?」
ロレッタ「もらうと幸せになれるお花を配るです! ……って」
ジネット「それじゃあ、幸せになれなかった方がいたら……」
ヤシロ「いや、それは大丈夫だ」
ジネット「大丈夫……ですか?」
ヤシロ「女子は綺麗な花をもらえただけでみんな幸せそうにしてたろ?」
ジネット「確かに、皆さん喜んでくださっていましたね」
ヤシロ「で、男連中は、ジネットに花を手渡してもらえただけで天にも昇る気分だったろうよ」
ジネット「そんなことは……」
ロレッタ「狩猟ギルドのウッセさんは四回来店してたです」
ジネット「ウッセさんは今日……きっと凄くお腹が空いていたんですよ」
ヤシロ「んなわけないだろう」
ロレッタ「みんな嬉しそうだったですよ」
ジネット「それなら、いいんですけれど」
ロレッタ「お兄ちゃんも、店長さんにお花をもらうときっと喜ぶです。ね、お兄ちゃん?」
ヤシロ「おっぱいに挟んで手渡してくれるならな」
ジネット「そ、そんなことはしませんよ!?」
ヤシロ「んじゃ、やっぱ俺はもらうよりも……」
――ヤシロ、一輪の薔薇をジネットに差し出す
ヤシロ「…………やる方が、性に合ってるかもしれんな」
ジネット「え…………くださるんですか?」
ヤシロ「今日はよく頑張っていたからな。それに、新しいフェアも成功したし……敢闘賞だ」
ジネット「はい……とても、嬉しいです」
――花を受け取り、そっと香りをかぐジネット
ジネット「ありがとうございます。ヤシロさん」
ヤシロ「……まぁ、俺が買ったわけじゃないがな」
ジネット「いえ、ヤシロさんから手渡してもらえただけで…………あ。お客様も、こんな気持ちだったのでしょうか……少し気恥ずかしくて……でも、とても嬉しい…………」
ヤシロ「だとすりゃ、大成功だな、今回のフェアは」
ジネット「はい」
ロレッタ「お兄ちゃん! あたしにはないですか!? あたしも結構頑張ったですよ!?」
ヤシロ「分かってるよ。お前にもちゃんと用意してあるから」
ロレッタ「ホントですか!? さすがお兄ちゃん! 優しいです!」
ヤシロ「ほら、これだ」
――ガジガジと、ツツジのような花が牙を鳴らす
ロレッタ「うひゃあ!? 懐かしの噛みつきツツジじゃないですか!?」
ヤシロ「俺とお前の、思い出の花だからな」
ロレッタ「こんな思い出はイヤですっ!?」
ジネット「もう、ヤシロさん。いじめちゃ可哀想ですよ」




