【150話後感想返信】ジネット、ヤシロのコーヒーの飲み方に思いを馳せる
――陽だまり亭、早朝
ジネット「ふんふんふふ~ん♪」(コーヒーを淹れている)
ヤシロ「個性的なメロディーだな」
ジネット「ふにょっ!? ヤ、ヤシロさん。おは、おはようございます」
ヤシロ「おぅ。いい匂いだな」
ジネット「なんだか飲みたくなってしまいまして、いつもより少し早起きを……ヤシロさんも、今日は随分早いですね?」
ヤシロ「あぁ、なんか目が覚めちまってな」
ジネット「あっ…………お手洗いでしたら、わたしのことは気にせず、どうぞ」
ヤシロ「別に、昨日の夜中にトイレに行きたくなったけど怖くて行けずにずっと我慢してたわけじゃないからな?」
ジネット「違うんですか?」
ヤシロ「そんな状況、月一くらいしかねぇよ」
ジネット「今月はもう二度ありましたけどね」
ヤシロ「……言うじゃねぇか、天才作曲家」
ジネット「うっ、歌のことは言わないでください……下手なのは自覚しているんですから……でも、なんだかお料理中は出てしまって…………お聞き苦しいものを、すみません」
ヤシロ「いや、いい。間が抜けてて、好きだぞ、俺は」
ジネット「うぅ……あまり褒められた気がしません」
ヤシロ「俺の分も頼めるか?」
ジネット「………………作曲、ですか?」
ヤシロ「違うっ! 俺、別に持ち歌とか欲してねぇから」
ジネット「あっ、コーヒーですね。はい。喜んで」
ヤシロ「じゃあ、俺はクレープでも焼くかな」
ジネット「いいですね。わたし、ブルーベリーのクレープ、好きです」
ヤシロ「んじゃ、それを二つだな」
――数分後、フロアに移動してコーヒーとブルーベリーのクレープを食す
ジネット「ん~……美味しいです」
ヤシロ「うん。コーヒーも美味い。淹れ方は爺さんに教わったのか?」
ジネット「はい。他のお料理は幾分自分なりのアレンジを加えているんですが、コーヒーだけは、あの時のまま、お爺さんのやり方の通りに淹れているんです」
ヤシロ「何か意味があるのか?」
ジネット「単純に、お爺さんより美味しいコーヒーが淹れられないだけですよ」
ヤシロ「こんだけ出来りゃ及第点だろ」
ジネット「だと、いいですけどね。うふふ。あ、そういえば。お爺さんは、コーヒーの飲み方でその人がどんな人かを言い当てる名人だったんですよ」
ヤシロ「コーヒー占いか?」
ジネット「占いではないですが……凄い的中率でした」
ヤシロ「でも、今の陽だまり亭メンバーには使えないな」
ジネット「くす。そうですね。みなさん、コーヒー飲みませんものね」
ヤシロ「俺は……どんな人間だって言われんだろうな」
ジネット「……きっと」
ヤシロ「ん?」
ジネット「…………いいえ。お爺さんでないと分かりません」
ヤシロ「そりゃそうか。……ん~、ヤバいな。本格的に腹が減ってきた。ちょっとフレンチトースト作ってくる」
ジネット「それならわたしが……」
ヤシロ「いいって。なんだか作りたい気分なんだよ」
ジネット「そうなんですか? では、お願いしますね。フレンチトーストを、『二つ』」
ヤシロ「……ふっ。おねだりが上手になったじゃねぇか」
ジネット「うふふ、ヤシロさんの影響だと思いますよ」
ヤシロ「あ~ぁ、こりゃ、爺さんが見たら怒られそうだな」
ジネット「さて、それはどうでしょうか」
ヤシロ「じゃ、ちょっと待ってろな」
ジネット「はい」
――ヤシロ、厨房へ入っていく
ジネット「ヤシロさんのコーヒーカップ……取っ手がテーブルの奥に向く独特な置き方。お爺さんが見たらきっとビックリすると思いますよ……だって、ヤシロさんのコーヒーの飲み方は、お爺さんの飲み方にそっくりなんですもの……」
――ジネット、コーヒーを飲み干す
ジネット「だからきっと、ヤシロさんはお爺さんと一緒で……温和で、鋭く、
人の心が分かって…………堪らなくお人好しな人……なんだと、思います」
――ジネット、ヤシロの真似をして同じようにカップを置く
ジネット「当たっているかどうかは、分かりませんけどね」




