【150話後感想返信】『強制翻訳魔法』も方言には手を焼かせられる
――陽だまり亭
レジーナ「店長はん。ウチ、パスタん時はスプーン使わへんさかい、なおしといてくれる?」
ジネット「え……直す? 修理、ですか? あの、どこも壊れていませんけども?」
レジーナ「え? ちゃうちゃう。なおしといてくれたらええねんで?」
ジネット「え?」
レジーナ「え?」
ヤシロ「『強制翻訳魔法』が混乱してるみたいだな……ジネット、スプーンは使わないから『片付けて』くれってよ」
レジーナ「そう! ソレやソレ! ソレしといてんか」
ジネット「あ、片付けるんですね。はい、かしこまりました」
ヤシロ「しかし、方言が翻訳されないのは『強制翻訳魔法』の怠慢だな。もっとしっかりしろよ、精霊神」
レジーナ「あぁ、そういうたら、人と会話しててたまにきょと~んとされることあるねんなぁ……あれ、方言がうまいこと伝わってへんかったんやな」
ヤシロ「学習するらしいから、そのうち通じるようになるとは思うけどな」
レジーナ「便利なようで、ちょいちょい不便なんやねんなぁ、『強制翻訳魔法』は」
ロレッタ「お兄ちゃん。ちょっといいです?」
ヤシロ「なんだ?」
ロレッタ「チーズを買いに行きたいんですが、場所が分からないです」
ヤシロ「あぁ、それなら……」
レジーナ「ウチ知ってるで。教えたるわ」
ロレッタ「それじゃあ、お願いするです」
レジーナ「あんな、この店出て、街道をバーっと行くと、大通りに出る前にアレあるさかいに、そこをチョチョっと曲がってズーっと行った後、キュっと曲がったらすぐやで」
ロレッタ「…………お兄ちゃん」
ヤシロ「なんだ?」
ロレッタ「……精霊神様がお怒りのようです。……あたしに、『強制翻訳魔法』が効かないです……」
ヤシロ「安心しろ。この場合、悪いのは精霊神の前に、そこの方言女だ」
レジーナ「ウチ? なんでやねんな。分かりやすぅ教えたったやん」
ヤシロ「バーとかズーが分かんねぇんだよ!」
レジーナ「そんなこと言うたかて、ここバーっと行ったらアレあるやろ?」
ヤシロ「どれだよ!? お前の道案内はノーヒント過ぎんだよ!」
レジーナ「そんなもん、現場に行ったら『あ、これやな』ってすぐ分かるわな」
ヤシロ「違うもんをソレだと思ったらどうするんだよ!?」
レジーナ「『アホやなぁ~』で、しまいやん?」
ロレッタ「しまいじゃないですよ!? あたし、チーズ買わなきゃいけないんです!」
ヤシロ「もういい。いいかロレッタ。街道を200メートルほど進むと道しるべが立っているから、あとはその道しるべに沿って進んでいけ」
ロレッタ「なるほど、『バー』は200メートルで、『アレ』は道しるべだったですね。それじゃあ行ってくるです!」(店を出ていく)
レジーナ「物分かりの悪い娘やなぁ」
ヤシロ「あんなもんで理解出来る方が珍しいっつの。つか、無理だから!」
レジーナ「『強制翻訳魔法』も、まだまだやっちゅうことやな」
ヤシロ「いやいや……」
レジーナ「せや。前に自分がハン200メートルグ教えた店あるやん?」
ヤシロ「ん? なんだって?」
レジーナ「ハン200メートルグやん」
ヤシロ「ハン200メートルグ?」
レジーナ「けど、道しるべに卵使ってるやろ? 卵道しるべルギーの子供がウチに薬もらいに来て、大変やったんやで?」
ヤシロ「は? なんだって?」
レジーナ「道しるべルギーやん。卵食べたら喘息みたいになんねん」
ヤシロ「いや、それはアレルギーだろ?」
レジーナ「は? 『道しるべルギー』? 何言うとんねん、自分?」
ヤシロ「はぁ!?」
レジーナ「ハン200メートルグで卵道しるべルギーを発症した子がおるねんって!」
ヤシロ「あー、分かった! 『バー』が『200メートル』で『アレ』が『道しるべ』に変換されてんだ!?」
レジーナ「『200メートル』が『200メートル』? なんや、また『強制翻訳魔法』のエラーかいな? ほんま、おかしな言葉使うんやないっちゅうねん。なぁ?」
ヤシロ「お前が言うなっ!?」




