【150話後感想返信】メドラ、オシナにあれこれ教わる
――四十一区、オシナの店
オシナ「アラ。アラアラ。メドラちゃん。包丁は腰だめに構えちゃだめネェ。ネコさんの手で押さえるネェ」
メドラ「にゃ、にゃー!」(包丁「ブゥンッ!」まな板「ズドンッ!……ぱっかぁ」)
オシナ「アラアラ、まな板真っ二つネェ。切るのは食材だけでいいネェ」
メドラ「……ま、まな板が貧弱なんだよ……っ」
オシナ「力加減覚えないと、ダ~リンちゃんのこと、いつか大怪我させちゃうネェ…………ほら、大人のコミュニケーションの時とか……ネェ?」
メドラ「おとっ…………や、やだよ、もう! なに言ってんのさ、オシナのバカッ!」
――メドラ、全力のビンタ
――オシナ「シュンッ!」
――メドラ、盛大に空振り
オシナ「モ~ゥ、危ないネェ……。当たってたら、オシナ死んじゃってたところネェ」
メドラ「あぁ、すまないねぇ……つい。で、でも、オシナが悪いんだよ! へ、変なこと言うから……」
オシナ「ナンでネェ? ソーユーの、興味ないネェ?」
メドラ「まっ………………まだ、早いんだよ、アタシとダーリンでは」
オシナ「メドラちゃんは、ホンットに奥手ネェ。…………つまみ食い、しちゃおかネェ?」
メドラ「(割とマジな殺気)……冗談はよしなね?」
オシナ「ジョーダンネェ。よしとくネェ~、くすくす」
メドラ「……んもう。からかうんじゃないよ」(照れ照れ)
オシナ「メドラちゃん、ホンット乙女ネェ~」
メドラ「もう! それより、オシナの素早さ、また上がったんじゃないかい? さっきのはアタシの目にも見えなかったよ」
オシナ「オシナは、厨房にいる時だけは無敵なのネェ。誰にも捕らえられないネェ」
メドラ「変わったヤツだよ、あんたは」
オシナ「メドラちゃんほどではないネェ」
メドラ「さて! 遊んでる暇はないんだった。この後ダーリンがこの店に来るから、アタシの手料理を食べてもらうんだ。しっかり教えとくれよ」
オシナ「ま~かせてネェ。とっておきのお料理で、ダ~リンちゃんの胃袋握り潰しちゃうネェ!」
メドラ「潰すんじゃないよ! 掴むんだよ!」
オシナ「それと同時に、ちょっとドジで可愛い女の子を演出すれば、ダ~リンちゃんの心も握り潰せるネェ」
メドラ「潰すんじゃないって! …………で、ドジで可愛い演出って、どんなんだい?」
オシナ「興味あるネェ? ホンット、メドラちゃんは乙女ネェ~」
メドラ「もったいぶらずに教えとくれよ!」
オシナ「野菜を切ってる時に、指先をちょっと切って、『指切っちゃった~、アタシ、おっちょこちょいだから~、てへぺろ☆』ってすれば、男はだいたい堕ちるネェ」
メドラ「そ、そんな裏技がっ!?」
オシナ「ちょっとやってみるといいネェ」
メドラ「セ、セリフとか、アタシ、苦手だよ…………歌劇は好きでよく見るけどさぁ……」
オシナ「歌劇のヒロインになったつもりで、やってみるネェ」
メドラ「う、うん…………え~っと……」
ヤシロ「ち~っす! 呼ばれて来たぞ~!」(店に入ってくる)
メドラ「ダ、ダーリン!?」
オシナ「アラ。アラアラ? 随分早かったネェ、ダ~リンちゃん」
ヤシロ「だから、そのダ~リンちゃんってのさぁ……まぁ、いいけど。用事が早くに終わってな。迷惑だったか?」
オシナ「ううん、ううん。心配ない問題ないナイナイネェ~。ね、メドラちゃん?」
メドラ「あ、あぁ! (コソッと)け、けど……料理がまだ……」
オシナ「(コソッと)今回は、さっきの裏技だけ披露して、手料理は今度にするネェ」
メドラ「(コソッと)そ、そうだね……じゃ、じゃあ……指を切り離せばいいんだね?」
オシナ「(コソッと)ちょっと切るくらいがいいネェ~、切り離しちゃうとドン引きするネェ」
メドラ「(コソッと)そ、そうかい? じゃあ……」
――メドラ、包丁を指の上に振り下ろす。包丁「ガキィン!」……包丁が真っ二つに割れる
ヤシロ「何やってんだ!?」
メドラ「あ、あの……指……は、切れてないから…………ほ、包丁壊しちゃった~、アタシ、すっとこどっこいだから~、テヘペロ☆」
オシナ「メドラちゃん……おっちょこちょいネェ~」
ヤシロ「いや、すっとこどっこいで合ってるよ…………」
メドラ「ど…………(コソッと)どうしよう!? アタシ、セリフ間違えちゃったっ!?」
オシナ「(コソッと)うんうん。そこ、そんなに重要じゃないネェ。包丁壊しちゃったしネェ」
ヤシロ「……ったく。おい、メドラ」
メドラ「は、はいっ!?」
ヤシロ「手、見せてみろ。怪我してないか?」
メドラ「……へ?」
ヤシロ「まぁ、どうせ……俺に食わせようと慣れない料理なんかをしたんだろ? 気持ちだけもらっとくから、あんま危ないことすんな……って、想像通り傷一つついてねぇけど……鋼かよ、お前の肌」
メドラ「ダー……リン?」
オシナ「アラ。アラアラ。ダ~リンちゃん、優しいねぇ」
ヤシロ「オシナ。悪いが俺とメドラの分、飯を作ってくれるか?」
オシナ「はいはいネェ。とっておきのお料理、振る舞っちゃうから、待っててネェ」
メドラ「オ、オシナ……(コソッと)アタシ、どうしたらいいんだろう? 呆れられてんのかね?」
オシナ「(コソッと)そんなの、本人に聞けばいいネェ。ほら、隣座って、お話してくるネェ」
メドラ「う……うん…………」
ヤシロ「メドラ。料理、上手くなりたいのか?」
メドラ「へ!? あ、……う、うん……まぁ、アタシなんかには無理かもしれないけどさ……」
ヤシロ「んなことねぇよ。料理なんかやってりゃ出来るようになるさ。んじゃ、俺から一つアドバイスをしてやろう」
メドラ「ホ、ホントかい!? な、なんだい!?」
ヤシロ「包丁は、腰だめに構えるな」
メドラ「…………うん、次から、気を付ける」




