↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トラッシュボックス ~消えたいヒカリと消えないアイツ~  作者: たっきーぷらす
中1編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/72

Box.9 弱点

『…始め!!』


 僕は大和君と対峙する。ここに来る途中、マイカさんに言われた。

『教えとかないと、あんたとチームで何かするときに危なっかしくてしょうがないじゃない?全員がリブじゃないのよ』

 当然だ。ルドを殺したのは僕だ。この能力は誰かにぶつかったり、躓いたり、肩を叩かれたり、握手をするだけでもその人を殺してしまうかもしれない。


「僕はここで、自分の力を学びます」

『何か言ったか?』

「いえ。よろしくお願いします。」


『殊勝だな。まぁ俺も死ぬ気はない』

 大和君は本気なのか冗談なのか、からからと笑う。

『ただ、何もできずに終わっては、沽券にかかわるのでな』

『俺だけの能力を知っているのはフェアではないから教えておこう』

『俺の能力は重量操作だ。知っていたか?』


「あー。確か…力強い、としか。」リブのメモには書いてなかった。

『その言い方、リブだな』『そういう風に見えるのだな』

『まぁいい。見せる方が早い。行くぞ。構えろ』

「は、はい!」実際のところ僕に構えなんていらない。少し重心を落とすだけだ。


『始める前に言っておくが…』『バリア能力に最初から突っ込む馬鹿はおらん』

『遠距離からの攻撃でバリアの強度や範囲を測るのが定石』

「僕でもそうしますよ」

『…では、そうしよう』


 大和君の攻撃が始まった。手始めに横にある岩を僕に向かって蹴り飛ばす。音が軽い。とんでもないスピードで飛んでくる、拳ほどの大きさに砕けた岩が、いつかの紙屑みたいに僕の輪郭に沿って抉られ、そのまま後ろに転がって…いかない。

『ドガァァぁア!!』

 

 思わず後ろに振り向く。なんだ、あの重い音。半分抉られているはずなのに、それでも地面に大きくめり込んでいる。「えぇぇぇぇ」

 二発、三発、四発、なんでこの重量のものをたやすく打ち込めるんだ?これが能力!?冷や汗と共にぞくぞくする感覚を覚える。軽くして高速で打ち出した瞬間に重くしているのか?…さて、負けはしないだろうけど、僕が勝つにはどうすればいいんだろう。倒してマウンティングでも取る?この体格差で?


 



「ふむ。単純な防御力は大したものだ。」「更に展開中も動けるか」

 うーむ。どうやら、当たった衝撃も届いていないのか。盾のようなただの障壁なら、後方に押し込むぐらいはできるものだが、三日月のように抉れたあの岩の跡はなんだ?ふむ、これは確かに警戒に値するな。だが、こういう強いバリアは何がしか条件があるものだ。回数限定の完全防御であったり、効果範囲が全身を覆えないものであったり、他には…


「制限時間が極端に短いとか、な」試してやろう。

 




『ぬうぅぅぅうん!!!』大和君の唸り声。そんなん初めて聞いたわ。

 地面を割るほどの衝撃とともに、舞い散る岩石、小石。あんなに高く?砂ぼこりで視界が遮られる。これまさか全部!?…とんでもない質量を与えられて、落ちてきた。

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!


 はぁぁ?僕からすると、問題ないとはいえ、普通に殺意高くないこれ?僕でなければ必殺じゃん。リブはどうにかできるの?これ。

 10秒、20秒。絶え間なく続く絨毯爆撃。砂ぼこりがすごいな。目に埃が入ることはないけど…呼吸が、まずい。体の中に、能力は展開できない。このまま重い埃(なんだそれ?)を吸ったら、体が内側から引き裂かれるんじゃ?

 さすがだ。こんなに早く僕の弱点が見つかるなんて。どうする?慌てて砂塵からでたら、この状況がまずいことがばれる。

 

 30秒、40秒、50秒。そろそろ限界だと思ったころに、砂埃が晴れて周りが見えていた…耐えきった。マイカさんの隣に座っている委員長が唖然とした顔でみている。はっとして立ち上がった。


『時間よ。そこまで』

『耐えきられたか。ふむ』

 僕は大息をつく。危なかった。耐えきれなかったら、死んでますよ?

『桐生、交代だ』


『朝霧君、インターバル取るけどどうする?』

「大丈夫、行けます」息は整った。

『では次、桐生君』前に出る、最悪くん。



「いくで、転校生」

 …砂埃が晴れ、無傷で現れた、すかしたやつ。わいは見た。あいつが無傷なことやない。あいつの服が土で汚れていることや。何でバリア能力なら汚れが付く?

 発動に条件があるんやろ。あの弾幕で服に傷がついとらん。効果範囲は間違いなく全身やし、カウンタータイプやと、あの数の攻撃は対応できんで能力が焼き切れる。つまり、あいつのバリアはまず間違いなく常時全身発動タイプや。

 このタイプはレアもんや。出力コントロールが下手くそやと日常生活がままならんし、まともに生きられんやつもおる。にも拘わらず、あいつは普通に歩いて、ここに来た。教壇を触っとったし、先生も普通に背中を押していた。

 …答えは分かったで。予想通りなら、わいの―Transcendence—なら対応できる。ま、予想が外れててもどうにかなるやろ。

 チャンスは…1st contactや。



『始め!』


『まずは握手しよか、転校生』

 手を差し出してくる。差し出された手を握る。次の瞬間、最悪くんはやっぱり最悪だったと思い知る。

『ええ子や。』『悪いな。勝たせてもらうわ』

「よろしくおねがいしまぁぁっぁぁ、ぃたっ」握った手を支点に、そのまま地面へ落された。そして衝撃!!!

「がっ…はっ」内臓を内側から思い切り蹴り飛ばされたような衝撃が走る。

「おぇぇ、、は、がは、が」声にならない。呼吸ができない。何をされた?


『悪いなぁ、転校生』『思った通りやったわ。』

 地面にはいつくばって『最悪くん』を見上げる。

『お前のバリアはどうも、一定以下のスピードでぶつかるものには反応せぇへん』

『だから、消えずに服の汚れが残るんや』『知っとったか?』知らない。

『と言うことは、ゼロ距離から打ち込む<勁>には弱いんちゃうかと思ったわ』

 勁?そんなもの、現実にあるのか?と思う必要もないことは、痙攣する腸が教えてくれている。

『万が一腕が消え始めても、ワイの能力の超反応ならまぁ最悪、皮一枚持ってかれるくらいやろ、ってな。』

 完全にやられた。能力の解析が早すぎるし正確だ。これが経験の差…。



『ちょっと、ちょっとストップ!』委員長が駆け寄ってくる、が、

『————っ!』その前に白い稲妻が突っ込んできた。リブだ。バチバチと放電しながら、両腕と白い髪を幾重もの剣に変えて、『最悪』に向ける。こないだのはまるで本気じゃなかったんだ、と一目でわかる。

『ちょっと!そっちもストップ!やめなさい!』



『ルカ君』ばちばちばちばち。空気が変わる

『これ以上やったら』がいーん、がいーんと、金属の擦れぶつかる音。

『私…怒るよ?』



 ちょっ、なんでリブが出てくんねん。まずい。このままやと刻まれる。

「あ、いや……」「…悪かったな、転校生」お、ばちばちが少し収まったか?

「ヒカルやったな?」

『はぁ、はぁ、がはっ!』動きはせぇへんが、目線はこっちを睨みつけとる。まだまともに息できんみたいやな。さすがにやりすぎたか?

「お前、モヤシみたいで、ほんま放っといたら死にそうやから、教えたったわ」

「精進しー」こわ、睨んでくるこいつの目力、なんか飲まれそうになるのぅ。

『ルカ君?』

 あかーん。ばちばちがまた強なった!けっ。何やねん、あの甘えんぼ。腹立つわー。

「カナエ、そいつ診たってくれ」

『もう診てるわよ』『今、呼吸筋の麻痺を半分こっちに移してる』

 なら、死にはせんやろ。このままステージからとんずらや。



『見事だ』『やるではないか』グータッチを求める大和。

「不意打ちと、半分以上お前のおかげや。先鋒、助かったわ」

『俺は勝つつもりだったがな』がはは、と笑う。

 なに負けた感じになってんねん。正直、お前とぶつかったら、わいは勝てる気がせぇへん。…こいつも立派な化け物や。

 


『うわ、息しにくい。しんど』『なんてもの打ち込んでんのよ、アイツ』

『はい、仲良しタイム終了~。教室に戻りましょうか』

 マイカさん、どこが仲良しタイムだよ。委員長のおかげで、息は出来るようになったけど、胃腸が踊り狂っている。動くと吐きそうだ。結局、僕はその日の残りの授業を、教室の隅(楊の後ろ)で横になって過ごしたのだった。



 昼休み、食欲はあるはずもなく、突っ伏しているとリブと委員長の声が聞こえた。

『ひ~か~る~、私が後ろだったのに~!』

『今日は無理よ、そっとしておきなさい』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。