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トラッシュボックス ~消えたいヒカリと消えないアイツ~  作者: たっきーぷらす


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Box.7 Interlude ~side LIVE Vol.1~

 私の一番古い記憶は3年前。10歳の時だ。それより前から箱庭にいたみたいだけど、何も覚えていない。今、13歳の中学1年生。好きな動物は猫。好きな食べ物はカレー。クラスメートは11人。うん、覚えてる。



 私はリブ。そう呼ばれているもの。私がリブだってことは、マイカさんやタローさん、学校の皆や、食堂のおばちゃん、いろんな人から情報を集めて納得したし、私はこの名前が気に入っている。だから私はリブでいい。



 私は今の自分が本当の自分かどうか分からない。でもみんなの記憶にある私が今の私だし、以前の私は小さな私だったから、多分あっているんだと思う。



 私はマイカちゃんと暮らしている。孤児だった私を育ててくれているのがマイカちゃん。マイカちゃんは普段は優しい。朝は起こしてくれるし、おなか一杯ご飯食べていいよ、って言ってくれる。4月2日が私の誕生日、って決めてくれたのもマイカちゃん。毎年お祝いしてくれているのは、アルバムを見たらわかる。でもマイカちゃんは怒ったら鬼みたいに怖くなる。以前本気でケンカをしたらマイカちゃんの家が無くなっちゃったから、タローさんに怒られた。しんぐりてぃー?が喧嘩をするな、って言われた。だからなるべくケンカしないようにしてる。



 私は自分の体をバラバラにできる。作り変えることができる。手足の長さも自由に変えられる。多分、体を大人にすることもできる。赤ちゃんにするのは小さすぎるから無理かな。

 頭をばらばらにしたらどうなるんだろう。何度か試したことがある。頭をばらばらにすると、すぐに意識があいまいになる。一回目はすぐにやめた。二回目はもっと長く。100まで数えて止めた。


挿絵(By みてみん) 


 三回目は1年前。どこまでも広く広く広がっていく自分の色が、まるで黒い絵の具に混ざって、溶けて、消えていきそうになって、怖くなった。

 そう思った瞬間、元の自分に戻った。でも楽しみにしていた誕生日パーティーを覚えていない。せつぶんでマイカちゃんに向かって豆を投げたことは覚えているのになぁ。



 私の—Particle-は、マイカちゃんが付けてくれた名前。最初ぱーてぃ来るだと思って『やったー』って言ってたのは内緒。この能力は『普通の異能と違って、汎用性が高すぎる』攻撃面も十分だけど、防御面が無敵すぎる。相手の攻撃を全部無効化。更に死にそうになったらリセット機能付き。でもおばあちゃんになって死んでしまうとき、私死ねるのかな。『能力はイメージが大事』よくマイカちゃんが言っている。

 いまぞっとしたよ。イメージしちゃった。おばあちゃんになっても私、若返れちゃうんじゃないか、って。何百年も私一人なんて、嫌だよ。


 私は春になって中学生になった。新しい制服。何だか大人になったみたいで嬉しい。同じ時期にバリアみたいな能力の男の子の話題がみーてぃんぐに上がった。バリアってばちってするやつだよね。ばちばちするのってそんなに強いのかな。

 もともと強い能力を持った子供をスカウトするのは箱庭の仕事だけど、お迎えを嫌がる子もいるから、しんぐりてぃーの私が迎えに行くのを手伝うことがある。今回の子は男の子みたい。場所は…箱庭からはそう遠くない。


 マイカちゃんが彼のお家にお話ししに行くときに、私も一緒に車に乗った。『いざというときに場所が分かっていた方がいいでしょう?』そうなのかな。帰り道、彼が学校から、さっきまでマイカちゃんがいたお家に帰っていくのを見た。顔は見えなかったけど、なんだか寂しそうな背中だった。彼の猫かな?黒猫と遊んでいるようだった。私は猫が好きだ。そういえば猫の出てくる絵本も好きだったな。




 シャワーで濡れた髪を拭きながら、ノートパソコンのスイッチを入れる。


 両目に緑の光が当たって、画面が起動する。今日のレポート欄だ。昨日と一昨日さぼったから、悪魔のアイコンがカレンダーについている。


 むー。なんかむかつく。今日のページをクリック。何書こうかな。




 夏になって彼が箱庭に来たとき、マイカさんに言われて彼の中を覗き込んだ。不思議な世界だった。彼は気付いてなかったみたいだけど、その世界は彼の前にしか明かりが無かった。彼の後ろには、黒い煙がもやもやしてて、体にまとわりついていた。彼が何か背中を怖がっているのがよく解った。


 そうそう、彼に初めて触れたとき、『腕が無くなっちゃってた』のは本当にびっくりした。無くなったところは戻ってこなかったんだもん。ちょっと焦った。マイカちゃん、彼の能力は触れたものを分解する、って言ってなかった?これ違うよ。分解だけなら戻せるもん。私、燃えても戻せるし、溶けても戻せるよ?取り敢えず、髪とか他の場所から材料を集めてごまかしたけど、ばれなかったかなぁ。腕を4本にする練習しててよかった。



 彼の猫の前脚は、実はすぐに見つかった。というか、私が持ってた。てへ。彼が起きる前にベッドの横に落ちていたのを拾ってたんだ。探してるか聞いてみたけど、やっぱり大切だよね。でもどうしようかな。この前脚、彼のもやを晴らす、きーあいてむだと思うんだよね。何かできないか、またかなちゃんに相談してみよう。



 私は今日から、『いちのせ りぶ』


 あさぎりの『あ』の次は『い』

 彼の一個後ろの背中側。だから、いちのせ。

 一ノ瀬…なんちゃって。



 今日の彼とのデートは楽しかったな。デートって思うと、どきどきするね。普通にできたかな。泣いてる彼をみるのもどきどきしたけどね。お母さんってこんな気持ちかと思ったよ。

「君の背中は、この一ノ瀬さまが守ってあげるよ、ヒカル!」「だからまた遊びに行こ?」




 メールを送ってパソコンを閉じる。はい、昨日と今日のレポートおーわり!

 あー、お腹すいたな。マイカちゃんとラーメンでも食べに行こうかな。



「ねぇねぇ、マイカちゃーん?」

挿絵追加しました。


読了ありがとうございます。

本作品はカクヨムに先行連載しております。大体1W遅れでなろうに投稿しています。当面は金土日に1話ずつ更新の予定です。よろしくお願いします。

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