↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トラッシュボックス ~消えたいヒカリと消えないアイツ~  作者: たっきーぷらす
中2編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
38/71

Box.38 恩寵

「良くないわ、最近」

 何だかうちのクラスが浮ついてる。巧と編音が付き合いだした時には、こんなことはなかった。すぐに巧が箱庭を離れたからだ。でも今回は違う。大なり小なり皆が注目して、何なら一年以上見守ってた二人がようやくカップルになったのだ。


『クラスが幸せオーラに満ちてますね』

「プリヤ、あんたが幸せ2倍にしてるんじゃないでしょ?」

『そんなことしたら勿体ないですよ〜。お寿司や刺身で美味しい天然物があるのに、養殖物食べないですよね?』

「自分の能力を、養殖って言わないの」

「ほらバフとかデバフって、あんたの好きなゲームでも重要でしょ?」


 …だめだ、プリヤがサリーを着て寿司屋に行っているなんて、シュール過ぎる。



挿絵(By みてみん)



 幸せの素になっている一人は私の長年の親友だ。私の知る限り、きっとこれは彼女の初恋だったと思う。色々紆余曲折はあったけど、初恋相手に2回恋をするという珍しい出来事を経て、果たして願いは成就することになった。


 彼女を射止めたのは一年ちょっと前に転入してきた男の子。最初は、能力こそ異次元だけど、ひ弱で泣き虫なチビっ子だった。でもリブが記憶を失った事件がきっかけだったんだろう、そこからの彼は一心不乱、猪突猛進、みるみる逞しさを増していった。今では異能者の頂点、Singularityの座に手が届くところにいる。



「あー私も恋したいなぁ」

『箱庭で探すと、選択肢が多くないですからね』


 フリーかどうかは置いといて考えても、ルカとか大和は思考が脳筋すぎるのよね。楊は…モテるタイプじゃないわぁ。巧はここにいないから、そもそも無理。ハヤトは…あんたと仲良さそうなんだけど?そうやって考えると、やっぱりヒカル君が一番なのよね。


 

「…失敗したな」

『何がです?』

「最初から……〈無い〉って言っちゃったこと」

『?』

 恋愛対象じゃないって最初に、何なら会う前に言ってしまっている。今更、あの子と張り合えるはずもない。そもそも自分が悪いのだ。私の初恋は、恋のかたちになる前に消えてしまった。



 

 夏の暑さはとうに過ぎ、朝晩肌寒さを感じる季節。マイカ先生からミッションを言い渡された。



『ちょっと男女4人で温泉旅行に行ってきて?』

「…何でですか?」

『君達の先輩との共同訓練よ』



 先生の指示が唐突なのはいつものことだ。15歳で一人前に扱われる、私達箱庭の学生。1〜2個上の学年がそうなるわけだけど、彼らの哨戒任務に、研修として同行することになったらしい。


 同行員は私とプリヤ。初回なので私が選抜されたのだろう。予定外に事件に遭遇した4人は恐らく選考から除かれている。


『私、あまり他の学年の方と馴染みが無いんです。でも、カナエさんは顔が広いですよね?』

「そりゃ学年代表やってたら縦の知り合いは出来るわよ。そんなに人数も多くないし」

「ちなみに箱庭の構成はこんな感じよ」


「高3 男2人 女1人 計3人 (二人出向)

 高2 男2人 女2人 計4人 (二人出向)

 高1 男4人 女2人 計6人 (一人出向)

 中3 男5人 女3人 計8人

 中2 男6人 女5人 計11人 (一人出向)

 中1 男4人 女6人 計10人     

 小等部 男子15人 女子18人     」


『全部で50人くらいなんですね』

「小学生はこの先増えるかも知れないけどね」


 高校生になると、各々の能力に見合った企業に出向したり、巧のようにシステム作りに奔走したりして、箱庭にいない人も多い。計画書によると、今回は高1の二人を主軸にして、私とプリヤがサポートだ。



「白鷺先輩が出向してるから、あの学年、男4人に女子1人っていう悲惨な状況なのよね」

『女性の方は、お一人なんですね?』

「知らないの?伊吹司先輩。リブに負けず劣らずの箱庭の守護神として君臨してる人よ?」


 そして彼女が今回の任務のリーダーだ。—Grace—。プリヤのような概念系能力。今回は私達の研修を兼ねているわけだけど、人選が先輩一人で過剰戦力だ。そして、もう一人は………げ。


 —Ghost—久遠先輩。



 マイカ先生はこうも言っていた。

『警戒訓練ってトコだと思うけど…』

「…思う、って…」

『紅葉楽しんできなよ?』

 こういう時、警戒ですまないのが、14年の私の人生訓だ。引きが悪いとも言う。そしてその通りになった。


 なんでGhostと一緒に温泉なのよ〜。肝試しツアーになってしまうじゃない!



『カナエさん、箱庭から今回の宿泊地、A温泉まで結構あるのに、8時集合、現着10時ですよ?大丈夫なんですか?』

「それは大丈夫と思うよ。説明するより見たほうが早いわ」






 翌朝、集合時刻の8時。


 …の10分前。向こうから赤毛の背の高い女性が手を振りながら近づいてくる。伊吹司先輩だ。

「お久しぶりです。司さん」がっちり握手を交わす。

『久しぶりだね、叶。そっちの子は…初めまして、かな』

『神代=プリヤ=ラーナです。プリヤとお呼びください。今日はよろしくお願いします』

『私は伊吹司=いぶきつかさ。司でいいよ』

『プリヤは礼儀正しいね。それに引き換え…』


 横にいた猫背で髪がボサボサの痩せた男がつまみ上げられる。…見たことなかったけど、この人が。

『おい、ゲンキ。挨拶ぐらいしなよ?』

『あ、ども。久遠元気ッス。よろ』

「よろしくお願いします。久遠センパイ」

 

 元気さなんて欠片もない、名前負けした人だ。

 あー、とりあえず新たな出会いにはなりそうにないわ。司さんは結構好きな人だから、そこは良かった、かな。


『それじゃ出発だね』『皆、私に掴まって』

『行くよ!―Grace―』


挿絵(By みてみん)



 ふわっと浮いたかと思うと、早送りのような超スピードで、周りの景色が流れていく。


『えぇ?』

 プリヤが驚くのも無理はない。目の前に温泉街が広がる。出発してものの1、2分。目的地に到着したのだ。

「ほら、見たほうが早かったでしょ?」

『プリヤちゃん、大丈夫だった?』

『え、あ、はい。司さんはワープ能力なんですね』

『あー、さっき使ったのはワープというか、高速飛行能力だけど、私の能力はワープじゃなくて、恩寵』

『おんちょう?』



 ―Grace―

 SSランク能力。何か1つ、任意の恩寵を術者のイメージ通りに術者に与える。



 リブが頭角を現すまで、箱庭最強だった能力だ。

上級生(高1)初登場です。設定上は

学年代表 伊吹司  能力 Grace 

     清原隆成 能力 Expansion

     久遠元気 能力 Ghost

     白鷺肇  能力 Penetration

     月見塔矢 能力 Line   

     尹 泰悟(ユンテオ) 能力 Phase


ストーリーに出てくるかどうかは分かりません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。