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トラッシュボックス ~消えたいヒカリと消えないアイツ~  作者: たっきーぷらす


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14/27

Box.14 前期中間試験 前編

 6/22(月)箱庭に来て10日が過ぎた。週末に突然マイカさんから『来週中間テストだから』と言われた。今回も聞いてない。横になっていた最初の数日に説明があったのかもしれないが、少なくとも覚えていない。箱庭の学校は前後期の二学期制で、試験は中間と期末がそれぞれ6、9、12、3月にある。今回はその6月に当たるらしい。『成績悪くても退学になるわけじゃないから、頑張ってね』だって。


 この10日間思ったことは、この学校の授業内容は恐ろしくハードだということだ。これはまずい。自己紹介で勉強のことなんか言うんじゃなかった。恐らく『イメージが大事』というマイカさんが、色んな知識、現象に触れられるように組んだカリキュラムのおかげで、中身が恐ろしいボリュームになっている。そして何より恐ろしいのが、隣のルカでさえ、平然と授業を受けていることだ。本当にまずい。


 授業中は常に楊君が11人に—Connection—を繋いでいる。最初は恐ろしかったが、意外と考えることが筒抜け、というわけではないらしい。『そんなの全部通してたら訳わからなくなっちゃうでショ?』とのこと。通信の深さ?を調節できるらしい。そのチャットルームのような状況の中で、分からないことや難しすぎることは梓さんが解説をしてくれて、巧君が論拠を添付、編音さんがまとめて、皆のタブレットにデータを送り込んでくれる。すごくDXが進んでいて先進的だ。だけど、すごい人力だ。


 体育の授業も過酷だ。きっとマイカさんは『能力を使うにはまず体力』と思っているようで、15分インターバルでとにかく走れ、筋トレをしろと追い詰めてくる。ここではルカと大和君がダントツなのがよく分かった。大和君はダンベルを軽くしているのかと思ったら、重くしていた。『次は負けんからな!がはは』だって。二人の次点はリブ。だけど体力は負けても戦闘力は圧倒的だ。まず手数が全然違う。髪と腕を使って常に全方位から攻撃を繰り出す感じで、二人を同時に軽くあしらってしまう。多分人の形をしている敵はどう頑張っても勝てないんじゃないかな。この感じだと僕はきっとしばらくモヤシ扱いだろう。


 初日に味わった決闘スタイルは上位三人と、意外な隼翔くんがよくやっている。隼翔君は何か角の生えた悪魔とか、ドラゴンみたいなのを召喚して闘っている。これ本人の特訓になっているのか?闘っているときの隼翔君はキャラが違う。性格は召喚したものによって変わるみたいだ。『我を楽しませてみせよ!』とか『むふはははっはは』とか。


 運動が終わったら、昼食。みんなよく食べる。僕もしっかり食べて、まずは身長を伸ばさないと。リブと目線が同じなのは何となく恥ずかしい。



 月曜の放課後、マイカさんが中間テストの時間割の説明をしに来た。渡されたプリントによると、水曜朝6時集合?試験時間12時間?時間割空白?場所は…富士山麓!?

『今回の中間試験は、この異能者組織の壊滅を持って代えます』

『よっしゃー!きたでー!!』ルカがガッツポーズしながら大声で叫ぶ。なんじゃそりゃ。

『忘れてた。中等部からはこれがあるんだった』と、頭を抱える委員長。

 

『箱庭中等部1年生の、初陣よ。頑張ってね』…あぁ頑張ってねってのは、このことか。


 箱庭に異能者が捕らえられ、閉じ込められるって言われてる理由の一つがこれだ。異能者は往々にして社会からはじき出され、徒労を組む。そして犯罪に走るものも少なくない。そういった組織、集団の中で、学生の能力に見合ったと判断された連中が演習としてあてがわれる。僕たちの力試しと、箱庭の異能者の有能さを知らしめるために。ついでに中間試験や期末試験の代わりにされることもある。


 水曜朝6時、箱庭物資搬入口に集合。そのまま直通エレベーターで地上に出た。朝日が眩しい。2週間ぶりの地上と、本物の太陽だ。少し感動してると、バラバラバラバラ…明らかに軍用と思われる、ガトリングガンが左右についたヘリが下りてきた。


 僕たちは促されるままヘリに乗り込み、40分ほどで目的地へ到着する。富士山麓の広大な森林地帯、通称樹海。ここが今回の試験会場だ。


 『相手は犯罪者だから、最悪死なせてもいいけど、死なせたら減点にします。だからなるべく殺さないように』気合の入った新品の迷彩服をきたマイカさんが物騒なことを言う。

『では07:00、作戦開始。迎えは12時間後にここね。水と食料は置いておくわ』

『注目の採点方法は…ひ、み、つ』

 そう言い残すと、ヘリは11人の迷彩服を着た中学生を置いて、飛び立っていった。

挿絵(By みてみん)


『あー!もうやってらんない!トイレもないところに半日なんて!』と委員長。

『叫ぶだけ無駄よ。それならさっさと終わらせて帰りましょう』と梓さん。

 この二人が司令塔。

『私、トイレなくても大丈夫』と裾をくいくい引っ張りながらリブが謎のアピールをしてきた。『理由、知りたい?』いや、今はいいかな。


『分かってるわよ!』『楊、いつもみたいに通信展開しといて。私と梓だけ別に単独で』

『分かりまシタ』


 いつものように接続申請の意思表示が頭の中に出現する。YESだ。このシステムは楊の親切心らしい。『以前勝手に繋いだら、怒られまシタ』当たり前だ。

『昨日決めた通り、リーダーは叶、サブリーダーは私』頭に梓さんの声が響く。

『5㎞先の目標地点まで速やかに行軍』受けてリーダーが続ける。

『本来は拠点防衛に人員を割くべきだけど、今回は拠点なんて無いようなものだから、補給物資をもって、全員で行動します』

『11人を3班に分けます。先頭のA班、朝霧君、ルカ、プリヤ、私』

『プリヤと朝霧君が先導ね』適任だ。プリヤさんはマジで道に迷わない。

『B班、大和、隼翔、楊』『男くさい班だな、悪くない』

『能力、戦力的にこうなるの。通信役の楊は真ん中。大和も隼翔も前後の班のサポート行けるでしょ』

『荷物もお願いね』

『うむ。適任だ』

『殿のC班、リブ、梓、巧、編音。ここが要だからリブはしっかり三人を守って』

『あい』

 昨日、当然のようにルカとのトレードを主張していたのだが、散々揉めておいたから、リブは今日は文句を言わなかった。


『脳筋三人は地図なんて覚えていないでしょうから、他の班員について行って』

 不満そうな感じで、リブが自分の顔を指さしながら僕を見る。そうそう、君がその三人の一人だね。


『では作戦開始。昼過ぎには終わらせるわよ!』


『朝霧君、よろしくお願いしますね』

 サリーを着ていないプリヤさんは初めて見た。

「はい」

『方向は指示するから、バリアを展開しながら進んでいってね』

『プリヤは朝霧君から少し離れて歩いて。』

『は~い』

「わかりました」先導として、枝打ちもしつつ進んでいく。

『ヒカルが先導やと、通った後がきれいさっぱりやのう』

 振り返ると確かに森に空洞が出来たみたいに、ぽっかり穴が開いて道になっている。

『まぁもうちっと、道が広ければいうことないけどな!』

「一言多いよ」暗に背が低い、と言われている。




 —————敵拠点。樹海にあるコンクリートの簡素な建物の中に男が5人。

『おいお前ら、誰かこっちに近づいてくるようだ』

『人数は10人ちょっとなんだな。ずいぶん小柄なやつもいるんだな』

『聞いたことがある。こいつら箱庭の学生部隊じゃねーの?』

『ははは、俺たちなめられてんな』

『やるか?それともさっさとずらかるか?』

『所詮ガキどもだ。なら、何人か人質にするもよし、金目の物を奪うもよしだぜ』

『せっかく見つけた拠点です。捨てるのはもったいないですね』

『やっちまうか』

『—Contra—が久々に火を吹くな』

『頼りにしてますよ。この中ではあなたが最強です』

 


『だってさ…。こんなこと言ってるよ』と目標拠点まで残り2.3km。中間地点で巧君が言った。


写真は誰が誰でしょう?ちょっと細かく設定するのは難しそうでした。雰囲気、ということでお願いします。


3話にも挿絵つけました。

集英社のやつに応募しようと思って、25話辺りまではアップロードを頻回にしています。お付き合いください。

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