第48話 貴族のお願い断るって普通考えればNGだけど、まぁ断ってみたくなっちゃうよねぇ
だが断るッ!!(ドーンッ!!)
えー、すっぽんの地団駄やまな板の鯉という言葉がありますが、まぁどちらもどうしようもない・なすすべがない、といった意味になるんですよね。めったに使われない言葉ではありますが、よく知られている言葉としては無い袖は振れぬ・縄にも藁にも掛からぬ・後悔先に立たず、てなのもあります。いきなりでびっくりしましたよね。私もそうなんです。なんでこんな話をしたかっていうとですね............
「もう一度言うわ!!私の騎士になりなさい!!」
「何度でも答えてやる、その答えはNOだ!!」
なんで貴族様のところにいって勧誘されなきゃならねぇんだよ!?
............時は2時間前に遡る
――――――――――――――――
「今から行く領主さんってどんな人なんです?」
「とても温厚な方で、あまり誰かに怒ったところを見たことがないな。」
「へぇー。なんか貴族らしくないですね。」
「お前さんの貴族へのイメージが相当悪いってのは理解できたよ......」
「いやぁそれほどでも!!」
「ほめられてないと思うよー?」
「まぁどんな方でもいいですよ。お優しい方なら十分じゃないですか。」
「ま、そだな。変に勧誘されなきゃいいけど。」
「その時はどうするんですー?」
「え、まるで受ける風に装ってNOと言ってやる。」
「えー、誰だっけそのセルフいってたアニメのキャラ。えーっと..........」
「岸辺○伴だな。この岸○露伴が好きな事のひとつは自分で強いと思ってるやつに『NO』と断ってやることだってやつ。」
「あぁー!!それだ!!だが断る!!ってやつ!!ワァオジャパニーズアニメーションッ!!」
「そろそろ領主様のお屋敷だ。気を引き締めろ。」
「「「はーい。」」」
◇
「とまれ!!ここは領主宅であるぞ!!何用か!!」
「私、テラノア支部ギルドマスターザルス。領主に此度の餓鬼族氾濫鎮圧の立役者をお連れしたとお伝え願いたい。」
「承知した、しばし待たれよ!!」
門番の片割れが駆け足で屋敷へと向かった。
「いつもすみません。一応決まりなので.......」
「全然いいんですよ。きちんと仕事をしていて素晴らしいじゃないですか。」
「お褒めいただき感謝します、デクス男爵。」
「男爵.........??」
「さっき聞いてなかったのか?この人男爵だぞ。」
「え、お偉い方??」
「ギルドマスターの時点で。」
「あ、そっか。」
「し、失礼します!!確認取れましたので、中へどうぞ!」
「ありがとう。よし、ついてこい。離れるなよ。」
「貴族の屋敷って緊張するー。」
「高いものばっかそうで、歩くこと自体怖いです......」
「まぁ大丈夫だって。変なことしなきゃ安全安全。」
今案内されている領主邸、俺らがもらおうとしている土地よりもデカい。
それに美しい。
中央を通る屋敷までの道、それを挟むように丁寧に作られた広大なピンク色のバラ園。いい、すごくいい。憧れるわぁ。
やっぱディズニー好きとしてはかわいいのめっちゃ好きなんだけど、ピンク色のバラって花言葉で『幸福・幸せ』って意味あるのがいい。それをこんな広大な広さでそれもむちゃくちゃ元気な状態で綺麗に管理されているのはリアルでもなかなかない。
あと、この道の合間に置かれているクチナシ。この花も甘い匂いで真っ白な花を咲かせるからピンクとの相性がいい。
天国か?住もうかな俺。
「よし、拠点にも花壇がっつり作ろう。俺がすべて管理する。」
「え、急にやる気出したと思ったらお花ですか!?」
「なんか、こんな花園みるとお花いじりしたくなるよね。よく実家でやってた。」
「めっちゃメルヘンじゃないですか。」
「いいだろうが、俺はかわいい方面も好きなんだよ。」
「これほどギャップを感じたことはなーい!!あははっ!!」
「笑うなや!!」
「そろそろ着くぞ、気引き締めろ。」
そう言われて正面を見れば、見上げるほどに高い門が。
いやどんだけ巨人がいるんだよこの世界。
「ちなみに門の高さだけで10mはある。」
「高杉で草。」
「開門!!デクスギルドマスター及び、餓鬼族氾濫の立役者チーム来邸!!」
ゴオォォォォォ............
「いや音がでかいな!!?」
「そりゃこの大きさですもんねー。」
「では皆様、領主様のところへご案内いたします。」
「執事さんだー!!」
「おや?執事を見るのは初めてでございますか?」
「いや、実家にいっぱいいたから久しぶりに会った!」
「お前どんだけだよ.........」
「えへへぇ。」
「カルナさんは昔の財閥レベルのご家庭なのではないでしょうか??」
「財閥ー??んー、出身が日本じゃないからイメージがわかないんだよなぁ。」
「金持ちは皆変わらん。」
そうこうしていると、やたらシックで重厚感たっぷりな両開きの扉の前についた。
「では、ここから先が領主様のいらっしゃるお部屋となります。念のため武装禁止魔法を施しますが、よろしいですか?」
「それを承認したことで刺客からの攻撃とかさえぎれなかったらどうするんだ?何なら今までさんざん空気だった俺らの契約獣たちはどういう扱いになるんだ?」
「あぁ、それはご安心ください。契約獣の皆様はチーム『鳥獣戯画』のメンバーとして認識しておりますゆえ、返還する必要もありませぬ。」
「ならいいか。んじゃ、かけていいよ。お前らもそれでいい??」
「「「はーい。(わかりました。)(グルゥ!)(わふ。)(ピィ!)(ぷぅ。)」」」
「ということで、お願いしまーす。」
「では、失礼して。"武装返還"、"我此処二武装スヲ禁ズ"」
「ん?お、おぉー。ほんとだ武器関係だけなくなってら。」
「どこにいったんでしょう......??」
「俺はアイテムボックスの中にあったわ。二人は......」
「ぼくは金太郎のお腹のポケットにあった!」
「私はこのカバンにありました。」
「行方不明じゃないならよし。」
「では、中へご案内いたします。」
ギィィィィィ..........
「領主様、鳥獣戯画の皆様、そしてデクスギルドマスター様をお連れしました。」
「結構結構、ではセル。お茶の準備をしてくれ。一番いい茶葉を使ってな。」
「かしこまりました。では、メイド長。この方々をお願いいたします。」
「はっ、承知いたしました。」
中へ入った途端あれよあれよと席に座らされ紅茶やら茶菓子やらが出てきて何が何だか。
え、長居するつもりなんてさらされないんだけど??
「あ、あのー。」
「おぉ、これはすまんかった。説明もなしにわしが話を聞きたいからと座らせてしもうた。悪い癖じゃ、許せ。」
「あ、それは全くもっていいんですけど、今日お伺いした理由はお聞きになられてます?」
「なんとなくだがの。ギルドからの要請で此度の餓鬼族鎮圧に大きく助力してくれたその褒美の件じゃろ?しかし、耳に入っておるかはわからぬがすでに渡せる土地が一つだけなのじゃ。それが心配でのぅ......」
「あ、むしろそこを頂けるのが一番うれしいといいますか、こちらとしても願ったり叶ったりです。」
「おぉ!そうかそうか、それは良いことを聞いた!!であれば、この場を持ってあの土地はお主ら鳥獣戯画のものとする!!我らが王にはわしから伝えておこう。」
「ありがたき幸せ。」
「「あ、ありがたき!!(ありがとうございまーす!)」」
「ほっほっほ、いいんじゃよ。わしはしがない老いぼれじゃ。この街を後世まで守るその礎を作るのに必死なだけじゃ。未来有望なものたちがこの街を拠点としてくれるのに何の助けもせんのはわしの人道に反するでな。」
「めっちゃいいおじいちゃんじゃねぇか(ボソッ)」
「グルゥ........!!」
「ん?おぉ、そこな竜はわしの契約獣の気配に気づいておるかの??」
「え?ルクス、どうかしたか?」
『バツ、あのご老人とんでもない、何度死んで生き返ってるかわからない』
「は?」
「ほっほっほ、バレてしもうたか!!お主の契約獣は優秀じゃのう.......欲しくなる。」
ゾワァッ.........!!
「ッ!?」
思わず椅子から飛び上がり警戒してしまう。
「おい!!領主様の前で何してんだ!!」
「い、いやいやいや!!今の感じなかったのか!?」
バツが感じたそれ。今は何もその正体はわからない。だけどあの死ぬ気で戦ったあの大樹に匹敵する、むしろそれ以上の殺気と悪寒、そして自分がこの世ならざるものに見られている感覚。スキルを使わずしても分かる重く、冷たい気配。
周りは分からず自分だけ分かる特別仕様。クソゲーだろ。
「バツさんは何を感じたんですか??」
「分かんねぇ。でもあのご老人とんでもねぇのと契約してやがる。」
「ま、わしの契約獣はええんじゃ。お主らの契約獣はみな第一進化はしておるようじゃし、一つ助けをしよう。」
そういうと、おもむろに「パンパンッ!!」と手を2回たたくと、急にそのご老人の後ろの壁が動き始めた。まるで機械そう思うほどに滑らかに動いたその先へ歩き始めるご老人、
「あぁ、そうじゃった。わしの自己紹介をしておらんかったな。わしはこの街テラノアを人族、ひいては人型の生物が戦闘禁止の制約を渡される前から輪廻転生を繰り返し、そして今は街の領主をしているナアーラ・リド・シャロ・ヤ・テラノアと申す。貴族階級は今じゃと永代辺境伯かのう。わし専用で国王が作ってくれたのじゃ。」
それはこの国での生きた化石のような存在だった。
とんでもねぇ大物じゃねぇか!?
最初の街の領主様は偉大なる御人でした。
私好きなんです、最初の街にいる重要人物がとんでもない存在って設定。
そうしたら最初の街もずっと話題として挙がるじゃないですか、その感じがすっごい好きなんですよねー。
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