第36話 氾濫の予兆
命からがら(?)逃げ戻ってきたバツたちはその勢いのままギルドへと向かった。
「エミルさん!!エミルさんいますか!?」
「は、はい!?」
「ちょっっっと大事な話、いいっすか!?」
「は、はいー!!」
勘違いされなくもないその問いかけにギルドにいた面々はざわめいた。
「おいおい急になんだよあいつ。」
「俺たちのエミルちゃんに.......!!」
「オデ、アイツ、クウ。」
化け物どもがイラめき立つなか、そんな場合じゃないバツは、
「あれが氾濫とかふざけてんだろ。鑑定で見えた内容がばかみてぇだったし。」
「そうですよね、でも、今いる方たちだけであれを対処できるんでしょうか.........??」
「それはギルドマスター次第だろ。」
「すみません!バツ様とアンナ様、こちらへどうぞ!」
「いこう。」
「はい。」
◇
エミルつれられ、ギルドマスターの部屋まで来た。
「ギルドマスター、入りますね。」
――ガチャ........
「失礼しま...........ッ!?」
「へ?きゃっ!」
エミルが扉を開けたその瞬間、部屋の中から尋常ではないほどの魔力があふれ出し、とっさにアンナを守ったバツ。
その横で敵意むき出しとなったルクスにニト。こんなことをしてくるのは消去法でただ一人だろう。
「ちょ、ギルドマスター!?何してくれてんですか!?」
「いやぁすまんすまん、エミルのお気に入りがどんな奴か親として確かめたくてな。はっはっ!」
「バツ様とアンナ様の二人って私言いましたよね!?ね!?」
「...........あ。」
「......このあと説教です。」
「えぇー。」
「えぇーじゃない!!」
バツたちは何を見せられてるのか。
アンナはいつまでバツに抱擁され続けるのだろうか。
「あ、あのー.......」
「あ、わりぃ。嫌だっただろ、急にごめんな。」
「い、いえいえ全然そんな!!」
気を取り直し、
「さて、さっきはすまなかった。俺はこの契約者ギルドテラノア支部マスター、ザルスだ。改めてよろしく頼む。」
「俺はバツです、で、隣にいるのが-」
「アンナです。お願いします。」
「バツにアンナか、覚えた。で、話って?」
バツは事の顛末をザルスに伝えた。
「なるほど、森奥深くにゴブリンの巣にしてはとんでもねぇのができてた、と。」
「はい。で、鑑定した情報から推測するに、恐らく頭張ってるのはゴブリンジェネラルエリートというモンスターで間違いないかと。」
「エリートだと!?」
「はい。遠距離からの鑑定に成功しているのでほぼ確実かと。」
「なるほどなぁ............。よし、ギルドに登録している全契約者に通達だ。恐らく巣の大きさからして1週間程度でこの街へと氾濫が起こりうるだろう。その迎撃準備をさせろ。これは緊急案件だ。」
「わ、わかりました!!」
ピコンッ
《 プレイヤーの皆様にお知らせいたします 》
《 只今の時間より168時間後に緊急クエスト『餓鬼族氾濫』が開始されます 》
《 このクエストは原則強制参加となりますが、参加形態は各自自由でございます 》
《 クエスト詳細についてはギルドにてご確認ください 》
《 皆様の行動で未来が変わります、健闘を祈ります 》
< ピンポーン
【緊急クエスト『餓鬼族氾濫』を受注しました】
【緊急クエストに関わる重大な情報をギルドへ持ち込んだことにより、ギルド貢献度を獲得しました】
【ギルドランクがカッパーからシルバーに上がりました】
「こりゃデカいことになったな.........」
「ギルドマスター、私たち魂魄契約者はどう協力すればいいでしょう?」
「あー、基本的には防衛拠点建造の手伝いとかだな。あとは生産に心得があるなら回復薬とかそこらへんの生産の手伝いもお願いしたいところだが.........」
「では、それをクエストとして緊急常設クエストに設定して張り出すのはいかがでしょう。そのほうが私たちもお手伝いしやすいです。」
「ふむ...........そのほうがいいか。よし分かった、今から各所その手続きを進める。お前さんたちもこの街を守るために、頼んだ。」
「任せてくださいよ。俺にとってもこの街はなきゃならない場所になってるんで。な、ルクス。ニト。」
「グルゥ♪」
『肯定』
「ははっ。頼もしい限りだな。」
そのあといくつか確認をし、バツたちはギルドマスターの部屋を後にした。
◇
「さて、アンナ。」
「はい?」
「俺らはまだチームだ。で、今現在はこの緊急クエストを乗り越えていく必要がある。」
「はい。」
「でなんだが、チームはこのままにするか??」
「........え?いいんですか?」
「だってせっかく誘ってもらったのにこれで終わるのも寂しいだろ?それにもとはといえば俺が連絡返してなかったのもあるしな。」
「.........では、もう少し一緒に遊んでもいいですか?」
「おう、も少しばかしよろしく頼む。」
「ッ!!はいっ!!」
ひとまずこの緊急クエスト期間は共に過ごすこととなったバツとアンナ。
チームを初めて組むバツはまずクエストを進めるにあたってのことを話し始めた。
「まずはクエストを確認して、どれを手伝うか考えよう。」
「そうですね、できることできないことありますしね。」
「だな。ちなみに物の運搬系が来たら俺無敵なのでね~。」
「無敵??どういうことですか?」
「ま、それは実際にやるときまでのお楽しみってことで。」
さぁ初めての大きいイベント事。ゴブリンなのはありきたりかなぁとか思いましたが、一番わかりやすいですよね。
成功するか否かもプレイヤーの行動次第っていうのは大事にしたいですね。
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