↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様機構―悠久なる歯車―  作者: 太郎ぽん太
第 7 部 天界学園 編
337/341

†44話†:天枢寮三階、隣人は絶対首席





「圏域守護、おつかれー」

「サダオミ、相変わらず無茶苦茶なキレ方してたな、なう」


 階層戦(ティア・シフト)を終えたばかりの第一圏域クラウンの教室。

 モニターには、先ほどまで行われていた階層戦の録画が映し出されている。

 激しく明滅する閃光と、神速で敵を叩き伏せるサダオミの影。


 サダオミはといえば、いつものように背中にひなを背負ったまま、深く溜息をついて戻ってきた。

 ひなは「……むにゃ」と寝言をこぼし、親友の背中を完全に寝床にしている。


「前回のルル・メルだったかな。未来予知の。今回の相手を見る限り、あれで暫く第二圏域は出し尽くしたかな」

「あ、でも今回の子も反応は良かったよ?」

「謙遜が過ぎる。あのタイミングでカウンター入れられる奴なんて、普通いないからな」


 話しかけてきたのは、君島海里と楢葉宗太郎だ。

 一方で、教室の最後列で一冊の本をめくっているのは、小波透哩だ。

 彼女は大した興味もない様子で、ページを捲る音だけを冷たく響かせている。


 しばらく他愛もない会話を交わす。

 海里が折を見て、扉の方へと視線を送った。


「さてと、見届けたことだし私は寮に戻ることにするよ。……少しゆっくりする時間がとれたんだ」

「あ、そういえば学生寮があるようなことを聞いたことが」


 その言葉に、教室の空気がピタリと止まった。

 海里が目を丸くし、ポテチを食べていた一式が「え、こいつ……?」と手を止める。


「?」


「……」


 海里が信じられないものを見るような目でサダオミを見た。


「……サダオミ。お前、まさか今までどこに泊まっていたんだ?」

「え? だいたい任務に出てるけどだけど……天界では基本、野宿?……みたいな?」


 背中のひなが、寝ぼけ眼で「ワイルドかぁ~……」とむにゃむにゃ緩いつっこみを入れる。


「ありえない……小波透哩!」


 パタン、と。

 透哩が静かに本を閉じた。

 その音だけで、教室の温度が数度下がった気がした。


「……君島。こいつに教えてやれ。自分の『居場所』がどこにあるのかを」

「え、私!?」


 海里が咳払いをし、事務的なトーンで告げる。


「サダオミ。本来、下級天使(第六圏域)を卒業し学園に入学した者は、それぞれの圏域の寮へ入るのが義務だ。お前の部屋も、既にある」

「え、そうなの? どこに?」

「……天枢寮てんすうりょうの3階だ。本来は首席専用のフロアだが、委員会の都合と……まあ、透哩の『強い要望』で、隣に部屋を増設した」


「……」

「……え?」


 サダオミの顔から血の気が引いていく。


 一方で、ひなは「じゃあ僕は、あのアパートに帰るから……。放っておいてね〜。バイバーイ」と、サダオミの背中からするりと降り、驚くべき速さで教室を後にした。


「あ、待てひな! 一人に……!!」

「無駄だ。あいつはもう、ボロアパートのWi-Fi圏内に逃げ込んだ」


 一式が哀れみの目を向ける。


 透哩が立ち上がり、無表情のままサダオミの横を通り抜ける。


「……サダオミ。何をしている。案内しろ。私の部屋の茶葉が切れた」

「……案内って、俺も場所知らないんだけど!!」


 かくして、サダオミの「第一圏域での優雅(絶望)な寮生活」が、今、幕を開けようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。