†19話†:卯月とうか ― 任務停滞(救済拒否) ― ①
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「3分で死んだぁぁぁぁぁ!!」
絶叫が、ひなの自室の淀んだ空気を粉々に打ち砕いた。
「だから! 回復範囲外から真っ先に敵陣にジャンプで突っ込むなって言っただろ!」
「だってジャンプのリキャ上がってたんだよぉ! 竜騎士は跳びたい時に跳ぶ生き物なんだよぉ!」
液晶画面の中で、無残に床を舐める竜騎士と、杖を構えたまま立ち尽くすヒーラー。
だが、その画面が反射する暗がりに、もっと恐ろしい「死神」が一人、いつの間にか立っていた。
「約束通り、一回死んだな。……1コインだ。任務に行け」
音もなく背後に立っていた透哩が、冷徹な声で「宣告」を下す。
サダオミは画面から目を離し、恐る恐る振り返った。
「透哩さん、これ絶対わかってて言いましたよね!?」
サダオミの抗議を、透哩は氷のような微笑一つで受け流した。
そのまま、有無を言わせぬ圧力で二人を自室から連れ出した。
気づけば、委員会棟の救出委員執務室の前に立たされている。
「あー……。僕ぁまだ、指が温まってたところなのに……」
執務室の救出任務水晶の前で、
ひなが「えーっと」と指を動かし、
自分に都合の良さそうな任務を探し始めた。
その時。
透哩の細い指が、無慈悲にひなの目を遮った。
「ダメだ。選ぶな。すぐに行け」
「そんなの聞いてないよぉー、横暴だよぉー、詐欺だー! 労基に訴えてやるぅー!」
……ひな吉くん。
天界に労基があるかは知らないけど、透哩にそれを言っても無駄だと思うぞ……
喚き散らすひなを横目に、サダオミは静かに諦めの境地に達していた。
結局、どれだけあーだこーだと言い募ったところで、この冷徹な救出委員長を動かすことはできないのだ。
「……はぁ。分かったよ。それじゃー、行こっか」
観念したサダオミが、当然のようにひなを連れて任務に赴こうとした。
だが。
「ダメだ。それだと増員した意味がない」
透哩の一蹴。
その言葉に、サダオミとひなは同時に動きを止めた。
「え?」
「んぁー?」
「今回は私が特別に選定してやろう。二人同時である必要はない。効率よく、別々の綻びを修復してこい」
透哩はそう言うと、二人の眼前の空間を、しなやかな手の甲でなぞった。
次の瞬間、目の前に二つの任務水晶が脈動しながら出現する。
「え、ちょ、別々なの!? 」
「僕ぁ一人じゃ歩けないよぉー! 迷子になるよぉー!」
「行け」
透哩の冷ややかな一喝と共に、二人の身体は各々の水晶へと吸い込まれていく。
次元の裂け目に消えていくサダオミの頭上から、ひなの魂の底からの断末魔が響き渡った。
「横暴だぁぁぁぁぁーーー!!」




