表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
757/759

754話・スク水☆超決戦2

 広大な夜の砂漠に投げ出された知里と、ヒルコ──。


 知里はすぐに体勢を整え、飛行能力で少しだけ地上から浮き上がっている。

 その足元では幽体のような光が集まっている不死者(アンデッド)たちだ。


 一方、怪物化したヒルコは、さらに体躯を大きくしており、まるで夜空を衝くようだった。

 1000年もの間、幾多の13歳の少女たちが吸収され、魂が囚われた存在は、行き場のない感情を知里に叩きつけるかのように、瘴気を放ちながら蠢いている。


「ここからだと、よく見えないですわね……」


 巨大な月が照らす砂漠だが、月明かりでは知里たちの全貌は確認できず、視認しにくい。


「ならば観覧席を用意しよう」


 和哉がそう言って、推奨が張り巡らされた壁一面を CG補正された全周視界モニターのように変化させた。

 さらにいくつかの小窓には知里の表情やお尻のアップが映し出されていた。


 どうやらこの変態の兄は尻が好きなようだ。


「しかし……。いくら対格差があり、『他心通』で心が読めるとはいえ、戦闘巧者の知里さまと13歳の寄せ集めでは勝負にならないはず。なのに知里さまが緊張しているのはなぜですか?」


 水晶のモニタに驚きながらも。レモリーが和哉に尋ねた。


「単なる13歳の小娘ではなく、異界から人間を召喚できる才能を持った少女たちが、数百年も怨念を積もらせてきた。厄介だろうさ……」


 すべての元凶でありながら、和哉は他人事のように言った。


「……知里のやつ。一度は自分もろともヒルコを封じようと試みたが、異空間にも干渉し得る相手には、討伐以外に選択肢はないと悟ったようだな……」


 水晶のモニタ越しで見る知里は、微動だにしない。

 両者とも睨み合いを続けているようにみえるが、『他心通』でお互いの心を読み合っているのか──。


「知里さん、足で呪文を唱えて、強化魔法(バフ)を重ね掛け手強いますわね♪」 


「はい。魔力向上、高速化に加えて……。防御強化まで」


挿絵(By みてみん)


 エルマとレモリーが解説してくれたので、魔法が使えない俺にも知里の意図が理解できた。


「知里さんが物理反射じゃなくて、防御強化したの初めてじゃないですかね♪ やはりスク水だと防御がザルですかね♪」


「動きました……!」


 強化魔法をかけていた知里に対し、ヒルコは触手を束ねてハンマーのように大きく振り下ろした。

 砂塵が舞い上がり、水晶のモニタにノイズが走る。


 カメラが知里を追うと、空中に飛び出した姿が見えた。

 満月を背にして背中から魔力で作った四本の魔神の手を生やし、ロケットパンチのようにヒルコめがけて拳を撃ち込んだ。


「心を読まれていようが、高火力で押しつぶす。図体はデカいから回避のしようがない。芸はないが有効ではある……」


 魔神の拳を受け止めたヒルコは、地上のアンデッドもろとも砂に埋もれていく。


「だが、下が柔らかい砂地では衝撃を吸収してしまう」


 和哉の解説を待つまでもなく、砂に埋もれていくヒルコのダメージは軽く、四本の魔神の手で押しつぶされながらも、触手による反撃が試みられている。


 知里に伸びてくる触手を魔力で焼き切りながら、魔神の手でヒルコ本体をがっしりと掴んだまま彼女は猶も砂地へと沈めていく──。


 ところが、いつの間にか『巻き戻し再生』でもするかのように、砂地へと沈めたヒルコが、今度は魔神の手に導かれるようにグイグイと天高く舞い上がっていく。


「知里さん♪ 闇魔法特有の負の魔力を込めて〝反転の逆再生〟をかけました……?」


 地中へと押し込んでいたはずが、今度は空へと押し上げる。

 巨大なヒルコが、為す術もなく上空へと吹き飛ばされていく。

 

 魔神の手が向かう先は、巨大な満月だった。


「月まで吹き飛ばすつもりですか?」


 エルマが興奮気味に叫んだ。


「ていうか、和哉さん。この世界って宇宙空間はどうなっているんすか?」


 スクール水着で宇宙空間まで飛んでいく様子は、ちょっとシュールな光景でもある。

 俺たちの世界の科学では、宇宙の平均温度は-270.45℃で、極端に高温のところもあるという。


「物理宇宙とは一線を画す異世界だ。何の問題もない」


 和哉はこともなげに言ったが、 本当に大丈夫なのか──?


 俺の心配とは裏腹に、星々がきらめく世界で知里とヒルコの戦いは続いた。


 大きな満月に柱のような影が浮かび上がり、やがてそれは土星の輪のように月の周囲を取り巻いた。

 俺の『未来視』や和哉の『平行世界干渉』でも対応できない領域の魔法戦だった。


 星々を揺るがすような激闘に、無数の流れ星が落ちていく。

 さすがに顔色を変えた和哉が、『平行世界干渉』で、地表への影響を排除していく。


 知里とヒルコ──。

 対となる存在が激しくぶつかることで、何が生じるかは見当もつかなかった。

 

 ただ、当事者でありながら傍観者を気取っていた和哉の姿が、いつの間にか消えていた──。

次回予告

※本編とはまったく関係ありません。


エルマ「ここでCМです♪ 著者サトミンがnoteで過去に描いた漫画作品を公開していますわ♪」


知里「『ハネオ君は天使じゃなかったけれども』『猫の盾』等々、無料で読めるので是非」


エルマ「あたくしの前世での活躍を描いた『時空オカルト研究会』や『オルタナブレイド』も近日公開予定ですわ♪」


直行「もちろん『恥知らず~』の方もよろしくおねがいします。次回の更新は5月1日を予定しています」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
マンガ、拝読いたしました(*^▽^*) 違ったテイストを楽しませていただきありがとうございます<(_ _)>
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ