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753話・スク水☆超決戦1

 知里の兄で筋金入りの変態だった和哉の強い意向により〝スクール水着〟をまとった知里は、ヒルコからの脱出を果たした。


 対するヒルコは、エルマによって知里の認知情報を付与されて、自己の存在を揺さぶられているようだ。怪物化した巨体を小刻みに揺らしながら、壊れたオモチャのように不自然に動いていた。


「グぉ……。お兄ちゃ……。あたし……。ワタシ……。おオオオォォ……」


 無数にある、触手とも腕とも分からない手を伸ばし、何かを探すようにのたうち回るヒルコ。

 意識が混交しているのか、動きがてんでバラバラで意図が読み取れない。


 攻撃をするかと思ったら、救いを求めるように手を伸ばし、突如拳を振り下ろして床に叩きつける。


「ヒルコの中で、知里と〝そうでない意識〟が綱引きを行っているようだ」


 和哉がポツリとつぶやいた。

 決定的な何かが起きているわけではない。ということは、彼が現実を都合よく改変させているのだと思われる。

 しかしそれも限界に近いようで、明らかに疲弊している様子だ。


 彼の異能、多世界移行と、ここが『時空の宮殿』という閉ざされた場所でなければ、どれほどの影響を受けていたのか想像もつかない。


 実際、俺の『未来視』には先ほどから〝全滅エンド〟しか見えていない。


 そうした〝生ぬるい絶望〟を振り払うかのように、知里が一歩を踏み出した。


「ヒルコに取り込まれて分かったんだけど、()()()()の意識には、1000年の間に接触した、数限りない〝13歳の少女〟が取り込まれていた……。数が多いものだから、平行世界も未来視もピントが外れて調整できない……」


 鋭い目線には、心なしか哀しみが宿っているように俺には感じられた。


「彼女たちを解放しなきゃなんない。派手に()る。お兄ちゃんたちは巻き添えを食わないように……頼んだ」


 知里はそう言って、大きく跳躍し、ヒルコに突撃した。


「ゴメンね」


挿絵(By みてみん)


 ゼロ距離からの闇の刃で一度に複数の触手を切り落とす。

 しかしヒルコは攻撃を読んでいたように、腕の死角から第二撃の光線を十字砲火で浴びせる。


「あたしのコピーなら、『他心通』も使えるわけだよね」


 知里はそれを予知し、バックステップで回避すると、頭上に手を伸ばして隕石を召喚──。

 これを直接はぶつけずに、粉々にして燃焼させ、火砕流のような範囲攻撃を仕掛けた。


「知里さーん、あたくしたちも巻き込むつもりですか♪」


 エルマがそう言う前に、すでに和哉によって防御障壁が築かれていた。


「心が読める相手同士の戦闘では、偶発的な流れ弾に巻き込むのが有効な戦術だが……火砕流では攻撃がぬるい。手心を加えるな、知里よ」


 和哉は知スク水の小さなお尻をガン見しながら言った。


「ぐぬぬ……。兄め。こんな格好でガチバトルさせてさ!」


 知里は恥ずかしそうに頬を赤らめた。


「場所を変えろ。今のままでは僕の障壁能力も限界だ。この『時空の宮殿』をシェルターにする。知里は外で奴を倒せ」


 和哉はクリスタルのような床の下に広がる、寂莫とした砂漠を指さした。


「外って、『命なき者たちの楽園』『不死者の砂漠』じゃね? あたし一度死にかけたんだけど……」


 ヒルコの攻撃を先読みで回避しつつ、まるで格闘戦のようなゼロ距離からの光魔法をぶち込みながら、すさまじい反応速度で連撃を繰り返す。あまりにも速いので、俺も『未来視』を介さないと動きが追いきれない。

 この速度では心が読めたとしても反応しきれなかった。


「砂漠のアンデッド超強いんだよ、お兄ちゃん……」


 しかし彼女は涙目だった。

 普段俺たちには決して見せない、知里の弱りきった顔を見るのは初めてだ。


「どうとでもなる。お前ならやれるはずだ。いいか、ヒルコを捕まえていろ」


 そんな彼女に対し、変態の兄は無慈悲だった。


「知里とヒルコをわが宮殿より『排除』する」


 和哉が命じると、知里もろともヒルコはグミキャンディのような物体に包まれて地上へと落下していった。


「ぎゃああああ……!!」


 知里は外見とは似つかわしくない雄叫びを上げながら、ヒルコと共に落ちていく。さすがなのは、こんな状態でありながら『時空の宮殿』に残ろうとするヒルコをガッチリとつかみ、引き離しているところだ。


「さて。どちらが勝つか。直行くんよ。君にはどんな『未来』が見える?」


 和哉はそう問いかけてきた。

 しかし俺の『未来視』には、真っ暗な闇の中に巨大な目玉のようなモノが浮かぶだけだった。

次回予告

※本編とはまったく関係ありません。


小夜子「すっかり春の陽気で風が気持ちいいわねー」


エルマ「このお話が更新されたのは26年4月17日♪ 新緑が眩しい季節ですわね♪」


直行「徳川家康の命日でもあり、彼の好物だったナスの語呂合わせ『よ(4)い(1)な(7)す』てなすび記念日でもあるそうだ」


知里「茄子は漬物でもいいけど、ラタトゥイユやグリーンカレーなんかでも美味しいよね」


エルマ「まあ夏野菜ですけど♪ 一年中売ってますからね♪ ビニールハウスと物流様様ですわ♪」


直行「次回の更新は4月24日を予定しています。『知里のラストバトル』お楽しみに」

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― 新着の感想 ―
和哉は超変態で無慈悲ですね(+_+) 真っ暗い中に目玉?? めっちゃ不気味です(-_-;)
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