5話〜保安組織の抵抗5〜
今回から主にSATの隊長の一人称目線になります。
―警視庁本庁 通信指令室―
謎武力組織上陸から30分―
通信指令室に居た全ての人が警視総監を見た瞬間、緊張した面持ちで姿勢を正した。警視総監は自ら持ってきたパイプ椅子に浅く腰掛けた。
『これよりこの異常事態に関する対応指示を行う。この交通部の資料を見てくれ』
総監秘書係の警官が資料を一人一人に手渡していった。
この資料を見ると港区、千代田区、中央区、品川区、目黒区の5つの区の地図上の東京駅〜品川駅間の鉄道高架線と東京駅北東を流れる河川に沿って一本の赤い線が引かれていた。ただそれだけが書かれていた⋯
この重苦しい静寂を破って質問する者が居た。
彼は朝野光、冷静沈着な性格で黒髪にメガネをしている若年の男である。
『警視総監殿。この赤い線は何ですか?』
『あぁ、朝野警備課長。こちらの線は対テロ封鎖線です。ここの線上にある全ての高架下や橋を封鎖してテロ集団を包囲します』
『「テロ集団を包囲」ということは突如発生した帆船と武装集団はテロ組織なんですか?』
『それについては、現時点ではテロ組織とは断定することは出来ない。しかし明らかな武装集団である以上便宜上”武装テロ組織”として扱っているだけです。しかし、可能性の範囲ではあるが”血のチチジマ事件”に関連していると我々は見ています』
『では内容をを変えます、包囲するとおっしゃていましたが長期戦と言うことであっていますか?』
『はい。自衛隊が出動出来る迄の時間稼ぎと考えています』
『それは警視庁だけでは解決出来ない事案であると判断したからですか?』
『はい。大変悔しいですが、封鎖線の範囲が広く、テロ集団の激しい抵抗が考えられます。そうなると、封鎖線を突破されてしてしまう可能性があるため。より確実で安全な包囲のためにも他県の協力を依頼しました。我々は住民の安全を最優先するため、自衛隊による事態の鎮静を恥を忍んで要請しました』
『そのため、自衛隊警察非常事態協力体制の適応事案であるため。鎮圧は自衛隊が行うことになります』
『これより、警官のみならず一般市民に対し害を成す忌々しいテロ組織を警視庁及び警察署の機動隊や警官を総動員し直ちに封鎖を行い新たな被害を防ぐのだ!もう、あの時のように好き勝手にさせるな!諸君らとまた会えることを⋯。』
『総員、配置につけ!』
警視総監が立ち上がり周囲を見渡して命じた。
『了解!!!』
その場に居た警官は警視総監応じるように全員立ち上がり警視総監に向かって一斉に敬礼していた。
作戦会議が終わり通信指令室を出る際の朝野は忌々しげな顔をしていた。
正直、SAT第一・二中隊長兼警備課長として見てもこの広い範囲をこの数で包囲して他県の応援が到着する一日後まで持ちこたえられるとは思えなかった。
しかし、そのように命令されたのならそれに従うしかないのだ。
上陸から35分―
会議が終わりすぐにPV-2が2台、人員輸送車5台、遊撃放水車2台、高圧放水車1台、銃器対策車1台の順で路肩に止まっていた車列の一番先頭のPV-2に朝野警備課長は乗り込んだ。
だが、いつもは明るく笑顔で優しい彼はいつもとは真逆で顰めっ面になっていた。
現場に到着したので降りたのだが、いつもは賑やかな大通りが、避難して誰も居ない交差点は閑散としていてぶきみであった。
『なんか、人が消えた世界みたいですね〜』
『あと、30分もしないで賑やかになるから早く用意しろよ』
そう言って朝野も用意を始めに行った。
そうして、休む暇もなく。機動隊員達はユニック車から降ろされた柵やチェコの針鼠、バスでバリケードを構築していた。
15分後―
『朝野中隊長! 全作業が完了! あとは配置場所に付けば準備はすべて完了です』
作業指揮を任していた隊員が報告をし、持ち場に戻った。
それと時を同じくして、全ての部隊の配置が完了したと無線で入った。
朝野は 肩の力がスッと抜けたようだった。
彼は小さく『あとは大丈夫だろう⋯』と呟いていた。
25分後―
『ズシン、ズシン』と重低音がする。
その音が聞こえた時
『怪異を確認! 怪異を確認! 二足歩行の豚と緑色の小型生物、人形の狼、灰色の奇妙な生き物、人形の動く岩塊を確認! もう一度繰り返す⋯』
遊撃放水車部隊から切迫した無線が入電した。
こうして、最前線は早くも戦闘が始まった。
最前線にいるSAT二個分隊が側面の見える範囲にいる魔物(以下怪異)に対し、放水車や八九式小銃を使かって防御していた。
そして、中央後方にいる第一機動隊の第二中隊はSATの援護をするために全進した。その際、後方にいる高圧放水車は前方にいる遊撃放水車の援護を行うファインプレーであった。
後方―第一機動隊第一中隊
『朝野中隊長! 現在最前線はSAT一個小隊と機動隊一個中隊そして遊撃放水車2台、高圧放水車一台です。どれに至っても未だ損害はありません』
『吉田総分隊長。怪異の侵攻はどうなっている?』
顎少し髭を蓄えた中年の男が無線を取った。
『今の所は止められていますが、このまま途切れずに襲撃されると対応しきれないと思われます。』
『最低でも、どのくらいは持つんだ?』
『長く持って2時間…ですね。』
『了解した。こまめに交代して隊員を休ませる様にしてくれ!』
『では、俺は今から本庁に戻る』
『後はお前に任せた』
そうして、朝野警備課長は迎えに来た覆面パトカーに乗って本庁に向かった。
こうして四時間程、怪異と機動隊の間で生き物や鉄の咆哮、生き物の咆哮が響いた。
上陸から5時間が経過―
警視庁庁舎某室にて
警視庁と自衛隊による会議が行われている。
警視庁
警視総監∶井上大樹
警視監:三井勇気
警視長∶井上優香
警視∶朝野光
SAT第一小隊長∶中野雅人
自衛隊
防衛大臣∶吉田歩
陸上幕僚長∶家光湧人
航空幕僚長∶岩田翔大
陸自隊員1∶鈴木奈巫
陸自隊員2∶金垣桜大
空自隊員1∶宮本徹三
空自隊員2∶岩本志向
会議が始まると防衛大臣が立ち上がり。
『単刀直入に言わせて頂きますと、自衛隊としては現場の詳しい状況について情報が入らない限り出動できません。今も、無人偵察機で空からの確認はしていますがそれでもまだ、情報が不足しています』
『これはあなたがたならわかりますよね!』
警察側はしばらくの間、沈黙であった。
この沈黙を破ったのは朝野である。
『此度の事件ですが、監視カメラで分かったことは沿岸から多くの怪異が襲来していること。そして、多くの民間人と警官が被害に会い、警官は少なくとも分かっているだけで150人が亡くなている、東京の首都圏が現場になっていると言う3つのことしか分かっていません。』
この説明に対し、自衛隊側は⋯
『この情報だけであると、明確に判断しかねます。この現場に人の兵士がいるのか、そして現場の詳しい実態が分からないと。それによって害獣駆除なのか、治安維持なのかによって今後のことにも響きかねないのでどうかお願いします⋯』
その後も談論風発に議論が行なわれていたが、自衛隊の意見を踏まえて警察側はこの危険区域に偵察を派遣することが決定。
日が昇るとともにSAT一個小隊を派遣することが決まった。
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次回は2週間後の7月17日になりますので気をつけてください




