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サイドA-52 魔道具の改良?

「でもまだ最初の目的が完遂できてねーー」


サブ・キャラやアイテム、特に魔道具の整理はついたものの、当初の目的、自動記録できる地図にはまったく到達できていなかった。

いろいろと深堀して見直すことで、戦闘系/非戦闘系とわず今まで認識できていなかった固有スキルの別の一面を認識できはしたが、目的のオートマップについては、スキルとしても作り出す能力にしてもたどり着いたものはなかった。


クラウドやディー・エッグのようなオートマッピングにつながるような索敵スキルを持つ魔道具は範囲の違いこそあれ複数見つかったが、記録となるとまったく結びつかなかった。

魔道具を作れるスキル保有者もいくつか見つかったものの、おなじくオートマッピング機能を作れるレシピをもつものはいなかった。


キャラの把握はいつかは必要だったため整理できたのはいいものの、今の時点ではどのようなスキルを駆使してもオートで地図を作成する魔道具は作れないということが判明しただけであった。


労力のわりに目的のものができなかったことで、落胆していたホクトとオリョウのところに、エギルから『多重自我憑依』専用テレパシーで連絡がはいる。

詳細は省くが、ダンジョンのレシピでそれらしいものがあるという知らせで、確認しに来てほしいとのことだった。

オリョウにダンジョン内での収穫物を渡すついでもあるため、さっそくファーラーンに馬車で向かう。


今回はミヤビだけでなくマツリもカスミに同行させてしまったため、いつもの転移が使えず徒歩か馬車でしか手段がなかった。

その馬車も最近作ったばかりのもので、席をパイロットシートにしたり、ダンパーをかませたりしてこの世界の従来の馬車に改良を加えたもので、馬自体もクラウドに似せて作ったウルフタイプのゴーレムである。

似せているのは形と馬力だけで、クラウドのような索敵能力はないが、ホクトとURのオリョウでいつもの道を行くぐらいは対応できるので、問題はない。


そのおかげてふつうの馬車で半日かかる工程を、5時間程度で走破できてしまう。

ホクトはこの馬車の性能が最終系ではなく、もっと改良してよりはやくて乗り心地の良い馬車を作れると確信しているが、いまはとりあえずこの程度で満足する。


魔の森を走破中途中魔獣に何回か遭遇したが、オリョウの風魔法によりあっさり対応してほぼ予定通りファーラーンにつくと、身分証明のないオリョウの入村税をはらってダンジョンに直通でむかった。

ホクトたちはダンジョンに入ると、迷わず第3階層の転移ポイントへ向かう。

エギルが用意したホクトグループ専用転移魔法陣で、配置を第3階層/第20階層/第40階層/第79階層/第80階層と選択して移動できる。


いつもであれば第80階層をえらんですぐさま深層部まで転移するのだが、今日は第40階層に転移する。

エギルの話だと、第42階層にエギルが創造していない昔からある秘密の部屋があり、そこに目指すアイテムが常設されているというのだ。

そんな面倒なことしなくて、エギルが作ってくれればいいのにとリクエストしたのだが、そのアイテムは作成するのに年単位の時間が必要とかで、それを待つくらいならすでにできている物をとってくればよいとの判断だ。


ふたりにとってここらの魔獣はあまりにもレベル差がありすぎるほど弱く、索敵スキルも何も使わずすたすたと歩いていくだけに等しい進行速度で、ほどほどに出現する魔獣たちを討伐しつつむかった。

そして件の秘密部屋、外からはうまくカムフラージュされていて、部屋が隠されている壁は継ぎ目など全く判別がつかないが、空け方までエギルから聞いているホクトとオリョウは、さっさ隠し部屋に侵入すると、バトルアックスを両手でもちなかで待ち構えていたミノタウルスたちを、それぞれの技で縦に横に分断して、奥へと進む。


デバフの呪いが仕掛けられていた宝箱もオリョウが開くと、URのレベル差によって呪いが自動的にキャンセルされてしまい、やすやすと中身を取り出す。

巻物風の洋紙をひらくと、少しくたびれたような日で焼けた何も書かれていない面が見えた。

これもエギルの予告通りで、それはダンジョン内ではまったく能力が発揮できない、魔法の地図であった。

ホクトはさっそく鑑定にあてる。


『旅人の地図』

・地図を自動的に記録する地図。

・地図所持者がそれをもったまま移動すると、移動した地点の周り5メーターの地形等を自動的に地図に描く。

・地図には地面の高低差やある程度の障害物(無機質)も自動的に記録され、半径500メートル以内の地図が描かれた範囲ではライブで生物も点として表示される。

・地図には自動的にダンジョンの入り口など魔力の強いものが自動的に記録される。

・地図は拡大縮小、スライドが可能。

・地図の記録できる範囲は最初に登録した地点から、半径100キロ以内。

・地図には全消去機能がある。


「半径5メーターに記録が全体で200キロの円内だけ?」


目的の能力はもっていたものの、思っていたほどの性能ではなかった。

最大範囲はともかくとして、移動した半径5メートルというのはあまりにも狭すぎる。

これはローラー作戦で大樹海のMAPを作るにしても、10メートルの平行線で行ったり来たりを繰り返さなくてはならないことになる。

10メートルといえば見通しが良ければ視野に入ってしまう範囲である。


「ちょっと思ったのと違ったんだけど」


ダンジョン・コアルームにて、ホクトはエギルに愚痴った。


「これだと全然使えないよ。視認しながら探索した方が効率が良いもの」

「まあそういうなよ。少なくとも同じ場所を複数回まちがって調査しなくてよい利点はあるじゃないか」


エギルのいう位置把握の道具としては使えるのはよくわかる。

にしてもうちょっと自動記録範囲が大きくないと、地図は未表示の部分がおおくなり、その隙間をうめる労力がいまから思いやられる。


「そんなに使えないと思うんだったら、改造してみたらどうだ?それも魔道具であることには変わりないんだし、マルティの構造解析で模造するつもりなんだろ?」

「改造?」


エギルも北斗なのだから自分から自分への示唆なのだが、ホクト=マルティは魔道具を改良するなど、それまで想像だにしていなかったので、一瞬エギルの言葉が呑み込めなかった。

しかし、マルティの構造解析はたしかに魔法式を読み取ってCOPYしているのだから、魔法式自体の構成の意味が理解できているマルティならエギルの言葉通り改造というか改良ができるかもしれない。


さっそくホクトはマルティにチェンジし、『旅人の地図』を構造解析する。

するとさっそくそこに刻まれた魔法式をなんなくよみとって、頭に記憶される。

いままでであれば、それをそのままコピーして複製品を作っていたのだが、よみとった魔法式の意味を読み解いていくと、それぞれの魔法式の役割がよく理解できる。


(しかし、これは...!)


一人黙りこくってしまったマルティをエギルとオリョウが怪訝そうに見つめる。


「どうした?改造は難しそうか?」

「いや、それはできそうなんだけど、そうじゃないんだ。これって形は変わっているけど、個々の役割の魔法式を組み合わせて作っていくって...シーケンス・プログラミングそのものなんだ」


魔力の増幅をするもの、性質を変えるもの、演算をするもの、外部にアクセスするものといろいろな魔法式が、まさしくシーケンサー的に繋がれている、その集大成が魔道具の物理的なインタフェースに刻み込まれている、まさしく組込みプログラムそのものだった。

これは北斗が現実世界で生業としている技能に他ならず、理解もできるし組み換えもつけたしも可能ということをあらわしている。


「シーケンスって、おまえ、魔法だぞ?」

「いや間違いない。部分の役割を変えたり、作り変えたりは必要だけど、これは魔法式というプログラミング言語を積み上げていく作業に相当するんだ。つまり北斗たる僕ならばこれを改造することは難易度はともかく得意な分野ということさ」


提案したエギルは軽い思い付きだったろうけど、これは大発見だった。

そうなると、いままで魔法式を読み取るだけした魔道具たちも、改良できる対象となりクラフトという意味での可能性が一気に広がる。

レシピに頼った生成も楽しいが、モノづくりに生涯をかかげている北斗にぴったりの追加要素であった。


試しにとマルティは、先ほど読み取った『旅人の地図』の魔法式の周囲探索の部位に魔力供給線を増やすのと、そのモジュール自体の数を単体から5つに増やした構成で、エビルボアの皮を材料に錬金術で作ってみる。

できたものを鑑定すると、『旅人の大地図』に名前が変わり、周囲の記録範囲が5メートルから500メートルに、全体のMAP範囲が半径100キロから3000キロにまでパワーアップした。


「で、できた。この性能ならなんとか使えるぞ」

「ほんとですね。すごく性能アップしてます。でもなぜモジュールは5つなのですか?もっと増やせばこっと広範囲になるのでは?」

「いや、ただ数を増やせばいいってもんじゃないみたい。それにこれはこの魔道具が常用的に供給できる魔力の限界に近いんだ。索敵のモジュール自体も効率が悪いんで、もし改良するとしたらこちらの省エネ化と魔力供給網のモジュールの改良も必要だと思う。さすがにこちらはカットアンドトライしないと、成果はでなさそう。まあ突貫だけどそれまでは十分これでも使えそうだし」

「まあどちらにせよ、カスミ姉のご要望がかなえられたということだ。めでたい」


ダンジョン・マスターであるエギルもリストに存在するレシピを作り出す以外のマルティが行ったような創造的な作業はできないが、それでも同じ人格であるので喜んだ。


「これはいろいろ時間をかけて、ほかの魔道具についても研究だね。さらには魔力付与についても同じことがいえると思うんで....また楽しみが増えた」


マルティ=北斗は単純に大喜びだ。


「ならば、その研究の手始めは魔道コンロをお願いします。農作物だけでなく、優秀な魔道具も商会の看板にしたいので」

「そのレシピだが、なんとかダンジョンのレシピに組み込めないかも調べないとな。量産もそれで楽になるだろうし」


三人三様だが、この事実にクラフターとしての今後の応用に胸膨らませる三人であった。


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