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第9話「解放される呪詛」 - 6

※生成AIで作った画像を挿絵に使っています。その為一貫していない部分がありますが雰囲気モノとしてご容赦ください。

広場の中央で、タリーサと仮面の男が鋭い視線を交わす。


魔核銃を手にした仮面の男は、疲労の色を微塵も見せず、素早く構えを取る。その銃口が再びタリーサを捉えた。


「いつまで避け続けられますか? タリーサ!」


怒声とともに、魔核銃が火を噴いた。


ドゴォッ!


耳をつんざく轟音が広場に響き、弾丸がタリーサの頭上を掠めて石壁を粉砕する。タリーサは身を翻し、飛び散る破片を紙一重で避けた。


「このままでは…いずれやられる…」


タリーサは眉をひそめながら、物陰から仮面の男の動きを観察する。


男は狂気に駆られたように魔核銃を乱射し、弾丸が地面や建物を次々と破壊していく。


村人たちは悲鳴を上げながら四散して逃げるが、逃げ遅れた者の中には弾丸に直撃されて倒れる者もいた。


「くそっ……!」


タリーサは歯を食いしばった。銃の威力が尋常ではなく、剣で防ぐこともできない。こうしている内に何人の命が失われるのか。


「あの銃には20発の弾丸が入っていると聞きました。あと数発で弾切れを起こすはずです!」


背後からアビゲイルの声が届く。タリーサは短く頷くと、壁際の物陰に身を潜めた。


「ほら、出てこないと私を倒すことはできませんよ?」


仮面の男は勝ち誇ったように笑いながら、再び引き金を引いた。銃口から赤黒い光が放たれ、タリーサは弾丸を避けるために素早く地面に身を投げ出した。


「少しでも距離を詰めなければ……!」


タリーサは腹這いになりながら、広場の端にある物陰へと素早く移動する。彼女の動きに気づいた仮面の男が、その方向へ銃口を向けた。


「そこか!」


またしても轟音が広がり、地面に着弾した弾丸が土埃を巻き上げた。タリーサはなんとかその攻撃を避けながら、徐々に男との間合いを詰めていく。


「もう少し……!」


心の中でそう呟くタリーサの目に、一瞬の隙が映った。仮面の男が次の弾を装填しようと動きを止めたのだ。


「今だ!」


タリーサは低く構えたまま飛び出し、男の懐に入り込む。その瞬間、剣の刃先が男の腕を捉えようとしていた。

だが——。


「ふん、騙されましたね」


仮面の男が笑ったように見えた。


次の瞬間、魔核銃が再び火を噴いた。タリーサは跳躍してその場を離れるが、わずかに遅れた弾丸の衝撃波が彼女の体をかすめ、タリーサは後ろに吹き飛ばされた。


「ぐあっ……!」


倒れたタリーサに男は銃口を向ける。


「…よ。聖なる祈りによって悪虐の災いを遠ざけたまえ!!」


後ろからアビゲイルの声が響き、見えない力が男を弾き飛ばした。魔法の衝撃で仮面の男は大きく吹き飛び、瓦礫の中に倒れ込む。


「大丈夫ですか、タリーサ」


「アビゲイル様、ありがとうございます。危険ですので隠れてください」


瓦礫の中から仮面の男がゆっくりと立ち上がり、燕尾服の埃を払う。


「枢機卿様に不意を突かれるとはね…邪魔をするならお前も容赦しない…」


男はいつの間にか銃に新たな弾丸を装填し終えていた。


「く、しまった…」


「そうだ、これも使いましょうか」


そう言うと男は銃口をタリーサに向けつつ、腰に携えた短剣を抜いた。


「私はこっちの方が得意なんです。女性の首を掻っ切るのが大好きでして…」


仮面の男が魔核銃を撃つ。その轟音とともに赤黒い弾丸が放たれるが、タリーサはそれを回避しながらさらに距離を詰め、斬りかかる。


ギィン!!


タリーサの剣と仮面の男の短剣が激しくぶつかり合った。


挿絵(By みてみん)


男は器用に剣撃を受け流すものの、タリーサの鋭い剣技の前では反撃の隙を見出すことができない。


「ぐっ…!?」


男は短剣を突き出し、タリーサの胴を狙う。だが、彼女はそれを素早くかわし、返す刀で彼の剣筋を叩き落とす。仮面の男の動きがわずかに乱れる。


「なかなかやりますね…だが、これからですよ!」


言葉とは裏腹に、彼の攻撃は次第に乱れていく。タリーサはその一瞬の隙を逃さず、足元を狙って斬り込んだ。


シュッ!


黒い燕尾服に赤い筋が刻まれる。


「ぐあっ!!」


仮面の男は斬られた腿を押さえながら後退した。それでも短剣を振り回し、なんとか応戦しようとする。

しかし、間合いをさらに詰めたタリーサが一閃すると今度は男のワイシャツに新たな赤い筋が刻まれた。


「うっ…」


深手を負った男がよろめきながら倒れたかと思ったその時、タリーサの足元に向かって魔核銃を放った。


ドゴォッ!


石畳が砕け散り、土煙を上げたが、彼女は一瞬早く後ろに飛び退いていた。


男はタリーサを遠ざけようと乱射する。

彼女は銃口の向く先を見定め、冷静に位置を変えながら少しずつ後退した。


「はぁ、はぁ…やってくれましたね…」


仮面の男の息遣いは荒く、銃を握る手も震えている。短剣を持つもう片方の手は、傷口から流れ出る血を押さえるのに精一杯だった。


「これで終わりだ!」


鋭く叫び、タリーサが一気に踏み込む。

鋭い剣撃が男が持つ短剣を弾き飛ばし、もはや勝敗は決したかに見えた。


その時だった——。


「呪詛解放、ゼオラス」


広場の端で状況を見守っていたアビゲイルが、冷たく静かな声でそう呟いた。


「うっ…!」


突然、仮面の男が銃を落とし、胸を押さえる。

次の瞬間、彼の体全体が赤黒い光を帯び始めた。


「何だ……体が……」


苦しげに呻きながら、仮面の男は両手で頭を抱える。赤黒い光は筋肉を異常に膨れ上がらせ、スーツが軋む音を立てる。


「お前、何をした!!!」


仮面の男がタリーサに怒声を浴びせるが、その声には混乱と凶暴な響きが混じっていた。


タリーサが驚きの表情を浮かべる間にも、男の体は変貌を続ける。仮面が砕け落ち、露わになった顔には不気味な血管が浮き上がり、目は赤黒い光を宿している。


「グオオオオオオ!」


仮面の男は獣のような咆哮を上げ、タリーサに向かって突進してきた。


その動きは以前とは比べ物にならないほど速く、タリーサは咄嗟に男の拳を剣で受け止めるが、その衝撃に膝をつきそうになる。


「くっ……なにこの力……!」


男の力は凄まじく、剣を持つ手が震えた。男がもう片方の拳を振り下ろす。タリーサは間一髪でそれをかわしたが、その衝撃で地面が砕けた。


「なぜ……これほどの力を……!」


タリーサは後退しながらも、剣を構え直して再び態勢を立て直そうとする。だが、男の動きは止まらない。


「ガアアアアアッ!」


再び突進してきた男に剣で応じようとするが、その剣を容易に弾き返され、タリーサは吹き飛ばされて地面に倒れ込んだ。


広場の端からその光景を見ていたアビゲイルが、目を細める。


「呪詛の力…これほどとは…」


(続く)

ここまで読んでいただきありがとうございます!

「面白そう」「続きが気になる」と感じましたら、『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけますと嬉しいです!

皆様の応援が作者のモチベーションとなりますので、是非協力よろしくお願いいたします!


★あとがき★

決着が着くかに思われた時、アビゲイルが呪詛を解放しました。呪詛ってなんだ!?


次回、凶暴化した男の猛攻にタリーサ大ピンチ。そしてアビゲイルがさらに・・・

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