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第9話「解放される呪詛」 - 5

※生成AIで作った画像を挿絵に使っています。その為一貫していない部分がありますが雰囲気モノとしてご容赦ください。

アビゲイル枢機卿がタリーサを連れて村の入口に姿を現すと、待ち受けていた村人たちが一斉に歓声を上げた。


「枢機卿様がいらっしゃったぞ」

「隣にいるのがタリーサ様に違いない」


その声は次第に広がり、村全体を包み込んだ。


年老いた女性が杖をつきながら歩み寄り、タリーサを見上げた。その瞳には涙が光っている。


「おお……あなたがルーファス様の……ありがとう、ありがとう、来てくださって……」


彼女は震える手でタリーサの手を握りしめると、その場に膝をつき、深々と頭を下げた。周囲の村人たちも次々と跪き、英雄の娘に感謝を捧げる。


「皆さん、どうか頭を上げてください」


タリーサは少し戸惑いながらも柔らかな声でそう言い、微笑んだ。


人々の中には、ルーファスに救われた過去を涙ながらに語る者もいた。


かつて、戦乱に巻き込まれた村をルーファスが救い出し、平和を取り戻したという逸話がいくつも聞こえてきた。その一つ一つが、父の偉大さを示していた。


「ルーファス様と聖騎士団がいなければ、この村はとうに滅んでいました。アビゲイル様がお越しになるだけでも凄いことなのにタリーサ様まで…まさに神のご加護です」


そう語る村長の言葉に、人々は再び歓声を上げた。拍手が村中に響き渡る。


人々の歓声が少しずつ落ち着き始めた頃、アビゲイル枢機卿が前へ進み出た。村人たちはその気高い立ち居振る舞いに自然と注目を向け、広場には静寂が訪れた。


「皆様、まずはこの熱い歓迎に心から感謝いたします」


アビゲイルの声は柔らかく、それでいて一言一言が村人たちの胸に響くような重みを持っていた。彼女は手を軽く広げながら続ける。


「私はアビゲイル・クロワと申します。かつてこの地を救った英雄ルーファス卿、彼とは同じこころざしの元、このベレンニア王国の発展のため尽くしてきた者です」


観衆からは温かい拍手が送られる。


「ルーファスの娘、このタリーサ・セルヴィオラが先日父の意志を継いで聖騎士団に入団しました。今日は彼女の決意と覚悟を皆さんにお伝えする為に王都からやってまいりました。少しの時間ですが話を聞いてください」


人々の目がタリーサに向けられた。村人たちの中には、感極まって再び涙を流す者もいた。


「ルーファス卿は聖騎士団を率いて戦い、傷つき、時には命を賭してこの地を守りました。その勇気と決意が、皆様の今日の平穏を築いたのです。そして今、この困難な時代において、再び希望の光をもたらす者が現れました。それが、ここにいるタリーサ殿です」


アビゲイルの声が高まり、広場にいた人々の心を揺さぶる。彼女の言葉に合わせて、村人たちの間から再び歓声と拍手が巻き起こる。タリーサは静かに頭を下げた。


「皆様、この地を守るためには、私たちが力を合わせることが何よりも重要です。そして、その中心に立つべき存在が、タリーサ殿なのです。どうか彼女を支え、共に未来を切り開いていきましょう!」


人々は立ち上がり、拍手を送りながらタリーサの名を叫んだ。


「タリーサ様!」という声が広場を埋め尽くす。アビゲイルは穏やかな微笑みを浮かべながら、その光景をじっと見つめていた。


タリーサは深々と頭を下げた後、村人たちに感謝の言葉を述べたが、アビゲイル、そして村人たちの過剰な扱いにその胸中では大きな戸惑いが渦巻いていた。


◇ ◇ ◇


演説が一区切りし、タリーサが村人たちに囲まれながら温かな拍手を浴びていたその時、不意に民衆の輪の後ろの方で轟音が鳴り響いた。


ドゴォッ!


物凄い音に誰かが悲鳴を上げ、全員が振り返る。


仮面を着けた男が空に向かって銃を掲げ、立っていた。


その男の黒の燕尾服は埃にまみれ、返り血でところどころ黒く染まっている。その姿に村人たちは一瞬にして凍りつく。


挿絵(By みてみん)


「やっと見つけましたよ、タリーサ・セルヴィオラ…しかし…」


男はゆっくり近づいてくる。その異様な迫力に連とたちは自然と輪を解いて道を開ける。


「どうしてお前たちが一緒にいる! アビゲイル、どけ! そいつは私の獲物です!」


仮面の男が怒声を上げる。その声には疲労と憤怒が入り混じり、どこか尋常ではない狂気が漂っていた。


「皆さん、離れてください!」


タリーサが叫ぶと同時に、村人たちは我先にと広場から逃げ始めた。逃げ遅れた子供が地面にへたり込んで泣き叫んでいる。その傍で、別の村人が必死に子供を抱き上げていた。


「アビゲイル様も下がってください」


タリーサは剣を抜き、アビゲイルに振り返る。


だがアビゲイルは緊張した面持ちで、仮面の男をじっと見つめていた。その瞳には複雑な感情が揺らめいている。


「あなたは誰ですか? 村人が大勢います。この場で争いを起こしたくない」


タリーサの声は静かで、それでいて芯の通った強さがあった。


(彼が手に持っているのは…まさか新型銃?)


「ふん…貴女はすぐに死ぬ運命なのです。名前を知る必要はありませんよ」


仮面の男は冷笑すると、銃をタリーサに向けて引き金を引いた。


ドゴォッ!


轟音が響き、広場に砂埃が舞い上がる。タリーサは瞬時に身を低くして弾丸を避けた。弾丸は建物の壁に当たり大きな穴を開けた。壁は粉々に崩れ落ちる。


「壁が……!」


タリーサはその威力を目の当たりにして目を見開く。剣では防げないことを悟り、物陰に飛び込んだ。


仮面の男は、銃を次々と撃ち放つ。

彼女が隠れた壁も砕け散り、身を守ってはくれない。


「隠れても無駄だと分かったでしょう!」


弾丸は四方八方に飛び散り、その破片や跳弾が村人たちを次々と襲った。


近くの男が肩を押さえて倒れ込み、年老いた女性が息を詰めるような悲鳴を上げて地面に崩れ落ちる。

逃げ遅れた村人たちの叫びが広場に響き渡る。


「逃げていては村人たちが…」


タリーサは銃口の向きを読み、瞬時に反対側の柱の陰に飛び込んだ。轟音と共に放たれた弾丸が柱を粉砕し、その破片が彼女の髪をかすめる。


彼女は息を整える間もなく、すぐに次の射線を意識して動き出した。弾丸が地面をえぐり、周囲の空間が破壊されていく中で、彼女は身を低くして次々と物陰を移動する。


その一方でアビゲイルは、袖に隠した手を握りしめながら、冷静に戦況を見極めていた。


「魔核銃にこんなところで出会えるとはね…」


アビゲイルは低くそう呟くと、わずかに微笑んだ。その目には、ある決断の光が宿っていた。


(続く)

ここまで読んでいただきありがとうございます!

「面白そう」「続きが気になる」と感じましたら、『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけますと嬉しいです!

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★あとがき★

タイマーセットし損ねてて更新遅くなりました。

仮面の男とタリーサの決戦、そしてアビゲイルの怪しい動きを3回に渡ってお送りします。


次回、次第に仮面の男を追い込んでいくタリーサ、しかし・・・

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