第51話
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「ふう……」
国王陛下が去って緊張が解けたからか、俺は深く息を吐いた。
「「ジル……!」」
俺を呼ぶ声に振り返ると、そこには……メルザ様とベルがいた。
「はは……二人は俺の傍に、だって……」
さっきの陛下と殿下の言葉で気まずくなり、俺は苦笑しながら頭を掻くと。
「うん……うん……ボクは、ずっとジルの傍にいるよ……」
「わ、私だって……だって、私はジルの剣で、その、盾……だから……」
くそう、二人共可愛すぎるんだけど。
「あらあら……こうなっては、ベルは余の護衛から外れるしかないわね?」
羽扇で口元を隠しながら、エリザベッタ殿下が嬉しそうにそう話す。
「殿下……申し訳ありません……」
「仕方ないわね。あ、そうだ、ジルが余と結婚すれば、ベルが護ってくれることになるわね?」
「「「殿下!?」」」
殿下のとんでもない言葉に、俺達三人は一斉に突っ込む。
というか、あまりからかうのはお止めください……。
「……まあ、仕方ないので殿下の護衛は私一人でこなしますよ」
無表情のまま淡々と話すテオ公。
こらこら、仕方ないとか言うな。仕事だろ。
――ぐう。
「あ、あはは……色々あり過ぎたから、お腹空いちゃったね」
腹の虫が鳴ったアルザ様が、お腹を押さえながら恥ずかしそうにはにかむ。
「そうですね……では、帰りましょうか」
「うん!(うむ!)」
俺達は笑顔で頷くと、唇を噛むバルセロス公爵に一瞥もせずに屋敷を出て、あの寮へと帰った。
◇
「ジル、はいアーン!」
「むむ! ジル、こちらもその、ア、アーンだぞ!」
あの騒動から一か月経った昼休み。
俺はメルザとベルから同時にアーンをされている。
「ねえジル、もちろんボクのから先に食べてくれるよね?」
「何を言う! ジルは私のからに決まっている! そうだろう!?」
「むうううううううううう!」
「むむむむむむむむむむむ!」
えーと……俺をサンドイッチにした状態で睨み合うのは止めていただきたい。
「あらあら、ジルもモテるわね。じゃあ、二人がケンカしてしまうから、代わりに余がアーンしてあげるわ。光栄に思うのね」
「「はあ!?」」
お願いします殿下、これ以上この場をカオスにするのはお止めください。
「あはは、相変わらずジルさんはヒドイ男です~!」
などと暢気に言うフリをして、ゴミでも見るかのような目で眺めるテオ公。
お前も主君の暴挙を止めろよ!?
ま、それでも……こんな騒がしい日々を悪くないと思っている俺がいる訳で。
あの後、国王陛下の沙汰の通り、バルセロス公爵は侯爵位へと格下げとなり、領地や財産の一部も没収された。
それでも、相変わらず王国内に一定の影響力は保っており、殿下にとってはまだ気の抜けない状態ではある。
ただ、今回お世話になった殿下に何かあれば、俺……フレイレ家は全力で殿下を支援しようと思う。
メルザについては、今ではバルセロス家とはほぼ絶縁状態となったが、俺の聖属性魔法をサポートする重要な役割を担っているとして、王国の庇護を受けることとなった。
で、メルザからは「ボクはジルの船の乗組員なんだから、敬語はダメ!」ってことで、無理やりタメ口にさせられてしまった。
ま、まあこの辺りは、ベルに対抗意識を燃やしている部分もあるんだけど。
それに何より、もうアルザのふりをしなくて良くなったので、今では女子の制服を着ている。そのお姿は最高に尊い。
ベルはと言えば、メルザと同じく俺のサポート役、そして、俺達の護衛として、エルシド寮に転寮してきた。
今みたいに時々衝突するものの、基本的にメルザとベルは仲良くやっているので何よりだ。
……たまに二人が結託して面倒なことする場合もあるけど。
そして、頼むからあの騎士団長を何とかして欲しい。
娘が可愛いのは分かるが、かなりの頻度でベルあての手紙と一緒に俺への果たし状が届くんだけど。ほぼ呪いだよ。
そして、トニアだけど……彼女はこの学園を去ってしまった。
やはり、“魔力供給”の研究が非人道的なことを繰り返していたこともあり、アルバ家は最も重い処分……爵位をはく奪され、平民に降格となった。
この学園を去る時、俺達もトニアと最後の挨拶をした。
今まで相当思い悩んでいたんだろう。その時のトニアは、むしろすっきりとした表情を浮かべていた。
……そして、みんなに内緒で俺はトニアと定期的に手紙でやり取りをしていたりもする。
これがメルザとベルにバレたら、俺の命はないかもしれない……。
え? ミラ公はどうなったか? 知らん。興味ない。
「「ジル! どっちを食べるの!」」
「あ、あははー……」
そんな騒がしい昼食と一日の授業を終え、俺達三人はエルシド寮へと帰ると。
「お帰りなさいませ」
「ただいま、イザベルさん」
イザベルさんもバルセロス家を離れ、今では王国に雇われる形で、正式にエルシド寮の寮長となった。
ただ、俺達が卒業した後のことを考え、俺は卒業の時にフレイレ家で雇おうとも思っていたりする。
ある意味、彼女も被害者の一人だし。
さて……これで少なくともメルザはゲームと同じような未来を迎えることはないだろう。
これからは、メルザには自分の幸せのために精一杯生きて欲しい。
できれば……俺のすぐ傍で。
「「じー……」」
「ん? な、なんだ二人共?」
いつの間にか俺の顔を覗き込んでいるメルザとジル。
すると。
「えへへ……ジル、大好きだよ!」
「わ、私もその……ジルが、好きだ……」
ああもう……この二人は……。
「ああ、俺も大好きだよ……」
そう答えると、二人は咲き誇る花のような最高の笑顔を見せてくれた。
さあ、明日はどんなことがあるかな。
二人とこれからも幸せな日々が続く……そんなことを考えながら、三人で部屋へと戻って行った。
「…………………………あは♪」
ニタリ、と口の端を吊り上げる、イザベルさんの表情に気づかないまま。
お読みいただき、ありがとうございました!
この「悪役令息」については、ここで一旦、一区切りとさせていただきます!
といいますのも、この作品を改稿の上、公募にだそうと考えていたりします。
なので、この続きは春以降にでも書いていければと思います。
なんと言っても、まだラスボスの“深淵の魔女王アゼリア”が残っていますし、イザベルさんがキッチリ伏線だけ残してしまいましたしww
というわけで、再開の際はTwitterでご報告しますので今しばらくお待ちくださいませ!
また、本日新作を投稿しました!
「俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ」
下のタグから行けますので、ぜひぜひご一緒にお読みください!
少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!




