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男女逆転した乙女ゲーのヒロインポジに転生した俺は、尊みがすごい悪役令息?を全力で溺愛します!  作者: サンボン
第1章 悪役令息?の尊みがあふれ過ぎるので忠誠を誓おうと思います。
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第28話

ご覧いただき、ありがとうございます!

 部屋に戻り、染みを落としたタキシードをハンガーに掛けると、俺は普段の服装に着替えた。


 だって、上半身裸だったんだもん。


 というわけで。


「アルザ様、お待たせしました。もう入っていただいても大丈夫です」


 ドアに向かってそう声を掛けると、アルザ様がおずおずと入ってきた。


「ジル……」


 その表情はまだすぐれず、ずっと俯いたままだった。


 ……何とか、いつもの笑顔が素敵なアルザ様に戻って欲しいな。


「アルザ様、そういえばパーティーはどうなったんですか?」


 俺は少しでも話題を変えるため、そんなことを切り出してみた……んだけど……。


「あ、はは……殿下やベルからは、散々に叱られてしまったよ……」


 あああああ! 逆効果だったあああああ!

 つか、ちょっと考えたら分かるだろ俺!?

 み、見ろ! アルザ様がますます小さくなって……うう……。


「あ! そ、そうだ! アルザ様は俺のために用意していたものって何だったんですか!?」


 って、あああああ! コレも地雷じゃねーか!?

 そのせいでこんなことになったっつーのに、何で俺は学習しねえんだよ!?


「あ、あはは……その……ジルのタキシードに比べたら本当にちっぽけだけど……タキシード……をね……」


 どんどん消え入りそうな声になるアルザ様。


 な、何とかしないと……!


「ほ、本当ですか! ぜひ! ぜひ着てみたいです!」

「え……?」


 俺は身を乗り出してアルザ様にアピールすると、アルザ様の顔が少しだけ上がった。

 よ、よし! これだ!


「いやあ! アルザ様がご用意いただいたタキシードなら、それはもう素晴らしいものなんでしょうね! それこそ、俺なんかじゃ一生袖に通すことがないくらいの生地で!」


 俺はこれでもかというくらいにヨイショしてみる。


 だけど。


「……ジルのタキシードに比べたら、ちっぽけで何の価値もないよ……」


 そう言うと、アルザ様は乾いた笑いを浮かべながらかぶりを振った。


 ああもう! 本当にアルザ様は分かっておられないな!


「そんな訳ないじゃないですか!」

「っ!?」


 俺は堪りかねて、思わずアルザ様の肩をつかんで叫んでしまった。


 だって。


「確かにあのタキシードは、母上が俺のためにと心を砕いてくれたものです! ですが、心を砕いたのは、アルザ様だって同じじゃないですか!」

「で、でも! ボクは……ボクは、キミの心を踏みにじるような……!」


 ええい! まどろっこしい!

 もう変態だとか何だとか言われても構うか!


 俺は此れ以上アルザ様が自分を卑下しないように、自分自身を傷つけないようにするために、アルザ様を強く抱き締めた。


「っ!? ジ、ジル……!?」

「アルザ様がどうして俺を踏みにじったりするんですか! アルザ様はいつだって、俺のためにと優しくしてくださってるじゃないですか! それに!」

「……それに?」

「それに……タキシードに込められた想いは、アルザ様のご用意されたタキシードも、俺のタキシードも同じです!」


 そうだとも。


 どちらも、俺のことを想って用意してくれたものなんだ。

 だったら、どちらも素敵なものだってことじゃないか。


 俺はそれをアルザ様に分かっていただいて欲しくて、抱きしめる腕に力を込めた。


「……ジル、ありがとう……」

「いいえ! この場合、お礼を言うのは俺ですよ! 本当に俺なんかのために、ありがとうございます!」

「ううん……これはジルが優しいからそう言えるんだよ。普通だったら、もう二度と口をきいてくれなくたっておかしくないよ……」

「そんなことはありません! こんなアルザ様の心配り、嬉しいに決まってるじゃないですか!」


 俺がなおも力説すると、なぜかアルザ様は頬を少し膨らませ、不機嫌な表情になった。


「とにかく! 今回はボクが全面的に悪いし、全部ジルの優しさなんだから、ボクがお礼を言うべきなの!」

「いいえ! ここは譲れません! アルザ様から素敵な贈り物をいただいた俺がお礼を言うべきなんです!」

「ボクだ!」

「俺です!」


 いつの間にか言い争いになっていた俺とアルザ様。


 そして。


「ぷ」

「ふふ」

「「あはははははははは!」」


 お互い顔を見合わせると、俺達は思わず吹き出してしまった。

 だって、どっちがお礼を言うかなんていう、こんなことで言い争いするんだもんなあ。


「もう……本当にジルったら……」


 瞳に溜まった涙を指で掬いながら苦笑するアルザ様。

 だけど、さっきまでの悲壮な様子はなくなっていた。


 よかった……。


「まあそういうことですので、素敵なタキシードを二着も手に入れた俺が一番得をした、ってことでしょうか?」

「あはははは!」


 俺はわざとおどけてそう言うと、アルザ様は声を出して笑った。

 うん、やっぱりアルザ様には笑顔が一番似合う。


「じゃ、じゃあ、ぜっかくボクがタキシードをプレゼントしたんだから……そ、その……」


 するとアルザ様は、今度はもじもじしながら上目遣いで俺を見る。


 ? 何だろう?


「その……ボクが贈るタキシード、着てみてくれない、かなあ……?」

お読みいただき、ありがとうございました!


次回は明日の夜投稿予定です!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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【俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ】
― 新着の感想 ―
[良い点] 雨降って地固まる、かな? 仲良しになってよかった〜。 ……どさくさに紛れて抱き合ってるしww
[一言] ワインの染み、残らなくて良かったよ… 染みが残ったらアルザ様、罪悪感で死んじゃうよ(^_^;)
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