第12話
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「フフ、余のスピーチはどうだったかしら?」
答辞を終え、席に戻ってきたエリザベッタ殿下がものすごいドヤ顔で俺の感想をご所望。
「はい、大変素晴らしいスピーチでした。このジルベルト、非常に感銘を受けた次第です」
「あらあら、世辞が上手ね?」
そんなことを言いながらも、殿下は非常にご満悦なご様子。
「いえいえ、事実を申し上げたまでです。それに、“ベル”様も、殿下のお言葉に感激で胸を打たれておられました」
「なな!?」
突然俺に話を振られ、慌てふためくベル公。
というか、せっかく俺がヨイショしてやったんだから、上手く話を合わせろよ。
「あら、そうなの?」
「はは、はい! 大変素晴らしゅうございました!」
「フフ、ベルからはいつも言われているとはいえ、こうやって別の者から話を聞くと、あなたからの賞賛を素直に受け止めることができるわね」
「! は、はい!」
フフフ、殿下のお言葉に感激ひとしおのベル公。
だから、これからは俺のことも少しは気を遣えよ? 貸し一だからな?
ん? トニアさんや、そんなジト目で俺を見るの、止めてくれませんかね?
で、ベル公……お前はそんな熱の籠った視線で俺を見るな。
「続きまして、国王陛下よりお言葉を賜ります」
恭しく告げる司会の言葉を受け、国王陛下が壇上へと向かう。
「諸君、入学おめでとう。君達はここで三年間、様々なことについて学ぶわけだが、改めて言おう。“学園ではその地位、身分に囚われず、常に平等たれ”。今年は我が娘もこの学園に入学したが、この校則第一条は不変である。たとえ我が娘であっても、この学園においては平等。君達と同じように台頭に接することを望む」
おおう、ここで国王陛下自ら、殿下とタメでオーケーとのお墨付きがでたぞ。
ま、額面通りに受け止める奴が、果たして何人いるのかってところではあるけど。
その後も国王陛下のありがたいお言葉は続き、ようやく入学式が終わった。
学生達は各自教室へと移動する、んだけど……。
「さあジル、余たちも教室へと向かうわよ」
「「はい」」
「は、はい!」
あー……俺もいつの間にか、殿下のお付きの一人になっちまったか……。
で。
「トニア様、一緒に行きましょうね?」
「わ、私もですか!? ……はい、お供いたします」
俺が声を掛けたことで、殿下の注目を浴びてしまったトニアは、渋々俺達と一緒に教室に向かうことになった。
フ、逃がさんよ。
「殿下」
そして、講堂を出たところで、ス、とアルザ様が現れた。
「教室までの道中、ご一緒してもよろしいでしょうか?」
「ええ、構わないわよ? アル」
殿下のお許しが出ると、アルザ様は俺の隣に並んだ。アレ?
「(え、ええと……殿下と一緒にお並びにならないのですか?)」
「(む……キミはボクの隣はイヤだというのか?)」
俺がそっと耳打ちをするが、アルザ様は気に入らないらしく、ムッとした表情を浮かべた。
ええー……せっかく俺が気を遣ったのに……。
「(その、アルザ様と殿下は婚約者同志ですので、ご一緒のほうがよろしいかと思ったのですが……)」
うん、何とかアルザ様には、殿下と上手くいってもらわないと。
そうじゃないと、婚約破棄からの闇落ちルート一直線だからな。
「(……気にしなくていい。王族との婚約は、契約みたいなものなんだから……)」
そう呟いて、少しだけ寂し気な表情を見せるアルザ様に、俺は違和感を覚えた。
だって、ゲームでのメルザたんは、第一王子のことが好き過ぎて、色々とツンを拗らせて空回りして、それが原因で第一王子から嫌われていくんだから。
アルザ様……殿下のこと、好きじゃないのか?
ウーン……やっぱりゲームの世界とは、少々勝手が違うみたいだな……。
◇
教室に入り、俺達はそれぞれ割り当てられた自分の席に着く。
で。
「フン……よ、よろしくな……」
はい、俺の右隣は、ベル公でした。
恥ずかしそうに顔を背けながら、スッと右手を差し出すベル公。
「あ、あはは……よろしくお願いします、ベル様」
「う、うむ……」
俺はその手を取って握手すると、その顔はますます赤くなる。
オイオイ、口元までニヨニヨしてるじゃねーか。感情ダダ漏れだよ。
「あらあら、妬けるわね」
「ででで、殿下!? な、何を!?」
はい、何を言ってるんですか、殿下?
ベル公もいちいち反応するなよ。単に揶揄われてるだけだろーが。
なお、殿下は俺の左隣の席である。とんでもないサンドイッチの完成。
「はあ……」
で、俺の前の席で盛大に溜息を吐いたのが、これまた攻略対象の一人であろう殿下のお付きのもう一人のほう。多分宰相の娘、名前は知らん。
「……デレデレしすぎ。変態」
後ろの席でポツリ、と呟くトニア。
オイ、ちゃんと聞こえてるからな。
つか、見事に攻略対象による俺包囲網が完成。
完全に意図的であるとしか思えない。
じゃあ、残り一人の攻略対象は、俺の斜め四方にいるうちの誰かってことなんだろうけど……うん、全員男だった。
ま、まあ、攻略対象が減ることは良いことだ、うん。
すると。
「静かに」
教師であろう女性が一人、教室へと入ってきた。
「コホン……えー、私がこのクラスを担当する“ナタリア=ロメロ”だ。これから三年間、よろしく頼む。それでは、窓際の席の先頭から順に自己紹介をしてくれ」
ふむ……この自己紹介で、最後の一人の攻略対象が誰なのか、ハッキリするな。
そして、窓側先頭の席の奴から順に自己紹介を始めて行き、俺達の出番が近づいてくる。
「ハアイ! テオは“テオドラ=フェルナンデス”です! みんな、“テオ”って呼んでね!」
赤毛ツインテールの小動物みたいに小さい女の子が、元気に自己紹介をした。
だが……なんというか、その……動きの一つ一つがあざとい。
何つ―の? 媚び売ってるっつーの? そんなのがスゲー見え隠れするんだけど?
うん、あれが攻略対象の最後の一人、だな。
お読みいただき、ありがとうございました!
次回は明日の夜投稿予定です!
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