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男女逆転した乙女ゲーのヒロインポジに転生した俺は、尊みがすごい悪役令息?を全力で溺愛します!  作者: サンボン
第1章 悪役令息?の尊みがあふれ過ぎるので忠誠を誓おうと思います。
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第9話

ご覧いただき、ありがとうございます!

「ふう……」


 いよいよ今日は入学式。


 俺はまだ外が暗い中、一人ベッドに寝転がりながらこれからどうするかについて考えを巡らせていた。


 まず、アルザ様が闇落ちしない方法。


 “束縛のアゼリア”では、メルザたんが卒業記念のパーティーの衆目の場で、学園での行いについて攻略対象から散々に糾弾され、挙句の果てに第一王子から婚約破棄を宣言されたことが原因で、闇落ちするんだったな。


 つかこの展開、今から考えてもベタ過ぎるよなあ。

 ゲームが発売されても売れなかった可能性が非常に高そう。


 おっと、考えが逸れた。


 とにかく、アルザ様が糾弾だの婚約破棄だのされないためには、ツンの部分だけじゃなくてデレの部分を攻略対象に理解してもらう必要があるな。

 や、実際、アルザ様のデレの部分を知ったら、攻略対象も俺なんかよりアルザ様を愛でることうけ合い。


 そして、次に俺。


 俺が本当にヒロインの立場なら、攻略対象とのイベントがこれでもかというほど用意されてる訳だが、深淵の魔女王であるアゼリアを倒すためにも、攻略対象とのイベントをこなしつつ、あくまでも“お友達”ポジにいないといけない。

 つまり、俺は攻略対象の男……もとい、女の子達が傍にいながら、キャッキャウフフすることなく、ひたすら賢者で居続けろってことだ。

 何このハードモード、つか罰ゲームって思わなくもないが……これもアルザ様のためだ、諦めよう。チクショウ。


 その代わり……メルザたん(アルザ様)の最高の笑顔で癒されるのだ!

 はあ……メルザたん(アルザ様)カワイイ……って、やっぱり俺はもうダメだああああ!?


 ハア、ハア……………………ハッ!?

 イカン、落ち着け俺!


 とりあえず、そのためにも俺は攻略対象をキッチリ把握しておく必要があるな……。


 えーと……“束縛のアゼリア”の攻略対象は五人、だったな。


 一人目は、言わずもがな第一王子である“エリオス=フォン=エストレア”。

 コッチではエリザベッタ殿下だ。


 二人目、騎士団長の長男、“ベルトラン=アロンソ”。

 多分、コッチでも脳筋な女の子なんだろう。仮に付き合ったらメンドクサイし想いが重いしで、できれば遠慮したいタイプ。


 三人目、宰相の次男、“ミケル=グスマン”。

 コッチもどうせ眼鏡を掛けてクイ、とかしてそう。つか、ゲームと一緒なら騎士団長の息子(娘)と一緒に、エリザベッタ様の取り巻きのはずだ。


 四人目、伯爵家の長男で魔法の天才、“トマス=アルバ”。

 彼(彼女)については、ヒョロッとしていていつも眠そうな表情でいる奴……って、確かコイツ、いつも研究室に籠ってるから出会いイベントが限定的だったはずだぞ!?

 わ、忘れないようにしないと……。


 最後に五人目、東の辺境伯の三男でこのゲーム一番の癒し系、“チコ=フェルナンデス”。

 とにかく……すごい甘えん坊、いや、あざといんだよな。いつも打算で動いていて、長いものに巻かれる感じ。それをヒロインに指摘されて、絆されるんだけど、ぶっちゃけ放っときゃいいのに。


 ま、まあこんな感じで、五人が五人、一癖も二癖もあるんだけど……家柄、容姿、能力はハイスペックで、非の打ちどころがない。

 さらに、この五人のうち、最低一人のルートに入らないと、“聖女”に覚醒せずにバッドエンドを迎えてしまう。


 はあ……考えれば考えるほど頭が痛い……。


 とはいえ。


「俺がしっかりしねえと、アルザ様が闇堕ちしちまうんだ。大変でもやるしかねえだろ」


 俺は気合を入れ直すために両頬を叩いた。


 ◇


「では、行ってくる」

「行ってきます」

「行ってらっしゃいませ」


 俺とアルザ様はイザベルさんに見送られながら寮を出ると、校門を目指して歩く。


「え、ええと、アルザ様……私と一緒にいて大丈夫ですか?」


 俺は他の学生に見られることを危惧し、おずおずとそう尋ねる。


 だけど。


「……ジル、キミはまだそんなことを気にしているのか? それとも、キミはこのボクと“友達”でいることがイヤなのか……?」


 アルザ様はキッ、と俺を睨んだ。その瞳に悲しさをにじませながら。


「まさか! 私はアルザ様と、その……と、“友達”でいること、誇りに思っております!」

「っ! そ、そうだな! ならば、キミは気にするな!」


 おーおー、アルバ様ときたら嬉しそうな顔して。

 お持ち帰りし……たらダメだろ俺!?


 とにかく俺はこの間違いを起こしそうな感情を必死で抑え、アルザ様の隣……から半歩下がって並んだ。


 すると。


「ごきげんよう、アル、ジル」


 後ろから声を掛けられて振り返ると、そこにはエリザベッタ殿下がいた。

 そして、その両脇に二人の女の子を従えて。


「「おはようございます、殿下」」


 俺とアルザ様はその場で跪き、殿下に挨拶をする。


「二人とも、いちいち跪くのはやめなさいな。今日から三年間、共に学ぶ者同士、そのような畏まった態度は不要よ」


 嘘吐け、フレンドリーにした瞬間、『不敬だ』つってブチギレるくせに。

 俺は俯きながらそんなことを考えていると、肩をポン、と叩かれ……って、これ剣で叩かれてね!?


「フム……貴様、殿下のお言葉を額面通りに受け取るなよ?」


 剣を俺の肩に置いたまま、お付きの一人が尊大にそう告げる。

 ……コイツが多分、攻略対象の一人である騎士団長の娘だろう。


「……もちろん、承知しております」

「なら良い」


 騎士団長の娘? が、俺の肩から剣を引くと、鞘へと納める。


 だが、この一連の行為を看過できない人物が一人いた。


「貴様! ジルに刃を向けるとは、親である我がバルセロス公爵家を侮辱するつもりか!」

「っ!?」


 うおお!? アルザ様がキレた!?

 アルザ様、あまり軽々しく怒ったりすると、攻略対象の心証が!?


 俺は恐る恐る騎士団長の娘? を見ると……ほらあ! メッチャ青筋立ててらっしゃる!


「ア、アルザ様! 私はなんともありませんので!」

「キミが良くても、このボクは許せんのだ!」


 あああ……ど、どうしようコレ!?


「フフ……“ベル”、今のはそなたが悪い。謝罪しなさい」

「殿下……ハッ!」


 エリザベッタ殿下に窘められ、さすがに騎士団長の娘? ……“ベル”も苦虫を噛み潰した表情を浮かべつつも、アルザ様へと向き直る。


「……アルトレーザ殿、申し訳ありませんでした」

「謝罪する相手を間違えているだろう! 騎士団長はそんな常識も教育していないのか!」

「っ! 父は関係「なんだ貴様! 本当に謝罪する気があるのか! どうなのだ!」…………………………」


 アルザ様に的確に指摘され、頭に血が上ったベルが反論しようとするが、二の句を告げさせないとばかりにアルザ様が畳みかけられ、彼女は肩を震わせながら押し黙る


 うん、アルザ様のほうが格も器も上だわ。

 だけど、お願いですから攻略対象の好感度を下げるようなことはしないでください。


「……すまなかった」

「あ、ああいえ、私は気にしておりませんので……」


 ものすごくイヤそうに謝るベル公に、俺は気にしてないと手を振りながらジェスチャーした。


「さて、ここで立ち止まっていても仕方ない。余は失礼するぞ」

「「…………………………」」


 殿下はニヤニヤしながらそう言うと、お付きの二人を連れて去っていった。絶対楽しんでるだろ、コレ。

 で、ベル公はすれ違いざま、俺をひと睨みしていきやがったけど。


「何なのだアイツは!」


 三人の背中を見ながら、激昂するアルザ様。

 攻略対象の好感度下がるのは良くないけど、アルザ様に完全同意。


 あのベル公、性格最悪。


「と、とりあえずアルザ様、今のことは忘れて、私達も向かいましょう」

「む、むむ……そうするか」


 俺が宥めると、アルザ様はようやくその矛を収めてくれた。


「ですが……アルザ様、ありがとうございました!」

「ふあ……お、親として当然のことをしたまでだ」


 俺はアルザ様が俺のために怒ってくれたことが嬉しくて、深々と頭を下げると、アルザ様は照れくさいのか、顔を背けてそんなことを言った。


 ですけどアルザ様……俺の家、アルザ様の家の子じゃないんだけどなあ……。

お読みいただき、ありがとうございました!


次話は今日の夜投稿予定です!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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【俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ】
― 新着の感想 ―
[一言] おお、たくさん出てくるぞ… 頑張って覚えないと…(名前覚えるの苦手w)
[一言] 今のところアルちゃんだけが天使でヒロインでイケメンだな…? 主人公もしっかりヒロインしてる。() 更新楽しみにしています。
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