第8話:天才ロリ小悪魔の夜這いと、腹筋タッチパネルハプニング
蘭さんの究極の膝枕による吸熱ヒーリングで辛うじて一命を取り留め、俺は二階の物置部屋の狭いベッドへと横たわっていた。
南国特有のじっとりと湿気を含んだ生暖かい夜風が、窓の隙間から微かに吹き込んでくる。
(……あのままカウンターにいたら、別の意味で俺の理性が完全に溶かされて終わっていたな。恐ろしいバブみだった)
ベニヤ板一枚の薄すぎる壁の向こうからは、隣の部屋で寝返りを打つ衣擦れの音がダイレクトに届いてくる。
幾多の死線を潜り抜けた死神の聴覚には、小梅の微かな寝息すらも筒抜けだった。
「ん……あの朴念仁……壁ドンのとき、なんであんなに強引なのよ……バカ……」
(……おい小梅。夢の中でまで俺にツンデレを発揮するのはやめてくれ。堅物の理性が内側から削られるだろ)
俺が苦笑して目を閉じようとした、その時だった。
『ワン!』
可愛らしい柴犬型の電子音とともに、部屋のスマートロックが外から勝手に解除された。
次女・李小飛が操る群体AIの、過剰忖度ハッキングである。
ギィ……と古いドアが開き、薄暗い月光のなかから一つの影が平然と足を踏み入れてきた。
だぼだぼの青いパーカーをすっぽりと被り、裾からは白く健康的で瑞々しい生足の太ももを完全に露出させている。
国家防壁を面白半分で散歩する天才ハッカー、李小飛だった。
彼女はフードの奥でニヤニヤといたずらっぽい笑みを浮かべ、愛らしい八重歯をチラリと覗かせる。
「あはは、見ーつけた。おじさん、まだ身体がすっごい熱いじゃん」
「お姉ちゃんには内緒で、私がもっと冷ましてあげよっか?」
(お、おい待て小飛。なんで深夜に男の部屋のロックを勝手にハックして入ってくる。お前、羞恥心というブレーキが完全にバグってるぞ!)
俺の内心の焦りなどどこ吹く風。
小飛は一切の躊躇なく、パーソナルスペースゼロの距離感で、俺の寝ている狭いベッドの中へと強引に潜り込んできた。
(ア、アウトだ! 布地越しとはいえ、少女特有の弾けるような柔らかい肉圧が、俺の腕にダイレクトに……っ!)
だぼだぼパーカーの下に秘められた、確かな女の子としての成長と体温が、無防備にベッタリと押し付けられる。
◆ ◆ ◆
「ほら、私の手足、冷え性だから冷たいでしょ?」
「ここ、当ててあげる」
いたずらっぽい笑みを浮かべてニヤニヤと愛らしい八重歯を覗かせた小飛は、パーカーの裾から伸びる白く柔らかそうな生足をパタパタと小刻みに揺らした。
そして、自身の冷たい手足を、俺のテックウェアの隙間へと強引に滑り込ませてきた。
ひんやりとした少女の細い指先が、限界までバキバキに引き締まった俺の腹筋を直接、無造作に撫で回す。
(お、おい待て! 距離が近すぎる! なんだこの生足の滑らかな触覚は……っ!)
容赦のないゼロ距離のスキンシップ。
だぼだぼパーカーの下に秘められた、確かな女の子としての成長と柔らかさが、俺の腕や背中に遠慮なく押し付けられる。
(いくら精神は擦り切れていようと、今の俺の肉体は健康そのものの若者なんだ! 直接腹筋をタッチパネルみたいに弄るんじゃねえ!!)
ジ、ジ、チチチ……!
案の定、至近距離の動揺――感情パラメータの乱れを検知した左目の青いレンズが、激しく電子音を立て始めた。
一度は蘭さんの膝枕で収まったはずのシステムが、再び『チチチチチ……!』と悲鳴のような焦りの駆動音を爆音で刻み始める。
(まずい、また脳が沸騰する……っ! おい小飛、お前の冷え性の手足より、俺のデバイスの発熱スピードの方が圧倒的に速いぞこれ!!)
◆ ◆ ◆
次回予告:第9話『左右からの密着サンドイッチと、翌朝の包丁修羅場』
(次号、小飛の夜這いに気づいた長女・小梅が部屋へ乱入! 狭いベッドの上で激しい姉妹喧嘩が勃発するなか、中央に挟まれた志明の肉体は、ナノ繊維の悲鳴『ギチギチ』とともに前代未聞の肉圧で押し潰されて――!?)
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