第41話:共犯者の細い指先と、弟子と群体AIの逆探知一撃
意識が暗転し、キーボードへ向けて崩れ落ちそうになった志明の右手に、強烈な熱い温もりが重なった。
小梅が、自身の紺色タイトスーツの繊維をギチギチと激しく軋ませながら、志明の手を、その細くしなやかな指先で強く強く握りしめたのだ。
彼女の神聖な瞳からは、大粒の涙がボロボロと溢れ、志明のテックウェアへと滴り落ちていた。
しかし、その瞳には、一ミリの怯えも絶望もなかった。
自分を過去の亡霊から救い出してくれた男と、地獄の果てまで運命をともにするという、真のメインヒロインとしての絶対の覚悟だった。
「一人で逝かせないって言ったでしょ、バカ朴念仁……っ!」
「どんな歴史の闇に消えるとしても、私はあんたの隣にいる! 私は、あんたの真の共犯者なんだから!!」
(――っ! 手のひらから、小梅の、強烈すぎるほどの女の子の体温が流れ込んでくる)
(脳内のモノクロの死の世界が、こいつの涙の温もりで、一瞬で色を取り戻していく……っ!)
◆ ◆ ◆
「お姉ちゃんばっかりずるい! おじさんの右手が空いてるなら、左手は私のものなんだからね!」
志明の左側から、だぼだぼの青いパーカーを揺らした次女・李小飛が突入し、瑞々しい生足の太ももを志明の腰へと完全に密着させてホールドした。
彼女はいつものニヤニヤとした笑みを完全にかなぐり捨て、自作の群体AI『D.O.G.E.』の全柴犬型ホログラムエフェクトを限界突破のオーバードライブで起動する。
小飛の天才的な指先がサブコンソールを音速で掠めるたび、仲達が白帝城の裏側に隠蔽していた、最終量子防壁の『唯一のバックドアの座標』がミリ秒単位で逆探知されていく。
「見つけたよ、あの陰湿ロシア大統領の隠しコマンド!」
「おじさん、私のドッジの全並列回線、全部おじさんの左目に同期してあげる! 魏のシステムごと、これでもかとぶっ壊しちゃえ!!」
(小飛……! 完璧なバックドアの座標データだ!)
(これなら、数百年単位の暗号演算を、たったコンマ零秒でスキップして最深部へダイブできる……っ!)
二人の美少女の体温と電脳サポートを受け、死神の指先が再び量子キーボードの上で獰猛に覚醒した。
◆ ◆ ◆
次回予告:第42話『イーロン・リンク限界突破(一秒の奇跡)と、愉快犯ゲームマスターのデレ』
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