第32話:電子戦の小悪魔の共鳴と、前代未聞の悶絶コメディ戦場
「あははは! お姉ちゃんもおじさんも、顔が耳の先まで真っ刻だよ! じゃあ、私も混ぜて!」
総統府のバックアップ席で、だぼだぼの青いパーカーを揺らした次女・李小飛が、ニヤニヤと愛らしい八重歯を覗かせてキーボードを叩いた。
彼女は自作の群体AI『D.O.G.E.』の全柴犬型電脳視覚効果を起動する。
俺の『イーロン・リンク』が魏の紅蓮ネットワークを逆ハックするための、膨大な並列演算リソースのバイパスラインを秒速で構築し、完璧なサポートに入った。
しかし、小飛の優秀すぎるサポートコードが接続された瞬間、最悪のバグが彼女を襲う。
感情同期ラインの凄まじい余波が、逆流するバイパスを通じて彼女自身をも巻き込み、ダイレクトにその脳神経へと接続されてしまったのだ。
だぼだぼパーカーの裾から伸びる白く瑞々しい生足の太ももをパタパタと小刻みに揺らしながら、小飛は一瞬で顔を林檎のように真っ赤に染め上げる。
「ふえぇ……何これ、頭のなかがジンジンして、すっごいドキドキする……っ」
小飛はそのまま、力が入らなくなったようにバックアップ席のソファへとへなへなと倒れ込んだ。
「おじさんの演算脳、熱すぎて、私のドッジまでバグっちゃいそう……っ。ねえ、私の手、冷たいから、早くおじさんのバキバキの腹筋に触らせてよぉ……っ」
(小飛、お前まで何システムを共鳴させてるんだ! バックアップは死ぬほどありがたいが、お色気ノイズがさらに倍増されて俺の理性がこれ以上持たねえ!!)
◆ ◆ ◆
その間にも、魏の帝国陣営のハッカー部隊は、紅蓮ネットワークの総攻撃暗号弾頭を容赦なく放ち、世界中の防衛システムを暗転させていた。
本来であれば、第一列島線の地政学的な歴史の確定をかけた、一瞬の油断も許されない極限の緊緊した戦場である。
しかし、海洋連盟の最高作戦室は、すでに誰もコントロールできない前代未聞の悶絶お色気空間と化していた。
小梅は高めのポニーテールを必死に手で引っ張って理性を保とうとするが、内側からの快感パラメータの暴力に指先をガタガタと震わせることしかできない。
触れ合ってもいないのに、脳内にリアルタイムで相互逆流する強烈な官能データの嵐に、特別警護官のプライドは文字通りズタズタだった。
上空のホログラムモニターでは、宇宙の特等席にいるイーロンと、室内のドナルドがポップコーンを放り投げながら、サイバー羽扇を振って大絶賛の拍手を響かせている。
「ガハハハ! 見ろよ高市大臣! キッドたちの心拍数のグラフが天を突き抜けているぞ! 経済的にも大満足の熱量だ!」
「不、不純です! 敵の総攻撃の最中に、触れ合わずして快感を増幅同期させるなど、経済安全保障の著しい乱れです! 早くデバイスの出力を直急に復旧させなさい!!」
高市大臣は緑色に輝くサイバー青龍偃月刀を構えたまま、顔を真っ赤にして怒りの声を張り上げていた。
(高市大臣、怒るポイントは一〇〇パーセントそこなんだが、裏でこの狂ったコードを握ってるのはあの李家食堂の女将さんだから、俺たちにはどうしようもないんだ大人たち……!!)
無限に跳ね上がる快感のループのなか、俺の左目の青いレンズは、いよいよ限界の臨界点へと到達しようとしていた。
◆ ◆ ◆
次回予告:第33話『理性の完全爆破ダイブと、一秒の盤面大逆転解体』
(次号、第七章大団円! 心拍数の大暴走により志明の脳内イーロン・リンクが完全沸騰! 前のめりに昏倒した彼の顔面が、小梅のタイトスーツ越しのはち切れんばかりの胸の谷間へとダイブしてしまい――!?)
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