第31話:快感一二〇パーセントの呪縛と、心拍数の凶悪な無限ループ
ピピッ、と志明と小梅の脳内で、完全に構造の書き換えられた未知のエラー音がけたたましく鳴り響いた。
『警告:生体接続ラインが未知の超越コードによって書き換えられました。痛覚同期を完全に遮断――脳内の快感パラメータおよび心拍数の相互同期、出力を一二〇パーセントへ限界突破して強制変更します』
蘭さんの恐るべき親バカ(嫌がらせ)マウントハックにより、痛みを共有するはずだった軍事回線は、一瞬にして世界で最も過激なエロコメ空間の呪縛へと裏返ってしまった。
触れ合ってもいないし、声をかけたわけでもない。
なのに、勝手に同期された電子ラインを通じて、お互いの脳神経の快感伝達パスが物理的に完全結合されていく。
俺の全盛期の若すぎる肉体と、小梅の神聖な特別警護官としての理性が、内側からドロドロに強制溶解を始める。
「な、何よこれ……!? 頭の奥が、変に熱くて、身体の芯がガタガタ震えるんだけど……っ!」
小梅は内側から突き上げる未知の熱量に翻弄され、潤んだ瞳で自身の身体を抱きしめるようにして震えていた。
(痛覚を消した代わりに快感と心拍数を一二〇パーセント増幅して同期とか、蘭さん、怒るポイントと調整の方向性が色んな意味で凶悪すぎるだろ!!)
◆ ◆ ◆
俺の胸の奥が、ありえない速度で「ドクン、ドクン」と凶悪に脈打ち始めた。
すぐ隣に立つ小梅が、冷たい雨で濡れて肌に吸い付いた紺色のタイトスーツ越しに、自身の驚異的に豊満な胸元を両手で押さえ、艶っぽい吐息を漏らしてへなへなと床へ崩れ落ちる。
俺が、彼女のスーツの限界まで引き裂かれそうなGカップの圧倒的な肉感を見て心拍数を上げると、そのデータが同期ラインを通じてコンマ零秒で小梅の脳へダイブした。
小梅は俺の男としての生々しい鼓動の熱量を直接脳内で感じてしまい、「ひゃんっ!?」とさらに心拍数を跳ね上げる。
正式に結合された同期フィードバックによって、跳ね上がった小梅の羞恥の鼓動が、再び俺の脳へと逆流してくる。
二人の心拍数は触れ合ってもいないのに最悪の相乗効果を起こし、あっという間に臨界点のレッドゾーンへと突入した。
互いの視線が薄暗い作戦室の中で交錯するたび、まるで全身の肌を濃密に擦り合わせているかのような、生々しい肉体パラメータの連鎖が止まらない。
「だ、ダメ……っ! あんたの心臓の音が、頭の中に直接響いてきて、息が……うまく、できない……っ」
小梅は完全に上気した顔で、衣服のジッパーをギチギチと軋ませながら胸元をかきむしるように悶絶している。
(止まらねえ……っ! こいつの女の子としての高なりすぎた鼓動が、俺の若い肉体の暴走をさらに加速させてやがる……っ!)
百万の電脳大戦を裏側でお膳立てしているはずの作戦室は、今や電子の糸で絡め取られた二人の、甘く過激な吐息だけで完全に支配されようとしていた。
◆ ◆ ◆
次回予告:第32話『電子戦の小悪魔の共鳴と、前代未聞の悶絶コメディ戦場』
(次号、二人の熱暴走を見かねた次女・小飛が自作AI『D.O.G.E.』を引っ提げてサポートに参戦! しかし、優秀すぎるバックアップコードが接続された瞬間、小飛自身もこの過激な同期の余波に巻き込まれてしまい――!?)
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