第29話:赤壁の大号令(台湾海峡封鎖)と、海洋連盟の総力出陣
総統府のメインモニターが、突如として魏の帝国陣営の一色である『不気味な赤』に染まり、激しいノイズを上げていた。
ジャミングを突き破って大画面に映し出されたのは、最新の豪奢な人民服に身を包み、傲慢に不敵な笑みを浮かべる絶対独裁者・習孟平の姿である。
彼は百万の人民の脳を強制量子接続した、非人道的な並列演算システム『紅蓮ネットワーク』の完全起動を世界へ宣言した。
それはまさに、数百万人の脳細胞が電子の鎖で繋がれ、一斉に蠢く百万人の脳の鳴動による圧倒的な電脳の嵐だった。
「全世界の愚民どもよ、我が魏の『紅蓮ネットワーク』の演算は神の領域に達した!」
「台湾の頼玄徳よ、大人しく北京に跪くがいい!」
画面の向こうの独裁者の大号令と同時に、台湾海峡を何千隻もの黒いステルスドローン艦隊が物理的に包囲し、完全なる封鎖作戦が開始される。
第一列島線の全域に、帝国の圧倒的な「物量」によるサイバー圧力が限界突破で押し寄せてきた。
「不純な軍事侵略など、この私が絶対に認めません!」
「志明、迎撃体制の構築を急ぎなさい!」
海洋連盟の頼玄徳総統が悔しげに唇を噛むなか、最前線の通信指揮官として立つ俺――陸志明の左目の青いレンズが、敵の暗号波形を検知して妖しく明滅を始めた。
(ついに仕掛けてきやがったな、習孟平。百万の脳を繋いだ力任せの並列接続か)
(……確かに今の海洋連盟の電子防壁では、一瞬で消し飛ばされる凶悪な物量演算だぞ)
◆ ◆ ◆
その時、総統府の作戦室に、凄まじい金属の軋み音が鳴り響いた。
アメリカのドナルド・翼徳が、金色の巨大なサイバー鎧の虎の肩当てをギラつかせ、蛇矛型のサイバー杖を床にドスンと突き立てたのだ。
彼は赤いMAGAヘルメットを乱暴に叩きながら、豪快なハンドサインで全軍 of 指揮回線を力づくで掌握していく。
「ガハハハ! 北京のピエロめ、世界を囲んだつもりか!」
「俺の超強力な電磁気関税障壁を喰らい、その資金回線ごと干からびるがいい!」
ドナルドの咆哮に呼応するように、その隣では日本の高市雲苗経済安保大臣が、シャープな黒髪ショートを激しく揺らしていた。
彼女は緑色に妖しく発光する巨大な『サイバー青龍偃月刀』を起動し、毅然とした態度で前を見据える。
「日本防衛陣営、これより経済安全保障の最終防壁を展開します!」
「志明、あなたに海洋連盟のすべてのバックアップラインを委ねます!」
大国の大人たちが、第一列島線の防衛線を死守するためにその全戦力を起動させる、まさに電脳版『赤壁の開戦』の瞬間だった。
(ドナルドのアメリカハックと、高市大臣の経済安保防壁。……二人ともさすがに頼もしいな)
(だが、敵の紅蓮ネットワークの圧倒的な物量演算を正面から受け止めるには、これでもまだ、決定的に何かが足りない……!)
俺がキーボードに指を走らせ、防衛線の再構築を試みようとしたその時、作戦室の空間そのものが、あり得ない電子の輝きに包まれた。
◆ ◆ ◆
次回予告:第30話『神の悪ノリ同期プログラムと、怒れる李家食堂の超越者』
(次号、緊迫する決戦の場に、お邪魔神イーロン・孔明が最悪の縛りプレイプログラムを引っ提げて乱入! しかしそこへ、台北の路地裏から怒れる最強の母親・李蘭さんの圧倒的なマウントハックが強制上書きされてしまい――!?)
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