第14話:最南端リゾートの極秘警護と、過激すぎるサイバー水着
台湾最南端、燦々とした太陽とどこまでも青い海が広がる最高峰のビーチリゾート地――墾丁。
その一角にある、一般客を完全にシャットアウトした海洋連盟の極秘外交施設が、今回の任務の舞台だった。
地政学リスクの緊張から一時的に解放された大人たちのリフレッシュを兼ねた、極秘の警護任務である。
南国特有のじっとりと湿気を含んだ、肌にまとわりつくような生暖かい風が、ヤシの木を揺らして吹き抜けていく。
俺――陸志明は全盛期の若くしなやかな肉体にテックウェアを纏い、周囲の警戒を行っていた。
復讐のゲリラ兵として泥水をすすり続けた地獄のような歳月を思い返せば、この眩しすぎるリゾートの光景は、どこか現実味を欠いていた。
「ガハハハ! 頼総統、ここのロケーションは最高だな! アメリカのマイアミにも負けていないぞ!」
「経済安保の疲れも一発で吹き飛ぶというものだ!」
武骨なサイバー鎧を脱ぎ、ド派手なアロハシャツ姿になったアメリカのドナルド・翼徳が、豪快に笑いながらグラスを掲げる。
その隣では、日本の高市雲苗大臣が日傘を差し、経済安保の重圧を一時的に忘れたように優雅にお茶をすすっていた。
「ドナルド、羽目を外しすぎてはいけません。ここは魏の帝国陣営の潜水艦回線からも近い、地政学的な最前線なのですから」
(大国の大臣たちが集まって、リフレッシュと地政学の講義を同時にやるな。平和ボケにも程がある)
俺は冷徹な死神の眼差しで水平線を睨み、いつでも電子戦へ突入できる戦闘モードのまま、静かに砂浜に佇んでいた。
◆ ◆ ◆
「お待たせ、志明。……って、何よその目は」
「安全管理のための、|潜水戦闘用サイバー水着なんだからね」
施設のプライベートビーチの影から、小梅が耳の先まで真っ赤に変形させながら現れた。
彼女が身にまとう国家安全局支給の『紺色のサイバーハイレグ水着』は、およそ任務用とは思えないほど過激な設計だった。
驚異的に豊満なGカップの胸元をこれでもかと肉感的に強調し、極限まで切れ上がったラインが視線を釘付けにする。
しなやかなウエストと丸みのあるヒップのラインが、南国の太陽の下で一二〇パーセント露わになっていた。
小梅はこみ上げる羞恥のまま、高めのポニーテールをきゅっと片手で掴み、ぐぐっと下に引っ張る固有の仕草を炸裂させる。
腰の防水ホルスターへ手を添えているが、俺への無自覚なドキドキのせいで、その細い指先は微かに震えていた。
「ミリタリー仕様の特殊ナノ繊維なんだから、変な下心でジロジロ見たら本当に射殺するわよバカァ!!」
そこへ、だぼだぼの青いパーカーのフードを深く被った小飛が、砂浜をドタバタと駆け抜けて突入してきた。
信じられないことに、彼女はだぼだぼパーカーの下に、下着代わりに紺色のスクール水着を着用していた。
小飛は平然とパーソナルスペースゼロの距離感で、俺の右腕へと強引に抱きついてくる。
「おじさん、見て見て! お姉ちゃんのハイレグもエロいけど、私のスク水姿も健康的で可愛いっしょ?」
「ほら、背中にあーんしてあげよっか?」
ニヤニヤと愛らしい八重歯を覗かせ、瑞々しく柔らかそうな生足の太ももをパタパタと揺らす小飛。
布地越しにダイレクトに伝わってくる、確かな女の子としての柔らかさと熱い体温が、俺の腕を平たく押し潰した。
(お前ら、リフレッシュする気満々じゃないか。国家存亡の極秘任務中だという自覚を持ってくれ!)
(……いや違う、若すぎる肉体が、至近距離の肌の露出に勝手に熱を帯びてやがるだけだ。落ち着け俺の理性……!)
ジ、ジ、チチチ……!
案の定、至近距離の動揺と爆発的な心拍数を検知して、俺の左目の青いレンズが早くも焦りの電子音を鳴らし始める。
最悪の排熱エラーが起動する直前、リゾートを包む生暖かい空気が、一瞬にして不気味なほど冷たく凍りついた。
◆ ◆ ◆
次回予告:第15話『極寒の地に潜む最凶の呪術師と、ハック封印の電波暗室』
(次号、平和なリゾート空間に突如として真っ赤なエラーログが埋め尽くされる! 極寒の地モスクワから、最凶のサイバー呪術師ウラジーミル・仲達が放った最終兵器により、志明の最強ハックが完全に封印されてしまい――!?)
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