第13話:バニーを護る死神の無双と、帰還後の無自覚な嫉妬
大人たちのコメディ・サンクションが極まる空間に、突如として無機質な警告音が鳴り響いた。
魏の帝国陣営の侵略ハッカー部隊が、醜悪なデジタル装甲兵アバターの群れを率いて、量子空間の防壁を破り突入してきたのだ。
「ハハハ! 台湾の安全局はバニーガールの見せ物小屋か! 脆弱性ハックのプログラムを喰らい、システムごと消し飛ぶがいい!」
敵の装甲兵たちが、データ消去の暗号弾頭を一斉に放つ。
小梅は過激な白バニーの羞恥心で完全に身動きが取れず、耳まで真っ赤にして涙目で睨みつけることしかできない。
俺は冷徹な死神の瞳の奥に狂気的な闘志を宿し、恥じらう小梅の前に、自らの全盛期の若い肉体を無造作に投げ出して立ち塞がった。
「あんたたちが歴史のコードを書き換える前に、俺がそのペンを折ってやる。――一瞬でな」
右手の親指と中指を重ね、デジタルな風が吹く仮想空間を切り裂くような鋭さで「パチン」と指の音を響かせる。
超未来ハッキング技術――『量子解体』の起動である。
(魏の物量演算をコンマ秒で無力化し、かつ一兵卒にいたるまで完全に戦意とプライドを挫くには、人工物である武器と衣服のセキュリティのみをピンポイントで解体するのが最も演算負荷が低く、最も効率的だ)
大真面目で冷徹な、死神の戦術的合理性(狂気)。
俺の左目の青いレンズから、圧倒的な密度を誇るコードの濁流が、敵の群れへ向けて一気に放たれる。
未来知識の暗号キーの一斉掃射。
それは魏の工作員どもの強固な赤い六角形のポリゴン防壁へと衝突し、『パリン……パッリィィィン!!』と、まるでガラスが派手に粉砕されるかのように光の破片となって虚空へ飛び散らせた。
敵のセキュリティを瞬時に完全掌握。
俺は一歩も引くことなく、背後のバニーたちを護るための凶悪な解体コードを、敵のアバター群へ向けて力づくで叩き込んだ。
魏の侵略ハッカー部隊のアバターは、システムごと一瞬で分子崩壊を起こした。
強固なデジタル装甲も、隠し持っていた暗号ウイルスも、身にまとっていた衣服も、すべてが光の砂となって虚空へと消滅する。
後に残されたのは、量子空間のど真ん中に誕生した、魏の工作員たちの「完全なる全裸アバター」の群れだった。
デジタル触覚によって仮想空間の冷たい風をダイレクトに股間に浴びて、前を隠しながら右往左往し始める。
「ひぃっ!? な、なんだこれは!? 我が軍の無敵のデジタル装甲が、一瞬にして光になって消えたぞ!?」
「服がない! 誰か、早く私に前を隠すポリゴンをよこせええええ!!」
この無様な公開処刑のログは、台湾最大のネット掲示板や国際的SNSへとリアルタイムで爆速拡散され、ネット世論は一瞬でお気楽な爆笑祭りへと雪崩れ込んだのである。
◆ ◆ ◆
【爆卦】魏の侵略部隊、サイバー空間で大自然に還る(全裸アバター)
1 推 台北のタピオカ:
クッソワロタwwww画面の前でミルクティー噴き出したわどうしてくれんだwwww
2 推 路地裏の狼:
魏の暗号防壁を面白半分で突破して衣服だけ量子解体とか、やった奴の性格が悪すぎるだろ(最大級の大絶賛)
3 嘘 五毛工作員(北京):
これは台湾当局の卑劣な合成動画だ! 我が国の精鋭アバターが全裸なわけがない! 騙されるな!
4 推 夜市のジーパイ:
>>3 往生際が悪すぎて草。むさい男の全裸グラビア生配信とか誰得なんだよwww 目が腐るわ!
5 推 新北の盾:
これ、普通のハッカーの仕業じゃない。都市伝説の『GHOST』だろ!
魏の物量システムをたった一秒で全裸化して無血開城とか、神すぎる。いいぞもっとやれ!
◆ ◆ ◆
(……相変わらず、むさい男の全裸アバターほど世界に不要な視覚ノイズはないな。だが、これで魏の部隊の戦意とプライドは完全にスクラップになったはずだ)
俺は冷徹な死神の瞳で掲示板の狂乱ログを眺めながら、バニー姿でフリーズしている小梅と小飛を守るように、涼しい顔で立ち尽くしていた。
そして、台湾の基幹ネットワークの復旧を完了させた直後、俺たち三人の意識は現実の李家食堂へと無事に帰還した。
テックバイザーを外した、二階の狭い物置部屋。
窓の隙間からは、台北のじっとりと湿気を含んだ、まとわりつくような生暖かい夜風が吹き込んでくる。
(……終わったな。これで魏の工作員どもは、全裸のトラウマでしばらくサイバー空間に引きこもるはずだ)
現実の肉体、いつもの紺色タイトスーツ姿に戻ったはずの小梅だったが、その様子が明らかにおかしい。
VR空間での「発光白バニー」の生々しい肌の露出感や、俺の胸板に胸元を押し潰された高解像度なデジタル触覚の記憶。
それが脳内で強烈なエラーを起こしているのか、小梅は顔を耳の先まで真っ赤に変形させ、激しく呼吸を乱していた。
「な、何よその目は……っ! さっきのは、アバターのバグよ!」
彼女は感情を必死に隠そうとして、高めのポニーテールをきゅっと片手で掴み、ぐぐっと下へ引っ張る固有の羞恥の仕草を炸裂させた。
「私は国家安全局のSPよ、あんな破廉恥な衣装、絶対に認めてないんだからね!!」
(現実に戻っても、ポニテを引っ張って指先を震わせるくらい動揺してやがる。初心なこいつを責めるのは酷だな)
幾多の死線を潜り抜けた死神の魂は、目の前で必死に虚勢を張る美少女SPの不器用な姿に、思わず微かな苦笑を漏らしていた。
そこへ、現実世界へ戻るや否や、小飛がだぼだぼの青いパーカーを揺らしながら、俺の背後から無防備に抱きついてきた。
「志郎おじさん、電子戦のときは私が最高の相棒でしょ? はい、ご褒美のぎゅーっ!」
少女特有の、健康的で瑞々しい肉体の柔らかさが、俺の背中へと遠慮なく押し付けられる。
その光景を目の当たりにした瞬間、小梅の胸の奥が、今までにない強烈な熱さでチリッと痛んだ。
それは、自分でもまだ明確な恋心とは気づいていない、狂おしいほどの『独占欲』の第一段階だった。
「小飛! あんた何、現実に戻ってまで志明にパーソナルスペースゼロで引っ付いてるのよ! 安全管理の乱れよ、今すぐ離れなさい!」
小梅は耳の先まで真っ赤に変形させ、激しく高めのポニーテールを揺らしながら、小飛のパーカーのフードを引っ張った。
「えーっ、お姉ちゃんずるい! 私の方が活躍したもん!」
「……え? 私? 私は、その、SPとしての距離管理の乱れを是正しているだけよ! 勘違いしないでよね!」
(おいお前ら、密着したまま俺の背中で取っ組み合いを始めるな。若すぎる肉体が反応して排熱エラーを起こしそうだぞ……っ!)
ジ、ジ、チチチ……!
俺の左目の深淵な青いレンズが、再び始まる李一家の居候空間の暴走に同期して、切ない電子駆動音を刻み始める。
南国のじっとりと湿気を含んだ生暖かい夜風が、賑やかな姉妹の声を乗せて、窓の隙間から吹き込んでいった。
かつての光である、過去の亡霊を見守るための孤独な戦いのはずだった。
だが、幾多の死線を潜り抜けた死神の心は、李家の美少女たちの確かな体温(現在の熱気)によって、無自覚なまま一歩ずつ侵食され始めていた。
(第三章・完)
◆ ◆ ◆
次回予告:第14話『墾丁の極秘外交リゾートと、過激すぎるサイバー水着』
(次号、新章突入! 海洋連盟の極秘外交ルートを護衛するため、舞台は南国のリゾート地・墾丁へ! そこで志明を待ち受けていたのは、SPとしての規律を極限まで逸脱した、小梅の破壊的すぎる水着姿だった――!?)
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