↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンチ異世界ヒーローズ  作者: 木戸健雄


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/18

11話

「番場たちが食料調達に行ってんだけどよ。血抜きっていうのはいつすりゃいいんだ?」

「早ければ早いほど良かったと思う。死んで十五分くらい経っちゃうと、確か臭みが消えないって。早いなって思ったんだよね」

「よおっ、だったらこっちから行かねーと間に合わねーんじゃねーか?」

「いつもは狩った先でバラしてるからな」

「じゃあ、行くか。日向いいか?」

「あ、うん、大丈夫」

「えー、俺この後、野草散策だぜ、俺もそっちでいい?」

「良いわけあるか、ちゃんとルールを守れ」

「ガキじゃねーんだ、日向、柏木いなくても平気だよな」

「う、うん、大丈夫、柏木くんも頑張って」

「あいよー、ミナトン勝負だな。どっちがうまいの持ってくるか」

「何言ってやがる。毒キノコばっか持ってきやがったくせに」

「毒キノコ?どうしたの、それ」

「3人くらいぶっ倒れてたな。次の日には起きてたけどよ」

「だから、大丈夫だって言ったろ?」

「当たってねーのおめーだけだからな。食ったやつは全員ぶっ倒れてんだよ」

「根性ねーんだよ」

「根性でどうにかなるか、今日はまともなもん持ってこいよ。最悪、日向は死ぬぞ」

「だ、大丈夫だよ。僕だってそんなに弱くないし」


 全員の視線が湊に向く。


「あー、気ぃつけるわ」

「柏木くん?」

「行くぞ、日向」


 湊を含めて四人で番場のところへ向かうことになった。

 森の道は皆が通るたびに踏みならしたのか、結構歩きやすかった。


 だから、番場たちを見つけるのにそれほど時間はかからなかった。


 小高い丘の上には、番場を含めて五人いた。

 湊たちを見つけると、声を張り上げる。

 なんて言ってるのかは聞き取れなかった。

 慌ててることだけは分かって、湊の隣の不良が周囲を見回す。

 不自然に大木が根元から折れている。

 よく見ると、周りにはそんな破壊跡がいくつもある。


「日向、お前番場の方へ走れるか?」

「う、うん」

「こん中じゃ、あいつが一番つえー。行けっ!」


 その瞬間、湊は番場に向かって走っていく。

 何がなんだか分からなくて、がむしゃらに走った。

 その時、茂みから何かが飛び出してきた。

 怖くて下を向いていたので、湊はそれを見ていない。

 ただ、おでこの少し上の所にかなりの衝撃が走った。

 何かに当たったとわかった時は数メートル後方に吹っ飛び、木々をなぎ倒していた。


 湊は気づいたら空を見ていた。

 驚いて心臓が痛い。

 汗がブワッと噴き出してくる。

 息も荒い。


 遠くから誰かの叫ぶ声が聞こえた。

 キーンという耳鳴りがして、声は水の中にいるようにくぐもって聞こえる。


 けれど、たぶん怪我はしていない。

 ちょっとくらくらするけど大丈夫。


 それでも、立ち上がろうとしたら足がかくかくした。

 ただ、これはダメージというより怖くて足が震えてるだけで、少し恥ずかしい。

 湊はまだ何があったか理解できなかった。


「おい、すぐに立ち上がったぞ」

「信じらんねーな」

「あいつ、何で恥ずかしそうなんだ?」

「固すぎねーか」

「そういう問題じゃねーだろ」

「出会い頭に当たったバケモンがまだ目ぇ回してんぞ」


 不良たちの方を見ると、指を差して何かわーわー言ってる。

 耳鳴りが酷くてよく聞こえなかった。

 指している方を見ると、巨大な熊型の魔獣が倒れていた。

 湊は不良たちに向かって大きく頷く。

 とことこと近づいて、不良に渡されていたサバイバルナイフを取り出し、喉元をスパッと切り裂いた。


「「「!?」」」


 湊は急いで丘の傾斜に沿って魔獣の頭を下にする。

 血がだくだくと流れるのを見て、湊は満足げに頷き、不良たちに向かって手を振った。

 しかし、誰も目を合わせてくれなかった。


 血があらかた流れ出たのを確認して、魔獣を横倒しにする。

 内臓を傷つけないように慎重に、お腹をゆっくり縦に割いた。

 魔獣の背中側から体を押し当て、体重をかけると、ぼとぼとと内臓がこぼれ落ちた。


「何をしてる」


 声をかけてきたのは番場だった。


「あの、お肉が臭いって聞いて、僕が血抜きをすることになって」

「そうじゃない、逃げろと言っただろう」

「えっ?」

「聞こえてなかったのか。いや、それにしても危険だろう。なんともないのか?」

「少しくらくらしたけど大丈夫」

「あれと、正面からかち合って、少しくらくら……」

「あの」

「なんだ?」

「解体していいですか?」

「お前は……もういい、解体は俺達がやる。このままだと日向だけしか働いてないことになるからな」

「そんなこと」

「あっちに小さい池がある。血を洗い流してこい」


 番場に言われて、湊は不良たちの所へテテテと駆け寄っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。