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かわいがり



「三田さん〜一緒に写真撮りましょ〜?」


滝川さんはまた僕の腕に絡みついてくる。


「え〜…」


「早くです〜」


「あ、僕が撮るの」


「あ、滝川が撮ります〜」


「なんだオメー」


滝川さんはスマホを操作する。


「…そもそもなんで写真撮るの…」


「記念です〜♡あと待ち受けに〜」


「やめてくれ」


「や〜です〜♡」


滝川さんのスマホ画面に僕と、それにくっつく滝川さんが写る。



「……」





(釣り合わねー…)





「……へへ〜♡」


滝川さんは撮った写真を見て露骨ににやけた。


「三田さん、顔ちょっと引きつってます〜…」


「元々そういう顔だよ…」


滝川さんは、えへへ〜と笑いながらスマホをぽちぽち操作する。


(フォローしろよ)


嫌な予感。


「……」


「……」


「滝川さん」


「はい〜?」


「何してるの」


「待ち受けです〜♡」


「やめろって言ったよね!?」


「もう設定完了しました〜♪」


早。


「見ます〜?」


「見せなくて良い…」


でも滝川さんは勝手にスマホ画面を向けてくる。


なんか、めちゃくちゃカップルっぽい。


「……」


滝川さんはスマホを胸に抱える。


大事そうに。


「……」


本当にこの人には調子を狂わされる。


「三田さんにも送ります〜」


「え…いらない」


「またまた〜三田さんも待ち受けにするくせに〜」


「なんだこのっ!」


「きゃいんっ♡」


叩くフリをしたら滝川さんが肩を竦めて笑う。



僕の家は犬を飼ったことないけど、メスの犬って実際こんな感じなのかな…いや、絶対違う。


まず犬は喋らない。


あとこの人は犬扱い…というかそういう危ないプレイが好きな人だ、あまり多様しないようにしないと、もう手遅れかもだけど癖になったらダメだ。


…ただそういう反応にトキメキを感じている僕も大概危ない。


滝川さんの事は人間として、一人の女性として扱わないと。


「三田さ〜ん、そろそろ充電なくなります〜…可愛がってください〜…」


「は?」


「ワンちゃんしてください〜」


「は?」


何言ってるんだコイツ。


「だから〜…滝川をワンちゃんみたいに可愛がってください〜」


「……」


僕が真面目に考えてた先からコイツは…。


「三田さん〜」


「…なに」


「撫でてくれないと死んじゃいます〜」


「死なないさ」


「しゅん…」


滝川さんが露骨に元気を失う。


演技なのか本気なのか分からない。


いや、本気だろう。


「お相撲さんだって可愛がりするのに〜…」


「意味合いが違うよ…」


「可愛がらないと強くならないです〜!」


「意味分かってんじゃねーか!ていうかなんで相撲詳しいの…」


「好きなので〜」


「!?」


変な子!!


「……はぁ」


僕はため息を吐いて仕方なく滝川さんの頭に手を置く。


さらさら。



「〜〜〜♪」


途端に嬉しそうな顔。


「……」


ダメだ。


これ、マジで、絶対良くない関係性な気がする。


でもこんなに嬉しそうにされるとやめづらいのがまた厄介だ。


「…もっとです〜」


「髪の毛グシャグシャになるよ…」


「構いません〜…」


恍惚の表情。


舌でも出したらマジの犬、いや、舌出されたら絵面がヤバい。


「ユキちゃんって呼びながら可愛がってください〜」


「色々言うな!」


滝川さん、もう顔が…


「…滝川さん」


「はい〜♡」


「その顔やめて」


「なんでですか〜?」


「僕がダメになる」


「!」


滝川さんの肩がぴくっと揺れた。


滝川さんは良いかもしれないけど、僕は絶対ダメになったらいけない。


理性は保たなきゃいけない。


「…ダメになったら良いです〜」


ほら、そういう事言う!!


「学校じゃダメなら今のうちに高速チャージです!」


「…マジで二人きりの時だけだからね…」


「わん〜♪」


この人、プライドとかそういうのはないのか。


人の趣味趣向って、本当に理解出来ないな。



ゴロン。



「あら?」


滝川さんが突如仰向けになる。


そのままこちらをジィーっと見つめている。


「何?」


「へソ天です〜♪」


「……」


「早くっお腹撫でてください〜」


「なんでだよ…」


「へソ天したので〜♪」


「それは犬の言い分だよ」


滝川さんはソファに転がったまま期待に満ちた目でこっちを見ている。


「……」


しかも本人が本気なのが困る。


ふざけてるだけならまだ流せるのに滝川さんは割と本気で可愛がられたいと思ってやってるのだろう。


「三田さん〜」


「……」


「早くです〜」


足までぱたぱたしてる。


「…滝川さん」


「はい〜?」


「人としての尊厳とか無いの」


「三田さんの前では無いです〜」


「……」


僕は額を押さえる。


この人(犬)本当にズレてる。


普通ここまで無防備になれないだろ…。


「……」


でも。


こんな全力で甘えてくる相手を無視し続けるのも妙に罪悪感がある。


目つきがさ、キラキラしているからね。


「…少しだけだからね」


「っ♪」


滝川さんの顔がぱっと明るくなる。


僕はため息を吐きながら軽くお腹の辺りを撫でる。


「〜〜〜♡」


滝川さんは本当に幸せそうに目を細めている。


「三田さん、撫でるの上手です〜…」


「嬉しくないよ…言っとくけど僕だって女子の体触るの抵抗あるからね…」


「え〜?今はメス犬のユキちゃんですよ〜?」


「そんなにパッと飲み込めるか!」


「飲み込んでくださいっ〜あと手が止まってます〜」


「色々言うな!!」


もう、マジでプレイじゃん。


僕達、本当何してるんだろう…。


犬系彼女ってやつ?


いや、本当に犬じゃん。


「…三田さ〜ん、ユキちゃんのお腹撫でてください〜」


催促。


「…もう満足でしょ…」


「無理ですっ!」


無理か。


まいったな。


本当にこの人の扱い方が分からない…現時点で合ってはいるんだろうけどね。



                     つづく

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