表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/56

デートプランといかがわしい漫画




僕達は歌いもせず、食べもせずカラオケ店を出た。


マジで何しに来たんだろうって感じ。


ただ滝川犬を可愛がっただけ。



「三田さ〜ん」


「用件を先に言え!」


「うぅ…怒っています…」


しゅんとする。


全く怒ってはない、ただ相槌を打つのがとても面倒なのだ(外道)


「…明日〜土曜日なので〜どこか遊びに行きませんか〜って言おうとしただけなのに〜…」


「えー、カラオケ行ったりしてるじゃん…」


まあカラオケなんてこれでたったの二回目なんだけど。


「違います〜ちゃんとしたデートです〜」


「えぇ…」


滝川さんは僕の腕にまたぴとっとくっつきながら歩く。


外はもう夜で空気が少し冷たい。


「今日のは〜…」


「うん」


「三田さんにいっぱい可愛がってもらう会でした〜♡」


「認識はあるんだ…」


「大満足です〜♪」


でしょうね。


「……」


でも、


デートって言われるとちょっと考える。


付き合った初日。


カラオケ。


犬ごっこ。


重い会話。


写真撮影。



「…滝川さん」


「はい〜?」


「普通のデートって何するの」


「えっ」


「……」


「……」


「滝川さん?」


「滝川、恋人居た事ないので分かんないです〜」


「僕もだよ」


「じゃあ一緒です〜♡」


「一緒とかじゃねえべよ、答えは!?」


滝川さんはふふ〜っと笑う。


「手繋いで歩いたり〜」


「うん」


「一緒にご飯食べたり〜」


「うん」


「同じもの見て、楽しいね〜ってしたり〜」


「……」


「そういうのしたいです〜」


その言い方は珍しく普通だった。


いや、普通というか…年相応というか。


「……」


なんだ。


ちゃんとそういう感覚もあるんじゃん。


「どこ行きたいの」


「!」


滝川さんの顔がぱっと明るくなる。


「えっとですね〜!」


「うん」


「水族館と〜映画館と〜動物園と〜戦闘機見れる所と〜三田さん家と〜」


「おっと、最後のは聞き捨てならないな」


「えへへ〜♡」


「笑って誤魔化すな」


滝川さんは僕の腕にぎゅーっと抱きつく。


「でもまずは〜…」


「?」


「普通のデート、してみたいです〜」


だから、その「普通のデート」って何するの?って聞いてるんですけどね。


「手とか繋ぎたいですし〜、隙あったらチューしたいですし〜、三田さんのお家でイチャイチャしたいですし〜」


「僕の家を候補先にねじ込むなよ」


「だって行きたいです〜」


「なんでそんな家デートに執着するの…」


「二人きりになれるからです〜♡」


即答。


「あと三田さんのお部屋見たいです〜」


「汚いよ」


「見たいです〜」


「男子高校生の部屋なんてロクなもんじゃないよ」


「それが良いんです〜」


何が良いんだ。


滝川さんは、楽しそうに僕の腕に頬を擦り寄せる。


「三田さんの好きなものいっぱい置いてありそうです〜」


「いや…どうだろう」


「好きな人の部屋って、その人の脳みそ見れる感じするじゃないですか〜」


「言い方怖いな…」


「あとベッドありますし〜」


「おい」


「?」


「今なんか不純な気配がしたぞ」


「えへへ〜♡」


誤魔化しやがった。


「……」


でも、


滝川さんは本当に恋人っぽい事に憧れてるんだろうな。


家でだらだらしたり、一緒にコンビニ行ったり、そういう生活感のある距離感。


多分。


でも滝川さんを三田家に招き入れるのはまだ先で良い。


「まあ、水族館、動物園、戦闘機はこの辺じゃ無理だから、まずは映画館からで良いんじゃないかな?」


「映画!!」


「なんか観たい映画ある?」


「ないです〜」


「なんだオメー」


「でも映画館デートはしたいです〜!」


「雰囲気重視かよ…」


滝川さんはこくこく頷く。


「暗い中で隣同士に座るの、恋人っぽいです〜」


「まあ…それは分かる」


「ポップコーン食べたり〜」


「うん」


「腕置きの取り合いしたり〜」


「そんなイベントある?」


「あと途中で三田さんの肩に寄りかかります〜」


「映画観ろ」


「観ます〜」


「絶対観ないだろ」


滝川さんはえへへ〜っと笑いながら、


僕の腕をぎゅっと抱える。


「でも〜…」


「?」


「滝川、映画より三田さん見てそうです〜」


「迷惑客じゃん」


「だって気になるじゃないですか〜」


「何が」


「どういう時に笑うのかな〜とか、びっくりするのかな〜とか〜」


「……」


「あっ今飲み物飲んだ〜とか〜」


「映画館でやる観察じゃねえよ」


「好きな人って見てるだけで楽しいです〜」


「重いなぁ…」


でも。


そういう感覚、ちょっとだけ分かる自分もいる。


「……」


「三田さんは〜?」


「ん?」


「恋人っぽい事、何したいですか〜?」


「えぇ…」


急に聞かれると困る。


「……」


僕は少し考えてから答えた。


「普通に、一緒に飯食って、適当に喋って、帰るとか…」


「地味です〜」


「お前僕に聞いてきたよな!?」


「聞きました〜」


「じゃあ文句言うなよ!」


滝川さんはけらけら笑う。


「恋人って〜」


「うん」


「エッチな事するじゃないですか〜?」


「滝川さん?」


「滝川達はいつするんですか〜?」


「滝川さん」


「やっぱり三田さんの家に…でも滝川の家でも良いですよ〜?」


「滝川!!」


ダメだコイツ、何も知らないみたいな顔して頭ん中はとんだピンク色だ。


「だって、恋人ってそういう事ありきじゃないですか〜?」


「…間違ってはないけど」


「でしょ〜?」


「それは君が読んでるいかがわしい漫画内でのテンポ感でしょ?」


「!!」


滝川さんの目が見開かれる。


図星か。


「たっ、たったったたた…」


壊れてるじゃん。


「た、滝川、そんなの読みませんっ!!」


「その反応は読んでる人の反応だよ」


「よ、読んでないです〜!!」


「じゃあなんでそんな発想になるの」


「そ、それは〜…」


滝川さんは視線を泳がせる。


分かりやすすぎる。


「担任の先生が〜」


「嘘ぶっこいてんじゃねえ」


「ほ、本当です〜!」


本当だとしたらニュース案件だ。


「ちなみにどういう系を?」


「聞くんですかそこ!?」


「聞かれたくないなら最初から墓穴掘るなよ」


滝川さんはうぅ〜…っと唸りながら、


顔を真っ赤にしている。


さっきまであんな堂々としてたくせに。


「……」


変な所で急に初心なんだよな…。


「…滝川さん」


「は、はい〜…」


「そういうのはね」


「……」


「恋人なら即する、みたいな話じゃないから」


「……?」


「お互いちゃんと安心出来るとか、タイミングとか、色々あるんだよ」


滝川さんは、ぽかんとして聞いている。


「あと高校生だからね僕達」


「……」


「勢いだけで考える事じゃない」


「うぅ〜…」


なんかしょんぼりしてる。


「別に一生しないって話じゃないよ?」


「!」


「ただ、滝川さんちょっと距離の詰め方極端だから…」


「……」


「まず普通のデート覚えようねって話」


滝川さんは数秒黙ってからむぅ〜っと頬を膨らませた。


「……」


「でも〜…」


「今度は何」


「三田さん、真面目過ぎます〜…」


「誰かがブレーキ踏まないと事故るだろこの話…いや、この関係」


「別に〜…滝川だって漫画の影響とか、勢いで言ってないですけど〜…」


ボソボソと、ギリギリ聞き取れるくらいの声量の滝川さん。


「とにかく、そういう話はダメ!」


しゅん…。


「三田さん〜…」


「……」


「滝川って女としてそんなに魅力ないですか〜?」


「その手の漫画の導入みたいになるから答えないでおく」


「あー!!三田さんだっていかがわしい漫画読んでるじゃないですか!!」


「読むよ?男の子だし」


別に隠すことでもないから即答。


「三田さん、そういうの読むんだ〜…」


「読むだろ普通」


「へぇ〜…」


なんだその反応。


「……」


「…ちなみに〜」


「聞かないで」


「まだ何も言ってないです〜!」


絶対ろくでもない質問だろ。


「ど、どういうの読むんですか〜…?」


「聞いてるじゃんか!」


滝川さんは、えへへ〜っと笑いながら、こっちをちらちら見ている。


好奇心全開。


「教えてください〜」


ここまでは答える予定はなかったんだけどな。


まあ良いか。


「NTR」


「……」


滝川さんの表情が石のように固まった。


「意味、分かるよね?まあ、端的に言うと胸糞話だけど…」


「最ッ低ッですっっ!!」


「なんで!?」


滝川さんは本気でショックを受けた顔をしている。


「うわぁ〜〜〜〜……」


「でも創作だよ?」


「でも〜…」


滝川さんはものすごく嫌そうに顔をしかめた。


「恋人とかが取られる話好きって事ですよね〜…?」


「いや好きっていうか…」


「最低です〜!!趣味悪いです〜!!」


「だから創作の話だから!」


「うぅ〜〜〜…」


なんか普通にダメージ受けてる。


「……」


「…滝川さん?」


「三田さん、そういうのに興奮する人だったんですね〜…」


「誤解を招く言い方やめろ」


「うぅ〜…」


滝川さんはちょっと涙目でこっちを見る。


「滝川、脳破壊されました〜…」


「大袈裟だなぁ…」


「だって滝川、そういうの一番嫌ですもん〜…」


「まあ、そりゃ普通嫌でしょ」


「普通とかじゃなくて絶対嫌です〜!!」


声がデカい。


通行人に見られてる。


「……」


滝川さんはむぅ〜っとしたまま、


ぽつりと呟く。


「…三田さん、浮気したら殺します〜」


「だから!創作上の、漫画の話って言ってんだろ!!!!」


「でも読むって事は興味あるって事じゃないですか〜!!」


「違うって!!」


滝川さんは完全に納得してない顔でじと〜っとこちらを見ている。


「……」


「……」


「ちなみにですけど〜」


「まだあるの?」


「滝川が知らない男の人と仲良くしてたらどうします〜?」


「えっ」


急に矛先が飛んできた。


「いや、普通に嫌だけど…」


「!!」


「でもそれだけだよ」


「……」


「付き合ってる以上、他人と話すなとか無理でしょ」


「……」


滝川さんは、ちょっと不服そうに眉を下げる。


「滝川なら嫌です〜…」


「知ってる」


「三田さんが他の女の人と仲良くしてたら、多分ずっと気になります〜…」


「まあ、それは分かるよ」


実際野村さんもまーちゃん(男なのに)も被害受けてるし。


「うぅ…」


滝川さんは分かりやすく肩を落とした。


「滝川、三田さん取られるの絶対嫌ですもん〜…」



「…滝川さん、恋愛って、相手を自分の物にするじゃないからね」


「……」


「好き同士で一緒に居るだけで、所有物じゃない」


滝川さんは数秒黙ったあと小さくぼそっと呟く。


「…でも滝川、三田さんだけのものになりたいです〜…」


「あー…」


                     つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ