プロフィール
滝川さんと僕、まだ互いの事を全然知らないんだな。
お互いの好きなゲームなんてそんなの、初日に消費出来たイベントのはずだ。
結果良かったんだけど、なぜ今になって…とは思う。
滝川さんをまとめよう。
身長は僕より少し高め…いや、見た目はいいや。
一人称が滝川、ふにゃふにゃしたような口調、声が良い。口調が子供っぽい時があるけどキレると口調が普通に。変なタイミングでワガママ。鬼LINE。
母子家庭、昼食は二日連続で変なもん食ってる。
犬扱いすると何故か「わんっ♪」と喜ぶ。
歌が上手い。バドミントンが上手い。
雷が怖くない。
エースコンタクトが好き←New
パッと思いつくだけでこんなにあった。
数は多いけど、やっぱり早めに趣味趣向を知るべき、キレたら…とか家庭環境が〜とかそういうのを知るのはもっと後でよろしい。
雷にビビったせいで寝つきが結構良かった。
そしてまた登校列車。
性懲りもなくまた一本早い電車に乗車している。
「……」
だけど滝川さんの気配がない。
いや、僕気配とかあんまり分からないけど、多分いないと思う。
「……」
別に?いないならいないで全然良いけど?落ち着いて座っていられるし?
一人で
「田舎の車窓から」ごっこが出来るから全然構いません!
窓の外を見る。
田畑、山、川、民家。
見飽きてなんの感想もない。
スマホを開く。
通知はない、ただ時間を確認しただけだしな。
「……」
なんか、慣れたはずの一人の電車が今は全然落ち着かない。
改札を出るとふわっとした風が全身を包む。
「涼しい」
昨日の雷雨のおかげか、いつもより気温が低い気がする。
「三田さ〜ん!」
「!?」
反射的に顔を上げる。
駅前の柱の横。
滝川さんがヌルッと現れ、手を振っていた。
「えっ」
普通に驚いた。
「なんでいるの…?」
「待ち伏せです〜!」
「待ち伏せ!?」
滝川さんは、えへへ〜と笑いながらこちらへ走ってくる。
「今日は始発に乗りました〜」
「始発!?」
「昨日の更に上を行きました〜」
マジかこの人、凄いな。
でも今日の滝川さん、目があまり開いていない。パーツが足りないというか…。
「…眠くないの?」
「眠いです!」
だろうな。
滝川さんはふにゃふにゃしながら僕の横に並ぶ。
歩幅もいつもよりゆっくりだ。
「ミタ2、隊列から離れるな」
「善処します〜……ふふっ…」
「何がおかしい?」
「滝川もミタ隊の一員なんですね〜?」
「ノリじゃん…適当につけただけじゃん…」
「良いじゃないですか〜滝川は二番機として隊長の背中を守りますよ〜」
『隊長』という響きに痺れてしまった。
高校生なのにこんな幼稚な戦闘機ごっこ遊びに物凄く楽しくなっているのが悔しい。
「隊長〜嬉しいですか〜?」
「…嬉しい…!」
「良かったです〜」
ほんわか。
「…滝川さん、※TACネームを決めようか」
「お〜!」
(※「タッグネーム(TACネーム)」とは、主に戦闘機パイロットなどの航空自衛隊や軍の搭乗員に付けられるパーソナルな「愛称」を指します。本名の代わりに無線交信の際やチーム内での識別に使用されます。
本人の性格や特徴、過去の印象的なエピソード、さらには出身地などにちなんで、同僚からユーモアを交えて付けられるのが伝統です。一度付けられると、軍隊生活においてその愛称で呼ばれ続けることが多くなります。
AIによる検索から引用)
「滝川は〜YUKIが良いです〜」
「それは…呼ばれたいだけでは?」
「ですです〜」
じゃねえのよ。
滝川さんはむ〜っと頬を膨らませる。
「じゃあ三田さんはなんですか〜?」
「僕?」
少し考える。
こういうのは大事だ。
センスが問われる。
「………」
考えてるけどあまりカッコよ過ぎるのはダメだ、何か、何かないか…。
「滝川から提案があります!」
「何?」
「えへへ〜…」
両手で照れポーズをする。
「早く言えよ」
「トレーナーです〜」
「え、滝川さんってポ○モンなの?」
「そうです〜」
「違うだろ」
滝川さんはむ〜っと頬を膨らませる。
「滝川、ちゃんと懐きます〜」
「そこをアピールされても困るんだよ」
朝っぱらから何をやってるんだ僕らは。
学校に到着する頃には話題も変わっていた。
いや、変えた。
お互いのちゃんとしたプロフィールを知るために。
滝川さんは、
「なんだかお見合いみたいで照れちゃいますね〜」
などと言っているが。
でも滝川さんから先手を打ってきた。
「三田さんの誕生日は〜?」
「2月25日だけど…」
「滝川は9月です〜」
「ええ〜…」
同級生には変わりないけど、この事実はメチャクチャ悔しい。
僕が生まれた頃には滝川さんは生後5ヶ月のバブだったのか…。
「滝川の方がお姉さんです〜」
「えぇ〜…」
「お姉さんなので、甘えてください〜」
「ちなみに、9月の何日?」
「むー…29日です〜」
「9月29日で苦肉の日、と」
「むむむ…」
露骨に嫌そうな顔。
語呂合わせは悪いけどそうとしか読めないんだから…仕方なくない?
「三田さん、ユキお姉ちゃんって呼んでください!」
「同級生」
「ユキ姉でも可です!」
「同級生」
(誕生日の話一つでこんなんになるなんて思わんかった…気をつけなきゃ…)
「はい、次、滝川さんは犬派ですか猫派ですか?」
「犬!です〜」
「そっか、僕は猫だな」
「ええっ!?滝川犬を持ってしても猫派ですか〜!?」
「君人間だから」
そもそも滝川犬にそれを覆す為の力なんてないだろ。
今更だけど滝川犬なんて言葉ないだろ。
「じゃあ滝川猫になります!」
「じゃあ…?」
「にゃあん♪」
「……」
あざと過ぎ、何周か回って可愛くない。
つづく




