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野菜たちの主張  作者: 西玉
プリンスメロン編

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プリンスメロン2 意外な収穫

 圃場の畝を全て高畝にしてから、割れることはなくなった。

 だが、始めたばかりの頃は高畝にせず、プリンスメロンはよく割れた。

 多分、水分過多だったのだろう。


 だが、割れた割には甘そうだった。甘そう、というのは、畑で割れた実が、食べられるという発想がなかったために、食べたことはなかった。

 今考えれば、出荷するわけでもないのだから、せめて舐めてみるべきだったのだ。


 だが、その当時は全く思い付かず、割れた実は捨ててしまった。分解が早まるよう、足で踏み潰したほどである。

 プリンスメロンは、完熟のタイミングがとてもわかりやすい。


 熟すと、実が蔓から自動で外れるからだ。

 それを待てずに、よく割れた。

 ある年、やはり割れたプリンスメロンを見つけ、がっかりしながら持ち上げると、綺麗に割れた果肉の表面に、黒い突起が出ていた。


 小さいが、丸い突起である。

 プリンスメロンにこんな部位があっただろうかと、不思議に思いながら、摘んで引っ張ってみた。


 抜ける。

 湾曲した立派なハサミを持っていた。

 クワガタ虫だ。


 どうやら、ノコギリクワガタだ。

 ノコギリクワガタが、プリンスメロンに刺さっていたのだ。

 もちろん、クワガタ虫がメロンを割ったわけではない。割れたメロンに、クワガタ虫が頭を突っ込んだのだ。


 虫は殺すか放置するが、この時ばかりは持ち帰ることにした。

 瓶に入れ、餌は食いついていたプリンスメロンを削って入れた。

 実家に持ち帰ると、まだ幼かった甥が大喜びした。


 プリンスメロンの出来はともかく、またクワガタが来ないだろうか。

 それ以来、クワガタムシはやってこない。何しろ、今は高畝にして、完熟前に割れてしまうことは全くなくなった。


 だが、期待せずにはいられない。成功体験というのは忘れられないものらしい。


 プリンスメロンの栽培で、クワガタムシを捕まえたのが成功体験になるとは思っていなかった。

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