ダイコン2 白皙の悪女
ダイコンには肥料が要らない。
そんな誤解をしばらく続けていた。
畝の上できちんと土を均して種を蒔いた。
しっかりと発芽し、本葉がでてきた。
どうやら、そこから成長しない。
キャベツや白菜では、見慣れた光景だった。
だが、ダイコンだ。
何があったのだろう。
悩んでいる間に、花が咲いた。
この年は収穫できなかった。
何年か、そんな状態が続いてから、さらに悪化する。
そもそも、発芽しない。
ほとんど芽すら見ることがなくなった。
たまたま知った。
緑肥として長年利用してきた、ヘアリーベッチは他の植物の発芽を阻害するらしい。
アレロパシーと呼ばれる。
多くの作物が苗を植えるので、気づかなかった。種の直播するのは、普通は根菜類だけだ。
それから、ヘアリーベッチを見かける場合は、土を多めに乗せて、影響を回避するよう努めた。
発芽は確認できるようになった。
だが、まだ育たない。
ダイコンには、肥料が必要だと知った。
だが、その圃場は自然農だ。
2026年、まだダイコンは成長せず、花を咲かせた。
ダイコンは、悪環境下でも、白い綺麗な顔をする。
信じてはいけない。
色白のボディの下に、人間を騙そうとする仮面を隠している、我儘な野菜なのだ。




