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世界最強リサイクル ~追い出された英雄達は新世界で『普通の暮らし』を目指したい~  作者: おおいぬ喜翠
第三部 ダンジョン編

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241 ゴリラになっても

 早々にメイの空腹が暴れ始めたので、火を見ながらお弁当を食べる事にした。テーブルに二人で作って来たお弁当を広げる。メニューはハムとチーズのバケットサンドにほうれん草とベーコンのキッシュ、肉団子にグリルチキン、フライドポテトにオニオンリング、コールスローに人参のラペと盛りだくさんだ。


「後はフルーツも今さっき切っときました!」

「わあ、ありがとう……!」


 リョウ一人なら食べきれるかないや無理だな……? という量だがメイが居るので少ない位だ。冷やした飲み物と一緒に早速頂きながら、今日の計画も話し合った。


「多分これだけだとメイさん足りないだろうから、追加でまた作ろうね」

「へぇ、ありがてえです……!」

「クルーザーから借りて来たコンロがまだ空いてるし、食材も沢山持ってきたから安心して食べていいからね!」


 嬉しそうにニコニコするメイを見ると、此方も嬉しくなってくる。前に無人島で二人きりになった時とは違い、もうメイも遠慮したり恥ずかしがって空腹を誤魔化さないようになっていた。


「そういえば新しく来る予定の人って、まだ情報分からないんだよね?」

「へぇ、神どん達から続報は無えです。けど、おらみたいな訳ありと聞くとどうしても気になっちまうなぁ……」


 食べる手は決して休めず、それでも心配そうにメイが眉を寄せた。メイがこの世界に来た時は、そのままでは普通に暮らせるどころか世界に影響を及ぼしかねない状態だった。同じような訳ありだとしたら、その問題の解消にきっと神の予告通り忙しくなるだろう。


「そうだね。何系か、にもよるけど……幸せに暮らせるよう手は尽くしたいね」

「うん。おらもタツどんと一緒に修行も再開しとるから、浄化や神聖魔法系ならお役に立てると思う……」

「毎日頑張ってるもんね。最近はどうなの?」

「んと、やっと神様との接続は上手く出来るようになったもんで。最近はタツどんと少しずつ死の土地の再生をしとります」


『二人合わせて一日でこの位しか進まねえんだけど』とメイが示した大きさは1m四方にも満たない。それでもリョウが感心したように唸った。


「いや、けどこれまで再生は出来ない事だったんだから、凄いよ。メイさんとタツさん以外じゃ、死んだ時にエネルギーを提供する以外じゃ出来ないしね」

「ふへぇ、そう言ってくれると励みになるな。リョウどんの修行の調子は?」

「相変わらずだけど、修行を始めた時に比べたら結構強くなった気はしてる」


 リョウが食べる手を休めて自らの腕を見る。元々散々鍛えてはいたが、ケンと特訓をするようになってからは見るからに太くなり更に筋肉が付いた。


「メイさんは見た事無いと思うけど、僕がこの世界に来た時はもっと細かったよ」

「もっとすらっとした感じだろか? リョウどん、おらと初めて会った時に比べても逞しくなっとる気がする」

「え、そう?」

「うん、なっとる。このまま行くと最終的にはケンどんみたいになるのかなぁ?」


 二人の頭の中には、ケンの身体にリョウの顔がくっ付いた絵が浮かんだ。


「あそこまで行くんだろうか僕……絵的に大丈夫……?」

「ふふ、どんなリョウどんでもおらの王子様だぁ。細くても、逞しくてもおらは好きです。リョウどんは何したって恰好良えもの」

「え、ええ~! 照れる、照れる! ありがとう……!」


 唐突な物凄いデレにリョウが赤くなった。メイもはにかみつつ『本当だもん』という顔をしている。照れ隠しのように頬を掻き、リョウが一度火を眺めてからメイへと視線を移した。


「えっと……どれだけ鍛えてもメイさんの愛が変わらないというのは安心だよ。僕は、本当に強くなりたくてさ。ゴリラになろうとこれからも頑張るので……」

「うん。リョウどんは守るために強くなりてえんだもんな」

「そうだよ。自分も含めて皆の幸せな暮らしを守りたいからね。後は、五人目の戦いの時に僕はまだまだ弱いって思い知ったから。男としての意地もあり……」

「リョウどん前の世界では一番強えのにな……世界は広いというか、世界を跨ぐと更に広いような……」


 沈痛な顔をするリョウに、メイも思わず同じ色を浮かべた。


「そうなんだよ……! ケンさんめ……! 僕はねえメイさん! いつか絶対にケンさんから一本取ってみせるからね……!」

「あ、ああ……! 応援しとるぞリョウどん……!」


 勝つからね、じゃなくて一本取ってみせるなんだ、とは思ったがそれ程ケンとは強さに開きがあるという事なんだろう。そっとメイが目頭を押さえ、デザートの林檎を口に放り込む。話している内にテーブルを埋めていたお弁当はすっかり食べ尽くしてしまった。


「御馳走様でした! 美味しかったぁ~!」

「僕も御馳走様でした。よし、じゃあ丸焼きの様子を見てから次は昼食を作ろうか」


 火の加減を見、丸焼きの様子を見て塩水を塗り瑞々しさを保ち、また新たに別に火を起こして昼食の用意をする。食べた直後にまた食事の用意を始めるという食塗れのデートが再開された。普通のデートとはちょっと様子が違うが、二人で作業し話しながらなのでとても楽しい。


「そういえばリョウどん、アルパカの毛糸が出来たらセーター編んでやろうなぁ」

「えっ、嬉しい……! メイさん編み物出来るの!」

「編み物は得意だぁ。弟妹にもよう編んどった。村の場所だと要らんだろうけど、他の場所で作業するなら使うかなって」

「使う使う! わあ、滅茶苦茶楽しみ……!」


 これまでの恋人は一緒に旅をする仲間が多かったので、手編みのセーターなど貰った事が無い。それ故感激もひとしおだった。そして、贈る繋がりでリョウも“自分からのプレゼント”に思い至る。いつ渡すかタイミングが中々悩ましい。


 やっぱり丸焼きを作り終えて食べた後だよなぁと思いつつ、コンロにパン種を入れたスキレットを置いた。その隣には刻んだベーコンと野菜を入れた卵液入りのスキレットを置く。メイの方を見ると、熱心に皮付きの芋を直火で焼いている。サツマイモに限らず芋がほんとに好きなんだよなあと思わず笑ってしまった。


「……? どうしたリョウどん」

「いや、お芋好きだよねと思って。僕も好きだけど」

「ふへぇ、お恥ずかしい……!」

「ロボ太郎にサツマイモ料理のレシピ沢山教わったから、今度また作ってあげるね」

「やったぁ……!」


 昼食には焼いたパンと野菜とベーコン入りのオムレツ、直火で焼いた芋などを食べ、確りと腹を満たした。


「おやつはどうする?」

「丸焼きを美味しく頂く為にもおらは此処から断食だ……! 我慢する……!」

「わ、分かった……!」


 メイの固い決意に頷き、二人で協力して豚を裏返す。素晴らしい焼き色の面が露になり、メイが歓声をあげた。


「リョ、リョウどん……! 天国! 此処が天国かもしれねえ……!」

「メイさん落ち着いて! 此処は無人島の浜辺だよ!」

「もうこの時点で分かる! リョウどんは村一番を超える丸焼きの名手だぁ……!」

「や、やったぁ……?」


 それがどの位凄い事か分からないのでアレだが、嬉しいものは嬉しい。裏返した豚に塩水を塗りつつ、サイドメニューをどうしようかなぁと考えていると感激しきったメイの呟きが聞こえた。


「ああ、ああ、おらは何て幸せ者なんだ……! リョウどんがこんなに丸焼きが上手だなんて……!」

「涙ぐんでる……! モテの時点で察していたけど、メイさんの村における丸焼きの価値が高過ぎる……!」

「リョウどんは分かってねえ! あの村出身の女は皆、丸焼きが上手な男との結婚を夢見るもんなんだ……! ただでさえリョウどんは料理上手で優しくて恰好良えのに! 丸焼きまで上手いと知ったおらの感動は凄えんだ……!」

「け、けっこ……」


 そうだ、そうだった。結婚を前提に付き合っているのだ。それに対して不満はちっとも無いのだが、先日も少し出た結婚におけるあれそれの文化の違いが気になった。ジラフにリサーチを頼む予定だったが、この流れなら聞けるかもしれない。


「あの、これは参考にお聞きするんですけど……メイさんの村の結婚式ってどんな感じなの? 結婚の前後の文化なんかもあったりしたら……」


 そうっと切り出すと、見る間にメイは頬を赤く染めて語り始めた。

お読み頂きありがとうございます!

次話は明日アップ予定です!

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