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世界最強リサイクル ~追い出された英雄達は新世界で『普通の暮らし』を目指したい~  作者: おおいぬ喜翠
第三部 ダンジョン編

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222 久々女子トーク

 ジラフの予想通り、小人幼児達が歩き始めたので散歩に出る機会が増えた。


「こぉら! 前見ねえで走ったら危ねえ!」

「ウフッ、皆本当元気ねェ~!」

「元気過ぎて困っちゃうわ」


 今日はベルとメイとジラフ、女子会メンバーが揃っている。40名の小人幼児を連れてのお散歩は中々大所帯で、先頭から中間にかけてはガンとおばちゃん保育士達が面倒を見ていた。女子会メンバーはしんがりをつとめながら久々の女子トークに花を咲かせている。


「ベルちゃんは常駐だものネ。アタシも手伝える事は手伝うわヨッ!」

「ありがとう。預かる時間以外は海上都市でエステだの楽しんではいるのだけど、流石に連日はしんどくなってきたわね……!」


 ベルは自称みすぼらしく落ちぶれて見える保育士ルックにサングラス、鍔広帽子にフェイスマスクにアームカバーに日傘と完全日焼け対策をして歩いており、指先しか肌が見えていない。隣でお散歩カートを押すジラフの方も可愛いエプロンの保育士ルックだ。


「おらが思うに、ベルどん最近カイどんとゆっくり過ごせてねえだろ? そのストレスもあると思うんだぁ」


 メイが走る暴れん坊の小人幼児をひょいと摘まんでポケットに入れた。メイも可愛いエプロンの保育士ルックで、リュックを背負い水筒を提げ麦わら帽子を被っている。メイのエプロンにはポケットが沢山付いていて、何人も小人幼児が収まりモイモイ楽しそうにしていた。


「それは……あるわよ。まあこの時期だけは仕方が無いわねぇ」

「終わったら沢山カイどんとデートしなくちゃな! おらは昨日、リョウどんが『暇になったらデートしようね』って誘ってくれたんだぁ……!」

「ああ、リョウちゃん確かにケンちゃんのデート話の時にそう言ってたわネッ」

「ケン様がデート?」


 歩きながらあらましをジラフが説明する。


「成る程、ケンどんがガンナーどん不足に陥ったんだな……」

「最近のケン様、ガンナーへの愛をまったく隠さなくなったわね」

「アラ、昔は隠していたの?」

「隠していたというか……」


 ベルが首を傾げて思い返す。


「昔から大好きだったのは間違いないけど、あそこまでオープンになったのは皆が来てからかしらね。ジラフの影響も大きいんじゃないかしら」

「アタシ!?」

「ほらジラフは男が好きじゃない? ガンさんは俺のだぞという縄張り主張?」

「ケンどん野生動物みてえだな?」


 前をガンと保育士について歩く小人幼児達はカルガモの子みたいでとても可愛い。穏やかな光景に和みつつ、今は芝生の広場を目指して歩いている。


「ウフッ! ケンちゃんかーわいい! 盗ったりしないのにッ!」

「後はわたくしとカイ、リョウとメイで色恋沙汰があったでしょう? この波に乗ってしまえみたいな感じじゃないかと勝手に予想しているわよ」

「成る程なぁ。ケンどんとガンナーどん、どんなデートするんだろ……?」

「多分色気の欠片も無く、子供みたいに海や山で遊ぶだけだと思うわワァ」


 何となく山にカブトムシを取りに行く姿が浮かんでしまって、三人とも小さく噴き出した。


「それならカーチャンも文句無しのデートだわ。所でジラフはどうなの?」

「どうって?」

「何にでも恋愛に結び付けたいという訳ではないし、選択肢も少なすぎるけれど、この世界で恋は見つかりそうかしら?」

「ジ、ジラフどんの恋バナ……! おらも聞きてえ……!」


 これまではメイとベルの恋愛に掛かりきりで、ジラフの恋バナには手が届いていなかった。ふと思って聞いてみると、ジラフが『うーん』という顔をしていた。


「前にも言ったけど――性癖でいうなら相撲を取りたいのはケンちゃんで可愛がりたいのはガンナーちゃんで、困った顔が見たいのがリョウちゃんで、片眼鏡モノクルを汚してやりたいのがカイちゃんなのよネ」

「おら初耳だけども!?」

「そういえばあの時メイは呪塊状態だったから聞いてないわね」

「アラそうだったわねッ! けどこれはあくまで性癖で恋愛じゃないのヨ~!」


 驚いた顔をするメイにジラフが笑って手を振った。


「面白みが無くて悪いんだけど、今の所アタシこの世界で恋愛をする気は無いのヨッ! ベルちゃんが言う通り選択肢が少なすぎるワァ!」

「面白みなんか良いのよ。けど、確かにそうね」

「けどけど、待ってたらその内ジラフどん好みの誰かが来るかもしんねえ!」

「ウフッ! もし来たらまた考えるッ!」


 雑談に花を咲かせる内に広場へ到着した。


「じゃあ次の女子会は、ジラフの過去の恋愛トークを聞かせて貰いましょう」

「過去なら良いわよッ! アタシの華麗な遍歴を聞かせてあげるッ!」

「わぁ! 楽しみだぁ……! 女子会もまたやりてえなぁ……!」


 キャッキャはしゃぎつつメイがリュックから小さなコップを取り出し、水筒からお茶を注いで小人幼児達に飲ませていく。ジラフもそれを手伝い、ベルは離れる子が居ないか全体を監視した。離れた方でもガンと保育士達が同じようにしている。


「……ガンナーはあれこれ文句を言っていたけど、歌と踊りと体操以外はちゃんとこなせているわね。よくってよ」

「そうね。カイちゃんは全てにおいて文句無しだし、リョウちゃんも歌と踊りと体操以外は大丈夫そう。全員良いパパになるわよ~ッ!」

「ああ、カイどんの幼児転がしは完璧だ……! リョウどんが苦手な所はおらがカバーすれば良いしな……!」

「ええ、カイには期待しているわ……!」

 

 ベルが満足そうに頷いた。ベルも幼児相手の踊りや体操は苦手だが、カイは完璧にそこをカバーしてくる。


「ウフッ、二人とも子作りの御予定は~!? 先に結婚式かしらッ!」

「もうッ! ジラフどん……! おらは結婚を前提にお付き合いさせて頂いとるので、結婚が先かとは……思うんだけども……! ベルどんは……?」

「そうねえ、カイはどう思っているか分からないけれど――本人から許可が出ているとはいえ、わたくしは結婚も子作りもガンナーが死んだ後にしたいわね」


 ベルがサングラス越しに目を細めて、奮闘しているガンの様子を見ている。


「ガンナーちゃんに配慮して、というよりベルちゃんがそうしたい感じよネ」

「ええ、そうよ。全力で可愛がりたいの」

「ふふ、その方がきっとガンナーどんも幸せだぁ」


 にこにこと三人で話していると、ガンが小人幼児を数人抱えて此方にやってきた。


「おい、こいつら疲れたっていうから帰りはカートで――……」

「ちょっとガンナー! ケン様とデートをするらしいじゃない? カーチャンに報告が無いんだけど!?」

「えっ、要る!? いつもみたいに遊び行くだけなんだが!?」


 丁度来たので冗句混じりにベルが盛大なカーチャンムーブをかまし、思わずジラフとメイが噴き出した。


「要るわよ! 最近のケン様は油断ならないんだから! ちゃんと行先と何時に帰って来るかをカーチャンに事前報告しなさい!」

「まじで!?」

「デートは何処に行くんだ? ガンナーどん、またお弁当作ってやろうか?」

「行く先は決まってねえんだけど、弁当、弁当か……」


 これまでの女子トークを知らないので、怪訝に首を捻りつつガンがカートに小人幼児を入れている。


「……………………」

「どうしたの、ガンナーちゃん」

「…………あの、さあ……」

「どうしたガンナーどん?」

「その、多分無理だろうし、ダメ元で一応聞いてみるだけなんだけど……」

「なあにガンナー?」


 弁当という響きで思い出したのか、ガンが何とも決まり悪そうに頭を掻いてベルを見た。ベルがなあにと優しいカーチャン面で見返す。


「カーチャンに……弁当を作って貰うの、は……可能…………でしょうか……?」

「…………ッッ!?」


 ガンが物凄く下手に『いや本当無理なら良いんで気にしないんで』という顔でそっと、そうっと聞いた。ベルが予想外の強請りに固まって日傘を取り落とす。


「ああ…………」


 ジラフだけが悲痛な顔で、ダンジョン攻略の際に話題として出た『母の味』の事を思い出していた。

お読み頂きありがとうございます!

次話は明日アップ予定です!

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