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ライトインフリゲート  作者: ああ
第2章「新部隊の始動 ~舞台は宇宙へ~」
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第7話 新展開・意外な形でやって来る異変(厄ネタ)

空母「マリア」内 会議室


柊ひいらぎ 瑠瑚るこは出口に向かって駆け出した。

深い赤紫色の長い髪が空を切る。


「柊中尉、どこへ行くつもりだ、まだ総括は終わっていないぞ!」


柳川少将の怒声が響くが、呼ばれた方、柊は負けじと言い返す。


「もちろんスピルウィアー星です」

「あいつはゲートがスピルウィアー星に繋がっていると言っていました」

「向こうから送る事が可能ならこちらから行く事も可能なはずです」


「そんな事を聞いたのではない!」

「ともかく勝手な行動は慎みたまえ!」


柊は無視してそれでもなお出ていこうとするが、グッと肩を掴まれる。


「柊、また回りが見えなくなっているぞ、その状態でスピルウィアー星に行けたとしてもすぐに撃墜されるだけだぞ」


崎村が止めるが、話を聞こうともしない。

そんな様子を見て柳川が自ら止めようと席を離れようとした時、横に連絡係の隊員が駆け込んで来た。


「柳川少将、管制室からの報告です。東京支部より太田司令官が特殊大型輸送機「風鳶ふうえん」でこちらに向かったとの事です」


「何?太田がここに来ると、私はそんな話は聞いていないぞ!?」


柳川は突然の一報に驚いた様だったがすぐに気をとり直すと


「仕方ない、総括は一時中断とする」

「各自それぞれの持ち場に戻ってくれ、ただし柊中尉、君に勝手な真似をされる訳にはいかん、君の上司である太田にもこの事を報告せねばな、誰か監視役を、そうだな」

「柳川少将、監視役でしたら私が引き受けます」


思案している柳川を見て楊が手を挙げる。


「では、楊中尉よろしく頼む、場所は4番休憩室を使うと良い」


そう言うと柳川は部下に連れられて状況を確認しに管制室へと向かった。


「休憩室になんか行きたくありません!」

「ちょっと飛鈴も邪魔しないで!離せ!」

「つべこべ言わずにこっちに来なさい!」

「青海と八重咲も手伝って!」


そう言いつつ楊と崎村達は柊を休憩室に連れていく。


―――――

「マリア」内 4番休憩室


とりあえず事が済むまで柊は休憩室で待機と言うことになった。

崎村は状況を確認しに会議室へと戻ったのでここにいるのは柊、楊、青海、八重咲の4人だけである。

柊はひとまず落ち着きを取り戻していたが楊に腕を掴まれたままである。


「楊中尉、お茶の準備が出来ました。柊中尉もどうぞ」


青海がお茶を入れてくれていた。


「ありがと、それじゃ私は手を離すから今度は八重咲が柊を押さえててね」

「了解しました!」

「……もう大丈夫です。勝手に出ていったりしませんから」


さすがに30分位も抑えっぱなしにされては観念するしかない

ようやく解放されると、青海から注いで貰ったお茶に手を伸ばした。


「太田司令が直接来るなんて聞いてませんよ?柊中尉は知ってたんですか?」

「いや、私も知らなかったけど……」


八重咲は言った。

それぞれ思案していると、崎村が伝言を伝えに来た。


「柊、八重咲、青海、君達は司令が乗って来られた輸送機で一緒に東京支部まで戻れとの事ダ」

「私達だけですか?一体どうして……」

「太田司令の意図は分からないが、早く控え室に戻って荷物をまとめて来た方が良いだろうネ」


―――――――――――――――


柊は病室にいた治療中の弓削、瀬川兄妹や他の隊員達にも挨拶を済ませ、格納庫に向かおうとすると誰かから声をかけられた。


「お前の機体の名前『スターダンサー』って名前だったんだな、さっきのスライドで見たよ」


純白の髪の青年が近付いてきた。たしかこの人の名前は……煉だったかな


「そうですけど……すいません急いでいるので」

「連れないねえ、せっかく警告してあげようとしてるのに」

「警告?」


本当に八重咲はこの人に親切にして貰っていたのかという疑問が浮かんだが


「それじゃ、自分の目を見せようとしない人物には気を付けてね」


そう言って煉は柊に背を向け「じゃあね」と行ってしまった。

柊は何だったんだと思いつつも格納庫に向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

格納庫……


「機体の調子はどうだ?」


柊はスターダンサーのすぐそばにいた整備士に声を掛けた。


「少し装甲が汚れていたり傷がついている部分はありますがその他は特に問題ないかと……」

「破損部分は見当たりませんでしたのでエンジンさえ入れればいつでも飛ばせる状態です」


「そうか……ありがとう……」


スターダンサーの状態が良いとわかると柊は少しほっとした表情を浮かべた。

そこに……


「柊中尉……中尉の機体はどうでしたか?」


そこに八重咲が重ーい足取りで現れた。


「早奈英なんだかえらく暗いな……」

「何かあったのか?」


「聞いてくださいよ中尉ー!」


柊が八重咲の話に耳を傾けると八重咲は涙をぽとぽと垂らしていた。


「フラワーデイズがすっごいボロボロになってて東京支部まで戻らないと治らないって言われたんですよー!」

「せっかくの新型機だって言うのにボロボロにしちゃうなんて私……私……」


「泣くなよ早奈英」

「なーに最初のころならよくあることだよ」

「私も昔に派手にやらかしてるしな」

「最初からできる奴なんてどこにもいない」


「そうですか?」


「ああそうだ……」


柊は八重咲の目に浮かぶ涙を手でふき取りながら言った。

そうすると……


「……」

「そうですよね!」

「なんだか柊中尉にそう言われると私元気が出てきました!」

「中尉ありがとうございます!」


そして八重咲はキラキラとした表情で笑った。

そんなことをしている内に……


「柊中尉!どうやら太田司令が着いたみたいです」


青海が二人を呼びに格納庫まで来ていた。


「わかったよ!」

「じゃあ早奈英いこっか!」


「はい!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

マリア滑走路……


柊たちが向かうとすでにその場には崎村、ジョセフ、柳川、楊、時野、守川や他多数のパイロットたちがいた。


「柊来たか……」


「失礼いたします太田司令……」


「柊柳川少将の方から色々聞かせてもらったぞ……」

「どうやら赤城たちが奴らに連れていかれたらしいな……」


「はい司令……」

「司令私にいかせてください!」

「奴……あのグラッシュと名乗る男の発言は明らかに私への挑戦状です」

「ここは私が行かなくては……」


「柊!少し落ち着くんだ……」

「急がば回れと言葉があるだろう……」

「いずれ君には嫌でも向こうに行ってもらわなければいけない時が来る……」

「だからその時まで耐えるんだ……」

「まあそう遠くない未来向こうにいけるはずだよ柊瑠瑚君……」


「そう遠くない未来ですか……」

「そうですよね……」

「わかりました司令……」


柊は司令の言葉を聞いた後まるで飼い主に捨てられた犬のようにしょんぼりとした表情で少し後ろに下がった。

その柊が後ろに下がったタイミングとほぼ同時に柳川少将が太田司令の前へと出た。


「太田司令……お手数を掛けさせてしまい申し訳なかったです」


「何気にすることないさ……」


「そういってもらえて光栄です……」

「そういえば太田司令……先ほど聞きそびれていたことがありましたのですが今回はどのような用件で柊たちを?」


「ああ……そのことか……」

「いやーなぁ……実は中部の方でゲートが開いてな……」


「またゲートですか……しかし流石に最近多すぎるのでは?」


「ああ私もそうは思っている……」

「もうそろそろ来るのかもしれねーな……」

「地球最後の日ってやつが……」


太田司令のこの言葉を聞くと誰もが口を開かなくなった。

そして無言の時間が続いた。

たくさんの人が居るにも関わらず辺りには波の音だけが響いている光景はどう見ても異様であった。

しかしそんな空気の中柳川少将は口を開いた。


「ずいぶん物騒なことを言うもんですな……」

「しかし我々がいる限りそんな日が来ることはまずありえません!」

「だから司令……我々もベストを尽くしましょう……」


「そうだな……」


太田司令はゆっくりと返事を返した。

そしてその後柊たちは他の隊員たちと一旦別れを告げることになった。

しかし柊は別れを告げている最中に一人の人物の不自然な態度に少し違和感を覚えた。

その人物こそが崎村なのであった。

崎村に話しかけてもすぐには返事は返ってこず何度か呼びかけると返事を返すと言った感じだ。

まるで何か考え事をしているようであった。

本人は特に何もないと言っているので柊はそのまま風鳶へと乗り込んでいった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

風鳶内部……


風鳶は香港支部によって作られた特殊大型輸送機である。

塗装は古めかしい茶色の迷彩色でジェット機でありタービンが両翼に2つ、合計で4つ付いているのが特徴である。

本来なら式典用の機体なのだが何故か東京支部では局地制圧用攻撃機として転用されている。


「これが風鳶の中かー……」


八重咲が感心そうに風鳶の中を見渡した。

青海もどこか胸を躍らせている様子に見えた。


「二人は風鳶に乗るのは初めてか?」


「はい初めてです!」


八重咲が元気よく答えた。


「私も初めて搭乗しました……」


それに続き青海も八重咲とは対照的に小さな声で答えた。


「柊中尉は風鳶に搭乗したことがあるんですか?」


「ああ一度だけな……」

「だけど私の覚えている風鳶は確か中はもっと地味だったような……」

「こんな悪趣味なキラキラとした飾りつけとかはされてなかったと思うんだけど……」


風鳶内部にはところどころキラキラと光る金でできた飾りがあたりに飾られていた。

綺麗ではあるもののどこか雑な飾り方をされていた。


っと柊が八重咲の質問に答えている時だった。


「3人とも風鳶はどうだい?」


太田司令が3人の元へとやってきた。


「あ、太田司令!」

「一つ気になっていたことがあったのですが質問よろしいですか?」


「いいがどうしたのだ急に柊……」


「いやそんな大したことではないのですが太田司令のその右目に付けている眼帯が少し気になりまして……」


「眼帯?」


太田司令は右目に髑髏マークの入った眼帯をしていた。

髑髏と言えばカッコいいと感じる人もいるだろうがこの眼帯の髑髏マークはどこか不気味で不安を煽らせるものであった。


「ああ……右目のこれのことかい?」

「これは少しケガをしてしまってね……」

「なぁーにそんなに大したことないから大丈夫だよ……」

「気になっていたというのはこれだけか?」


「あ、はいそうです……」

「急にこんなこと質問してすみませんでした……」


「謝ることないさ」

「さあそんなことよりも3人とも君たちの機体の移動作業が先ほど終わりもう間もなく出発するぞ!」


「「「了解しました」」」


それだけ言い終えると太田司令はまた奥の部屋へと入っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

風鳶出発後のマリア内……


「行ったか……」


柳川少将は小さくそう呟いた。


「よしではこれから我々も東京支部へ向けて向かうとするか……」

「とりあえずまずは向こうの管制塔に連絡だな……」


っと柳川少将は東京支部への報告へ向かおうとした時……


「柳川少将!」


「ん?どうした崎村?」


「柳川少将!その報告私にさせてください!」


「お前が報告を?」

「まあ私は別に構わんが急にどうしたんだ?」


「いや……少し確認したいことがありまして……」


「確認したいこと?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

風鳶……


「……」


柊は窓の外をどこかくらい表情をしながら見ていた。


「中尉そんな暗い顔してどうしちゃったんですか?」


「あ、、、いやちょっとな……」


「ちょっとってもーうなんですか?」


「なんでもないよ……」


「もーう隠し事なんてしないでくださいよ中尉ー……」


こんな何気ない会話を柊たちがしていると……


「3人とも……ちょっといいかね?」


するとまたしても太田司令が訪ねて来た。


「今から君たちにこれからのことを話しておこうと思う……」


「これからのことですか……」


「ああ先ほども話したが中部の方でまたしてもゲートが開いた……」

「そこで君たちにこれから……」


「太田司令!質問よろしいですか?」


太田司令の話を遮るようにして柊は質問をした。


「どうぞ……」


「先ほどから中部中部と言っていますが具体的には中部のどこでゲートが開いたのですか?」


「中部のどこでか……」

「まあ確かに中部と言っても色々あるからな……」

「えーっと確かゲートが開いたのは̪シガの方だったかな?」


「滋賀?」

「司令上げ足を取るような形になるかもしれませんが滋賀は近畿ですよ……」


「あれ?そうだった?」

「ははは私も歳なものだから色々と忘れてしまうんだよ……」


「そうですか……」

「では司令もう一つ質問よろしいですか?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

同時刻マリア……


「こちら東京支部管制塔です」


「こちらマリア」

「今からそちらの方へ帰還する……」


「了解いたしました」


「あと一つ確認したいことがあるのだがいいか?」


「はいどうぞ!」


「そちらの方に太田司令はいらっしゃいますか?」


「太田司令ですか?」

「少々お待ちください」


「おい崎村!」

「太田司令は先ほど柊たちと一緒に中部の方へと行ったではないか!」

「お前は何を聞いているんだ!」


「いや柳川少将待ってください……」

「私はどうもあの太田司令に妙な違和感を抱いておりまして……」


「違和感ってお前な……」


っと柳川少将が崎村に呆れている時であった。


「待たせてすまないね……」

「私に何の様だい崎村?」


「太田司令?」

「何故そこに!?」


「何故って……私がここにいてはいけない理由でもあるのかね柳川少将?」


「あ、、、失礼いたしました……」

「しかし司令は先ほど風鳶でこちらの方に来ていたのでは?」


「風鳶で私が?君は一体何の話をしているのだ?」


「!?」


「柳川少将……」

「すぐに柊たちを追いましょう……」

「このままでは彼女たちの身が危ない……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

同時刻風鳶……


「太田司令……もう一つ質問いいですか?」


「ああ……」


「あなたは……」

「いや……」

「お前は誰だ?」

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