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花屋や花の知識は皆無です。記載している事が正しいとは限りませんことをご理解の上ご覧下さい。

あのピンク頭がテレビに映り出した。


「ねーえ、そんなにカリカリしないでメーイ。」


「カリカリしてないよ。ただピンクが視界に入るとイラっとするだけ。」


もーう。それがカリカリしてるってことだよと、佳子がボソッと言うが私は聞こえてない振りをした。

なぜ私がこんなにも不機嫌なのかを言うと、ここ一週間程でピンク頭もとい幼馴染である陽夏李くんのせいだ。あの本屋で彼の現在を知ってからというもの、こちらとしては一生懸命意識しないようにしてきた。なのにそれを知ってか知らずか、あれから彼を見かける頻度が倍増した。いや、もちろん知ってるはずがないのだが。それでも私は納得できない。

こちらが平静を装うのに苦労するほど、私のメンタルは今やボロボロになし崩しにあった。


「今日も今日とてあの顔を拝むことになるなんてね。ほんと、今日こそは一度も見ることなく一日を過ごそうと思ってたのに。」


「仕方ないよ。だってあんな特大パネルに写ってたらねー? それにCMにだって採用されてるし、メーイもう諦めたらー?」


「なんだかそれ、負けを認めた気分になるからヤダ。」


プイッと視界にピンクが入らない様に顔を背ける私。

クイッ

それに反して、数秒もしない内に佳子が服を引っ張った。


「なに……」


「あそこ」


「? 」


佳子の指す方に目を凝らして見れば、人混みの中にピンク色が目に入った。


「あの頭……」


「十中八九あのビックパネルの彼だと思うなー」


「よく見つけられたわね。ニット帽被ってるのに……」


まあねと、腰に手を当てて胸を張る佳子。


「これもメーイへの愛の賜物よー。悩みの種の元凶を発見て、ところ? 」


「あなた意外とけっこうなこと言うわね。」


視線を彼から外さないまま、佳子に切り返しながら横断歩道を渡る。

雑誌やテレビなどて見るとわからなかったが、意外と身長がある。というのも私の身長が平均より高いためである。一般的にはかなり高い方に入るのではないだろうか。


「あ! 信号が点滅しだしたよ、早く!」


「ちょっ! 引っ張らない!」


その時、カバンに付けているキーホルダーが音を立てた。

まるで何かの合図のように。


誰かが叫んだ。

信号を渡り切った私は辺りを見渡す。


「なにか聞こえた?」


「? なんにもー。車の音も五月蝿いし……」


どうしかしたの? と尋ねてくる彼女に首を振った。

どうやら空耳だったようだ。

そしてもう一度辺りを見渡してピンク色を探すが、車や人に阻まれて見つけることは叶わなかった。それに残念に思う私と、心の何処かでホッとする私がいた。


「早く家に帰ろ。お母さんが待ってる」


今日は義父も遅いだろうしと、佳子を促せば、どこかこちらを伺っているような彼女は戸惑いながらも頷き返してくれた。

私の心は実際に彼を目にした瞬間ざわめいていたが、一度見失えば心は凪いだ。これはきっと神様が私にくれたチャンスだったんだろう。彼に許しを請うための。だけれど私には出来ない、怖くてチャンスを掴むことも無理だった。

だからだろうか。こんなに広い街でもう会うこともないだろうと、たった一度きりの邂逅だと、たかを括ってた。


いつまで経っても成長しないなと、自分を嘲笑う声がした。そんな自分に反するようにカバンに付けていたキーホルダーが反射して光を発していた。

まるで否定しているかのように。



そしてもう一つ。私には、いや私達に悩みができた。それも、最近である。

最近義父の帰宅が遅い。

そんなことか、と言われてしまえばそれまでだがどうにも納得できない事情が私達にはあった。

残業をして遅いのは知っているが、帰宅してからも私達姉妹に構うでもなくほぼ母の元におり、何やら話し込んでいる。そのうえ私達姉妹が二人の話し込んでいるリビングに行くとピタリと話を止めてしまうのである。

これがここ最近の我が家の不可解なこと。試しに佳子が母になんの話か訪ねたそうだ。しかし返事は分かり切っていたが、秘密と、のこと。


「んー気になる」


「同感」


どうやら彼女も同じような心情らしい。しかし守秘義務が付いて回る父の仕事だ。聞き出すことは不可能だろう。

だが、どうやら私達に無関係、というわけでもなさそうだ。かといって教えてくれる可能性は皆無。


「考えられる可能性ってなにかあっかたしら?」


「私はー、んーとくにないはずなんだけどな」


「あれは?あれ。中学の時に告白されて、こっぴどく振ったっていうあれ。そこからモンスターペアレントが登場したっていう」


「皆無とは言い切れないけど限りなく可能性は低いと思うよー。だってあれ、その後あの親子地方に引っ越したって話だったし、もう会うことはないと思うなー」


口を尖らしながら言う佳子のその様がおかしくて少し笑う。


「じゃあ今更関係ないかもね。ま、考えたってわかるわけでもないし、いっか」


「うん。そういえば、メーイの今週のバイトって明日だけだったっけー?楽しい?」


私は基本バイトをして、その貯めたお金で自分のしたいことにあてがっている。そのバイトというのが月に5、6回の花屋のバイトだ。


「そうよ。今週は明日だけよ。今の季節だとアベリアは匂いが強いけど小さな鐘形の花をたくさんついてて可愛いし、カルーナは今から冬にかけて葉色が変わって綺麗よ。あとポピュラーなのはガーベラかしら。今はこの辺がすっごく楽しみだし、やりがいがあるわ」

参考文献:ポケット花図鑑 https://www.komeri.com/flower/index.html

     Wikipedia

     様より

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