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第10話 君がくれた夜

冬が終わり春がやってきて桜が散った


ここは都内の雑居ビルにひっそりと佇むBar

「Chez toiシェ・トワ」。


店長のグラスを拭く静かな音が店内に響いている

もちろん店は閑古鳥…ではない


「いやー!つまんないBarがあるって言ったら娘が興味持っちゃってね」

亀の刺繍がしてあるハンカチで汗を拭きながら初老の男性が話した


「マスター!おぬぬめで何かちょうだい!」


「あっもちろん娘のドリンクはノンアルね」


そんな父親を娘は驚いたように見た

そして、呆れたような恥ずかしがってるような目で口を開いた


「お父さん…外だとそんな喋るんだね」

「お父さんのおすすめを選んでよ、こういうとこ何が美味しいの?」


娘にそう言われた男性は嬉しそうにメニュー表をめくり始め、

ウンウンと唸って長考している


ガン、ガン、ガン…

階段を登ってくる音がする


カランとドアが開いた


店長はグラスを拭く手を止め、空いてる席に目線で座るように促した


Barのカウンター席

座高の高い丸型の椅子

その席に客は腰をおろすと口を開いた


「ただいまっす」


いつでも酒が飲める場所/完結

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