18記
「…こちらは…どなた様のお屋敷なのでしょう。」
王宮が火災との報を受けて、王宮の森を使って逃げ出してくる人物を保護すべしと国からの指示を受け、森に出向いた結果。
年若い弟子に支えられた見るからに王宮の医師であろう大怪我を負った男を保護をした。
「ここは,リード公爵家のタウンハウスだ。
そなたたちは王宮の医師殿とその弟子の君と見受けられるが…。」
軽症と見受けられる弟子は館まで帰り着くことはできるだろうが…。
医師殿の方はすぐにでも手当てを要すると見える。
「…すまぬな。医師殿の怪我はどうだ?」
かなり酷く、明朝まで保つことはないだろうとの答えが返ってくる。
公爵家に仕えてくれているこの医師は、幼少の頃は遊び相手として過ごした間柄。
口は堅いことは何十年も前から知っている。
この場に呼び寄せたのも、信頼ができる間柄だからである。
「…そうか。母親はおらず親子者と聞いたが。」
先頃、医師殿の亡き後弟子の息子を引き取って医師として育てる事を頼まれました…。
確か、この医師夫妻には子供がなかったと記憶している。
子供がいればちょうどこの弟子の年頃であろう。
「…そうか。医師殿の望み次第では領主の権限でそなた達の実子として引き取らせよう。」
医師殿の身体は弟子を庇ったには不自然すぎるぐらいの傷があった。
王宮から逃げ出すにしても火傷の傷はわかるが…。
何か、嫌な予感がする。
何か、王宮でとてつもないことが大きな事件が起きているかのような…。
「…リード公爵、ご迷惑をおかけして…。」
私は、王家に関する秘密を知ってしまった…。
その秘密の存在に対して私の命は小さいことなのであろう…。
私は、秘密を知ったとき、このさだめを受け入れた。
「只一つ…ご迷惑を重ねるのだが…。
息子は何も知らない。だが…王宮より追っ手があろうことは想像できる…。」
ご安心なされよ。ご子息はこちらの医師夫妻の実子として国には届けよう。
ちょうど息子君と年が違わない子どもを生まれてすぐに亡くしている。
夫人も気立てもよければ聡明な方、彼を引き取ることを了承してくれるだろう。
「公爵の名において、あなた方が傷を負った経緯については聞かなかったこと。」
王宮の命に従って、火災から逃げ延びてきた方々を保護をした。
保護をしたうちで、残念ながらひどい怪我を負って助からなかった者も何名かいた。
後から王宮からの問いに答えるには…その救えなかった者たちの中にそなたと息子君の名前があったことと。
その夜明けを見ることなく、医師殿は息絶えた。
医師殿が知った秘密が何だったのか誰も知らぬままに___。




