15記
「…ヴァンパイア歴149年、つまり、ヴァンパイアの時代の最後の年。」
この年に王家に関する記録はほぼ無い。
これより前の記録では、最後の王となるゲオルギウス3世はヴァンパイア歴125年の生まれで、彼の妻子の記述がある。
子孫に関してはイルイーネ王女、アルド王子、ユフィール王女の3名。
このうち、アルド王子が王太子で聡明と言われ、イルイーネ王女、ユフィール王女は美貌の王女と言われていた。
「…そして、ヴァンパイア歴150年、つまり、ヴァンプ元年、王宮が謎の火災で焼失、ゲオルギウス3世、国王陛下を含む王妃陛下、王女、王子殿下全員が亡くなる…。」
これが現在における、近代の歴史の流れ。
問題となるのは極端に記録がない王宮火災の前年からの流れ。
特に記載することもないから、なのだろうか?
「更に、歴史を遡れば、ヴァンパイア歴の内容に行き着く。」
初代王がリーブラシルを王家と定め、国を成り立たせた年こそ167年前、ヴァンパイア歴元年と称される年。
初代王は聡明で賢帝であったとの記録がある。
魔術の才気に溢れ、ヴァンパイアのためのヴァンパイアによる国を興した。
国を常世の闇の魔法で囲い込み、国民が暮らせる場所を確保した。
「リリー、ここの記載がよくわからない。」
どうしたの?あぁ、ここはヴァンパイア史を学んでないとわからない記述ね。
ヴァンパイアとVampの違いを知らないとこの記述は難しいと思う。
まず、ヴァンパイアは種族として純血種と呼ばれていて主食が血液、日光の光に当たると灰になって消えてしまうの。
それで、Vampは種族として亜種と呼ばれていて主食は人間と同じ、日光の光に当たっても灰になることはない。
「なるほど。それで日光の光に当てられないための魔法が常世の闇の魔法…。」
今は、年号にもなっているけどヴァンパイアの居ない、Vampのみの世界ってわけだ。
って、なんでヴァンパイアは居なくなったんだ?
絶滅したとか?常世の闇の魔法が解けたとか?
「カイア、それ本気で言ってる?
この国の歴史で一番大事で初等部で入学すぐに全員に教えられることなのに。
…あー、でも、あなた。その頃は騎士だ、剣を持て!とかって勉強に身が入らない状態だったっけ?」
おいおい、そんなことまで覚えているのかよ!
真っ赤になった俺を幼馴染はクスクス笑いながらつついてくる。
それが悔しくて、頭をぐしゃぐしゃと撫でてやると心底嫌そうな顔をして直しながら怒る。
うろ覚えである歴史の勉強のし直しをもう少しだけこの幼馴染としたいから、何も知らないフリをする___。




