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悪役令嬢様は婚約者のダメ王子を捨てられない!!  作者: 加藤チョコミント
Episode5 悪役令嬢様は婚約者のダメ王子を捨てられない!!
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最終決戦





それから数日ほど経ったが、ハンナもベネディクトもマティアスさえも、特に誰も話しかけて来なかった。


私、もしかして色々やらかしたからみんなから嫌われたのかしら…。

そんなことを考えていると、私の元へと手紙が届けられた。

キレイな蝋印が押されたダークグリーンの封筒を開く。



差出人はベネディクトからだった。





「ヴェロニカ様


先日のお話をずっと考えていました。

僕の気持ちをお伝えしたく、明日また話す機会がほしいです。


もしよければ、話の場を作るのでこちらに来ていただけませんか。」



キレイな字で綴られている手紙を見て、これがベネディクトの字かぁ、なんて思うと胸の奥がキュッとした。


気持ちを伝えるって…なにを言われるんだろう。

どんなことを考えているの?


イヤな方向にばかり想像が向いてしまい、足がすくむ。


マティアスは「ハンナは、ベネディクトがヴェロニカのことを離したくないと言っている。」的な、又聞きの又聞き的なことを言っていたけど、あれはいつの話なんだろう。


もしかしたら実は小さい頃はそう思っていた、的なあれかもしれないし、今だとは限らない…。


こわい!嫌われてたら?やっぱりハンナが好きと言われたら?

そんなの死んじゃいたくなるくらい辛い!


でも行かないと。

前回は私ばっかり言いたいことを言って終わってるし、きちんとベネディクトのことを聞かないと。



そんなことを考えていたら、全く眠れないまま朝を迎えることになった。



「ヒドイ顔…。」



鏡を見て思わずそう呟く。


せめて、もし振られるなら美しく散りたい。

キレイな私を覚えておいてほしい。


そんなことを考えてながら支度をした。

一番お気に入りのドレスに、ベネディクトから褒められたことのあるバレッタ、流行りのメイク、コンディションは最悪ながらも外側をバッチリキメてノルデグレーン城へと馬車を出してもらった。



城へ着き、案内されたのはベネディクトの部屋ではなく応接室だった。


恐る恐る部屋へ入ると、そこにはハンナとマティアス、そしてベネディクトが立っていた。




「え…どういうこと?」




「あたしたちも知らないんだよー。」



ハンナが答える。マティアスを見ると、困ったような表情で首をかしげていた。




「みんな、今日は来てくれてありがとう。

今日は僕がずっと思っていたこと、考えていたことを伝えたいんだ。

今更かもしれない、それでもみんなに、ここにいる僕の大切な人たちに知ってほしい。」



そう言って、ベネディクトが話し始めた。



その話は、ベネディクトの夢や、挫折したこと、私を遠ざけようとした理由などだった。


私が想像もしていなかったことばかりだった。

ベネディクトがそんな思いをしていたなんて知らなかった。


ハンナを見るとうつむきながら頷いていた。

マティアスは、苦悶の表情を浮かべていた。



「これが僕の全て。僕が一人で勝手に悩んで、だめになって言った理由だよ。」



私はなにも言えなかった。

ベネディクトの父、現王に腹が立って仕方がなかった。

なぜこんな追い詰められるのだろう、なぜ兄弟で仲違いさせるようなことをするのだろう。



「俺は…なにもわかっていませんでした。」


マティアスが口を開いた。



「ごめんなさい。俺はずっとあなたを憎んで、挙げ句ヴェロニカ様にまで横恋慕していた。

俺ならあなたと違って幸せにできるのに、そんなふうに考えていた。


俺は…最低です。」




「マティアス…。いや、マティアスは悪くないよ。

僕が父の期待に応えられないせいでこうなっていることに、なんの間違いもないんだから。」




「あと、ヴェロニカ。」


突然ベネディクトに呼びかけられ、バッと顔を上げる。


ベネディクトが悲しげに微笑んでこちらを見ていた。



「ヴェロニカ、この前は君の気持ちを僕にきちんと伝えてくれてありがとう。

ヴェロニカはずっと僕に興味がないと思ってたんだ。

だから突き放して、呆れさせて、嫌いになってもらおうとした。

マティアスと婚約すれば、君は王妃になれるし、みんなが幸せになれると思ったんだ。


でもそれは間違ってた。

結果的に一番君を傷付けることになっていた。

僕はいつも決断を間違えるんだ。

ごめんね、ヴェロニカ。


僕は君のことがずっと好きだ。

今でも好きだ。

でも僕は王にはなれない。その素質がまったくないから。

僕のせいで、僕といることで、君はみんなから笑われたり、下に見られてしまう。


そんなことになってほしくないんだ。


僕のことを想ってくれているのは、もう嬉しすぎてどうしようもないくらいだけど、僕は君を幸せにしたい。


でもきっと、僕といたら幸せになれない…。


もうマティアスとくっつけ、なんてことを言うつもりはないよ。

ただ、誰かもっと君を幸せにしてくれる人はいると思うんだ。」



手がブルブル震えた。



「マティアス、お前は王に向いてる。

だって僕の自慢の弟だ。

誰よりも信頼しているよ。

だから、僕ではなくマティアスが王になるべきだ。


お前は、僕を踏み台にしてほしいんだ、それでいいんだよ。」



ベネディクトは物悲しげな瞳でそれらを言い切った。




「それで終わり?」


私が尋ね、



「え、うん、そうだ…」


と、ベネディクトが答え終わる前に、私は全力で拳を彼の横っ面に叩き込んでいた。





「わぉ」

そう小さくハンナが言ったのが聞こえた。




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