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悪役令嬢様は婚約者のダメ王子を捨てられない!!  作者: 加藤チョコミント
Episode3 ヴェロニカのこころ
19/27

ヴェロニカとベネディクト④



そんなことを思い出しながら、私はこのランチタイムの間に言いたいことを言ってしまおうと決めていた。



手始めに、マティアスのことを伝えた。


「ベネディクト様、私、マティアス様に告白されました。」


フォークを持つ、ベネディクトの手がピクッと揺れた。




「それと、ベネディクト様がハンナ様と二人っきりでレッスンしていたの、知りませんでした。」




ベネディクトがフォークを置き、こちらを向いた。


「それは…僕のせいでハンナが責られることがあってはいけないと思ったから…。そもそもは僕の責任だし、少しでも彼女の役に立てるかと思って…。」





「ヒルデガルド様の件では、あんなにしっかりご自分の気持ちを話して、怒っているベネディクト様を見たのも初めてです。」





「あはは、僕も初めてだったよ。」





「……あの、ベネディクト様。私、怒っています。」




「え?」




「入学してからずっと怒っています!!」




「そんな前から?…なぜ?」





「どうして私がいるのに、他の令嬢とばかり遊ぶのですか?!

どうして私をマティアス様とくっつけようとするのですか?!

どうして夢を全部諦めて、投げやりな態度を取るのですか?!

どうしてハンナとばかり仲良くするのですか?!?!」




「ヴェロニカ、落ち着いて…」




「私は…私は、王妃になることなんかどうでもいいんです!!!」




「…っえ?!」




「私は、ベネディクト様と…。

いえ、ベネディクト様だから王妃になりたいと思っていたんです!」





「…?んん?それは…どういう…?」





「…まったく、鈍いですね。」


そう言って私はベネディクトの胸ぐらを掴んで引き寄せ、ぽかんとしているその口に自分の唇を押し付けた。






「ベネディクト様のことを好きだと言っているんです!!!」


突然のことに、ベネディクトは真っ赤になっていた。




「私はベネディクト様が好きなんです!もうどうしようもなく好きです!

見た目も、その声も、私に興味がないけど、なかなか自分から婚約破棄が言い出せないその優しすぎる性格も!」




「それはちが…」




「ベネディクト様!私ぜっっったい!婚約破棄なんてしませんよ!

マティアス様と結婚なんてしません!

だってマティアス様のことを恋愛感情で好きになったことなんて一度もないから!


もうベネディクト様は覚えてなんかないと思うけど、前に花をくれたときに私のことを 特別な女の子 だと言ってくれていました。


それと同じで、私にとってはベネディクト様だけが、たった一人の特別な男の人です。


もう、私なんかよりハンナのことが好きなのはわかってます!

それでも私は諦められません!

ハンナと婚約したいなら、ベネディクト様からきちんと振ってください!


だって、そうしないと私は次に進めません…。」




ベネディクトは口を押さえて、真っ赤になったまま言った。


「僕らは随分と長く一緒にいるけど…ヴェロニカは…僕に飽きないの?

僕なんか、一緒にいたら退屈ですぐ飽きちゃうと思うけど…。」



はぁ、とため息をついた。この人なにもわかってないのね。



「ベネディクト様、ご存知ですか?

私は3歳の頃から毎朝、一日も欠かすことなく朝食はパンケーキなんです。」




「え?毎朝?」




「パンケーキとミルクティー、フルーツ。この組合せを15年間毎朝食べ続けています。」




「ま、毎朝…15年も…。」




「そうです、なぜだかわかりますか?」




「え、ルーティンとか、精神統一かなにか…?」




「バカですか?!ちがいます。好きだからです!!


私は好きなものしか食べたくないんです。

好きなものだけを食べ続けたい。ずっと。一生です。」


私がじっとベネディクトの目を見つめると、彼は意味を理解したのか、また真っ赤になった。



「わかっていただけましたか?

飽きるなんてとんでもない。私はあなたといる未来しか考えたくないんです。

マティアスのことはもうお断りしました。

だって私は、ベネディクト・クリステル・ノルデグレーンの婚約者ですから。」


ふん、と強気に言い切ると、私は部屋を出る準備をした。



部屋から出る前に、一つ言い残したことがあると気付いた。



「そういえば、ハンナのことです。

ベネディクト様がハンナを好きなことはもうわかっています。

悔しいですが…今までの遊びと違って本気だということも。


だからきちんと言っておきます。

私から婚約破棄するなんてありえません。


どうしてもハンナと一緒になりたければ、きちんと私を振ることですね。そうしたら諦めてあげます。」


そう言ってバタンと扉をしめた。


扉を締めてから、私はドアに背をもたれてズリズリと座り込んだ。



私ってば!!!なんてことをーーーーーー!!!!!

キ、キスしちゃった!!!しかもあんな乱暴に!!令嬢ともあろう女の子が!!!

しかも全部言っちゃったーーーー!!!!

ぜっっっったいドン引きしたよね?!?!重くてしつこい女だと思われたよね?!?!


どうしよーーーー!!!嫌われたーーーーー!!!!

絶対振られるーーー!しかもきっと諦めが悪い女だと思われたから、なおさらこっぴどく振られるんだーーー!!!



でももう言ってしまったことは仕方ない…。

ベネディクトに直接振られるその日まで、あとはもう待つしかない…。



それにしても…ベネディクトの唇、柔らかかったなぁ…。

そう考えてドキドキしてしまう、そんな不純な自分にも呆れた。


あ、ランチ、前菜のサラダしか食べてなかった…。

そんなことを思いながらトボトボと歩きだした。


すっきりしたらお腹空いてきちゃった。下のフロアで食べよう…。





一方でベネディクトは、まだあ然としたまま座っていた。



ヴェロニカが?僕を?


それに、ハンナとのこと、完全に誤解されてる…。




この先、彼女とどう話したらいいんだ、と天井を見た。

もうランチなんて喉を通らないほど、驚きでいっぱいだった。



「ずっと、一方的に好きなのは僕の方だと思ってたのに。」



思わずそう呟いた。




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