07 教え子たち
狩猟
教え子の奴隷に
白木夏雄はあの更衣室から男たちが出て行ったあと、しばらく放心していましたが、授業に使っていたトレーニングパンツとシャツを身に着けて、なんとか抜け出したようです。
彼はもうこの学校にはいられないと考えながら、駅前の居酒屋の人ごみの中に隠れるように潜り込み、、飲めもしない酒をしたたかに飲み、アバートにもどのように帰ってのか記憶にないとのことです。
深夜に目を覚まし、シャワーをあびたあとに元気をとりもどすと辞表を書き、残りの夏休みを実家で過ごし、二学期のはじめに教師をやめるつもりで登校したそうです。
彼はその日、彼が立ち上げ育て上げたレスリング部との別れのつもりで練習に出ています。久米英介と組みあって汗を流したときは、汚辱を忘れたと書いています。また、学期はじめの二年 C組の生徒と顔をあわせていますが、奇妙なほど静かで、木山一平も何でもない表情だったそうです。
『しかし、俺の手や足首には、細引きで縛られた記憶が残っていた。俺の身体の隅々まで映され、あまつさえ自分でも見たことのない秘部まで暴かれ扱かれ、それに反応して射精までした姿が残されてしまう。
生徒たちを目の前にすると、恥辱にまみえた堕落した教師として自覚してしまう。
この場を早く去りたかった。』
白木はそう書いていますが、その時のわたしには、いつもの爽やかな姿しか記憶にありません。彼は、同僚たちには気づかれない様に、あえて平静を装っていたのでしょうか。
そして部活のあと、久米が彼を呼びとめ、深刻そうな顔で先生のアパートへ行ってもいいかというので、何か受験の話でもあるのかと思って、もう一日だけ辞表を出す事にしたそうです。
しかしこの一日の遅れが白木の運命を変えたのです。
『あの日、俺はすぐに辞表を出すべきだった。あの時なら誰も俺のこころの内を知らなかっただろうし、悔やまれてならない。愛弟子の久米があまり深刻そうな顔をしていたので、彼を無碍に扱えなかった。あとで気づくが、あいつも俺と同じように苦しんでいたようだ。
だが久米が去ったあとに木山がやってきた。俺は怒りを抑えきれずいきなり「俺は教師をやめる、辞表も書いている。あす提出する。おまえなどに自由にはされない」と叫んだ。それもあとから思えば言わなければ良かった。言ったが為に、木山は計略を企み行動に移したのだ。
あの時が最後の運命の分かれ目だった。あの後はもうもとには戻れなかった。何度悔いても悔やまれる。
どうして俺はあの時あいつに打ち明けてしまったのだろう。それは怒りに任せてのことに違いなかったのだが。
俺はこれであいつとすっぱり縁が切れる。もうあいつの存在におひえなくてすむと、気が緩んでいたのかもしれない。
あのあとから起きたことを考えれば、裸を撮られたり扱かれることは、何でもなかったのだ。我慢できる事だった。』
白木はこのあとに起きた出来事を手記を書いている時点でも怯えています。
それは最後には結局、退職と失踪という事実に表れているのかもしれません。
ともかく、その夜白木のアパートに久米はやってきました。
しかし白木が驚いたのは、久米のうしろにレスリング部の副部長の中山久司と級長の松田幸次がいたことです。何故彼らも?と不思議に思っていると、そのあとから成田、横山、鈴木までもが付いてきていたとのことです。そして最後に木山の顔を見たときは驚愕したと書いてます。
更にはその瞬間、 白木は彼の肉体を責めさいなみ、嬲り、もてあそんだ男たちの正体がわかったと書いてます。
それは久米が「オレ、先生にあやまりたいと思って今夜来ようとしたら、みんなにバレて問い詰められ、一緒に来ることになっちゃったんだ。」と泣き出したからでした。
『久米は木山に何か弱みを握られたのだろうか。
そうじゃなかったら木山より体格でも上回っている久米が、上級生でレスリング部のキャプテンでもある彼が、木山の言いなりになるわけがないと思った。
それに級長の松田もどうして木山の軍門に下ってしまってんだろう。
俺は、木山が俺に加えた圧力だけでなく、彼らも術中にはめた力にあらためて恐れた。木山の済まなそうに顔にくらべれは、松田は意外と平静に見えた。木山の前だからそう装っていたのか、それとも案外優等生は臨機応変なのだろうか。
俺がためらっていると、木山たちは久米を前に立たせ彼を押しながら部屋に入ってきた、。「面白いものを見せてやるぜ。」
木山がそう言うと、奴らはデジタルカメラとテレビをケーブルで繋ぎ、テレビのスイッチを入れた。
まず画面に映されたのは、あの時に撮られた俺の裸だった。
俺がそれを妨害しようと動き出すと、奴らは俺を捕まえ後ろ手に縛って、身動きできなくしてきた。
引き続き画面には、両手首両足首を縛られ引っ張られ、何も隠すことができずにいた俺の生まれたままの姿や、俺のあそこの大写しや、やられているところや、射精した瞬間の場面などがスライドショーになって、テレビの画面にすべてがはっきりと写しだされていった。
「どこへ逃げても、この写真がおまえについてまわるぞ。」
木山は俺の耳にそうささやいた。
写真が終わると、ケーブルはビデオカメラにつなぎ直された。
最初は、俺がレスリング部で練習をしているところや、水着姿で水泳指導しているところや、街をあるいている情景などが盗み撮りされていた。
次に画面が変わるとあの日の俺が映った。
裸の俺がすべて映っていた。俺のものが、ぐったりしているところから立ち上がっていくところまでスローモーションで映り、昂ぶっていく俺の顔も充分に写しとられていた。射精の瞬間は横側から写され、白いものが飛び散るのもスローモーションで逃さず撮られていた。
俺は裏返しにされ、俺も見たことのない部分が大写しにされ、奴らの手で開かれていく様もはっきりと写っていた。
「誰にも言わないから学校はやめるな。。おまえが俺の言うままになれば、これはヒミツにする。わかったか」
と木山は、俺の自由にならないからだをゆすって言った。俺は阿呆のようにうなずくだけだった。
あの時も、「どうせ俺は辞めるんだ。勝手にしろ。」と強く出ても良かったのかもしれない。
だが俺は、まだ教師という仕事に愛着があったし、それに俺が立ち上げたレスリング部の行方も気になっていた。
木山が秘密にしてくれるならばと、甘い期待を抱いてしまった。
木山の恐ろしさを知っていたはずなのに、俺は甘かった。
この事も、何度悔いても悔やみきれない。』
白木夏雄は教え子たちに弄ばれる自分の肉体を見ながら、身体の奥底からゆっくりと燃えがってくる快感の炎に抗えなかってと、かいています。
彼は仕事の事、部活の事を理由に甘い期待を抱いたと書いていますが、その同じこころの奥では、この快楽から逃れられなかったのかもしれません。
その証拠に彼は、自分の下腹に黒い草の茂みのように生い茂る、一本一本の体毛が鮮明に写し撮られ、その中に堅さを増して立ち上がっていく白木自身のもののようすが、その裏すじまでもがカメラが回り込み映されているのを見て、目を逸らせなかったと書いてます。
本来ならば目を逸らし、見たくないと思うものを無理矢理見せられるというのが、通常の反応だと思うのてすが、白木はそうではなかったようです、その事も白木が判断を鈍らせた遠因なのかも知れません。
この映写会のあと木山は、五人の高校生とその教師にいっさい口外しないことを命じ、 木山の指示には無条件で従うように言っています。
「背いた者には罰をあたえる。」と宣言したそうです。
白木はもちろん、他の5人も目の前で映された白木の姿を見て、皆「従う。と誓った。」と書いてます。
その後白木は木山の目の前で辞表を破り、あらためて木山の支配に従うことを誓わせられたそうです。
こののち白木は、木山の命ずるままにアパートをひきはらい、木山の家の倉庫ビルの三階に移り、木山との共同生活をはじめています。それは私も知っています。
彼から引っ越したという電話があり、木山の両親にたのまれて、倉庫の管理人の住宅として作られた3DKに住むことにしたと知らされたからです。
そのかわり、家賃代わりに親もとを離れて生活している息子を監督してくれとたのまれたと報告してきたからです。
わたしはそれはいいことだと、あの時白木に言ってやりました。
しかし知らなかったとはいえこの間の事情が、もし白木が書いたとおりだとしたら、わたしは彼に思いとどまるように言ってやるべきでした。この事を思うと今でも悔やまれてなりません。




