【第十一章】私と友情とやっぱり脳破壊で新しき道【百七話】
「なあ、アライの元カレよ」
なしてがカズミどがいう人間の女さ馴れ馴れしく話しかげられる。
それにオラは小豆洗いの元カレでね。
ただの親友だ。
そう、親友なんだ。
「オラど小豆洗いはそんた仲でねぞ。ただの親友だぞ」
「クネユスリだっけ? じゃあ、クネでいいよな?」
けど、カズミとかいう人間の女はオラの話なんか聞いていない。
オラの名前はクネど命名されだ。
ま、まんず、わりぐね。
クネどアライ。
わりぐはね。
「それがオラの名が?」
クネ、クネがオラの名が。
今まで名前なんてもんはねがったがらな。
存外さ嬉しぇもんだな。
「そうだぞ、小豆洗いはアライだぞ」
小豆洗いの名もわりぐはね。
わりぐはねんだが。
「なして、名がら小豆取った? だんて、あえだばごっふぃ豆なんかにうづづ抜がす」
名は体を表す。
小豆洗ぇがら小豆取ったがら、そんた豆にうづづ抜がしてらんでねのが?
「アライって名付ける前にコーヒーにはまってた気がするけど、どっちだっけか? 覚えているかトウフ?」
カズミどがいう人間の女はそう言って隣で、こっふぃ飲んでら豆腐小僧さ聞ぐ。
コイツは、まんず、え奴なんだべな。
なんていうが邪気がまるでね。
心の中まで豆腐のように真っ白なんだべな。
そいだげに妖怪には向いでねようにも思えるが。
「え? ボクももう曖昧です…… すいません、クネさん」
クネさんか……
名前呼ばれるのはわりぐね。
小豆洗い、いや、ア、アライよ。
おめもオラの名呼んでけれ。
「クネ…… クネかぁ……」
んだども、アライはあんまりピンど来てね様子だ。
オラの名呼ぶアライ、ふむ、わりぐはね。
アライにそう呼んでもらえれば、オラは満足だ。
「ユスリよりはいい名だろ?」
まんず、それも確がに。
アズキもユスリも、女の名ぽぐなっちまうしな。
そう考えれば、アライって名前も小豆洗いにはぴったりだな。
「まんず、そうがもしれねげど」
ただこの女さ感謝するのは癪だったがら、え顔はしてやらん。
んだども、この女アライ変わった現況でねどしたら?
んだども、この女以外さ誰がアライ変えぢまぅだっていうんだ?
オラ頭ひねってらどそんたごど言われだ。
「クネもさ、服を買ってやるからそれを着ようぜ?」
オラさ服どご?
な、何企んでら?
オラまで誘惑する気が?
いや、んだども、オラもアライのようなカッコえ服どご?
「オラも小豆洗いのような服着るんか?」
「あれは高そうだからな。どっちかというとトウフのような服だな」
やっぱしアライの服はたげ、高級な奴なのが!
さすがアライだ。
豆腐小僧、トウフが?
トウフの服は…… 柔らがそうで涼し気ではあるな。
特に足なんて、ほどんど出でらでねぁが。
「なんで豆腐小僧は足出どる? そんた短ぇ服着寄ってがらに」
オラがそう言えば、カズミどがいう人間の女、いや、カズミっつったほうがえのが?
カズミは慌でで、
「いっ、今は夏だからな!」
て言った。
確がに都会の夏は暑ぇのぉ。
んだども、なんでこんたに慌ででらんだ?
「カズミさんが、これがいいって言ったんですよ!」
逆さトウフは嬉しそうに言ってくる。
うーん? 誑かし込まれだのはアライではなぐトウフなのが?
確がにこの二人は仲がよさそうだしなあ。
「夏で暑いから!」
オラ訝しんでらど、カズミは大ぎな声でそう言った。
「まんず、確がに。外は暑ぇよな。この部屋は涼しぇが」
夏の都会はどごが異常な暑さじゃ。
オラ住んでだ場所はこごまで異様な暑さでねがったよな。
んだども、不思議ど部屋の中は涼しいんだ。
これはなんで?
「エアコンの力だよ」
「なんじゃそれは? 新しぇ妖怪が?」
そんた妖怪がいるのが?
聞いだごどのね名前だ。
「いや、ただの機械だよ」
機械が。
オラの住んでだ山丸裸にして、しまいにはなぐしたのも機械って話じゃ……
妖怪は機械には勝でん。
そもそも機械って何なんじゃ?
「オラにはわがらんのお」
「まあ、適当に服を買っておいてやったからな。お近づきの印だ。私はお前に期待しているんだからな」
期待してら?
何の話なんじゃ?
それに服買った?
アライの部屋がら一歩も出でねども、この女は何言ってらんだ?
だいだぇそんたものが、
「服買った? どさある?」
どさあるって言うんじゃ?
「んー、明日か明後日には届くんじゃないか?」
「届ぐ?」
どんたごどじゃ?
この女、妖術使いが何がなのが?
ほんに服届ぐのが?
そもそも、いづ買ったんじゃ?
「便利だよな」
便利でしましてえごどなんか?
なんかオラ、別の世界さ来てしまった感じだぞ?
「オラ、こんたどごろにいでえが?」
このままオラもこの場所さ居だら、なんか堕落してしまう気がするぞ?




