【第十一章】私と友情とやっぱり脳破壊で新しき道【百六話】
オラの結論どしては、カズミどがいう人間の女さ小豆洗いが誑がされだ。
ていうごどになったんだが、それで間違いねんだよな?
あの女の小豆洗い見るまなぐは、どごがおがしぇ。
ただ、豆腐小僧ども仲がえんだよな。
そごがわがらん。
はっ、もしや小豆洗いど豆腐小僧、その両方どご誑がしてらんか?
あの女は、なんて奴じゃ。
オラ懲らしめでやらねどなんねえだな。
とはいえ、オラはクネユスリ。
生垣を揺らすことしかできない妖怪だぁ。
生垣もないこの場所で何ができるというんだ?
オラは親友である小豆洗いのために何をしてやれるんだ?
「おい、女」
オラは強気に声を掛ける。
正義は我にあり、だ。
「カズミさんだ。ちゃんとさん付けで呼べよ、アライの元カレ」
けど、カズミとかいう人間の女は、そう言ってオラを見下した。
まあ、オラの身長が女の半分くらいなせいだけどな。
そんなことでオラは挫けないぞ。
「小豆洗いを誑かすのはやめてくれないか?」
まずはそれをやめさせねばならない。
話はそこからだ。
「ん? 誰が? トウフの恋路を邪魔しようっていうのか?」
カズミとかいう人間の女は少し考えた後、意味の分からんことを言ってきた。
「トウフ? なんで豆腐小僧が?」
トウフというのは豆腐小僧のことだよな?
小豆洗いも豆腐小僧のことをトウフと呼んでいたしな。
でも、なんで豆腐小僧が急に出て来たんだ?
オラが何も理解できずにいると、カズミとかいう人間の女は何か気がついたように目を開いた。
「あっ、ああ、もしかして私に言っているのか?」
「そうだ」
はじめっからオラはお前に言っているんだ。
「あー、うん、私は別に誑かしてないし、アライの奴も私に気はないと思うぞ」
何やら難しそうな顔をしてカズミとかいう人間の女はそう言った。
嘘ではなさそうだが、何か引っかかるものがある。
「そうなのか? じゃあ、なんで小豆洗いはあんなに変わってしまったんじゃ?」
この女が原因じゃないのか?
まあ、考えてみれば、小豆洗いとこの女は仲良さそうには見えん。
どちらかというと、確かにこの女は豆腐小僧と仲が良さそうだよな。
「それこそコーヒーに出会ったからだろう。ついでに服装は私と出会う前からだな。どっかのおばさんに選んでもらったとか言ってたな」
こっふぃ豆とかいうわけの分からん豆か……
それが原因なのか?
小豆洗いは小豆を捨てて、こっふぃ豆洗いにでもなるつもりなんか?
オラそんなこと許さんぞ?
「なんでそんなことを?」
オラはこっふぃ豆のことを聞き返したつもりなんじゃが、
「妖怪だとばれないようにって言ってたぞ、たしか」
女は服のことだと思っている見てえだな。
だけど、なるほどな。
「さすが小豆洗い。人間社会に溶け込み、適応してんだな」
小豆洗いはさすがじゃよ。
オラじゃそんなことできない。
都会に対応なんてできやしない。
「うーん……」
カズミとかいう人間の女が難しい顔をしてオラを見てくる。
な、なんじゃあ、この女、オラまで誑し込む気でいるのか?
「な、なんぞ?」
「おまえとアライがくっついても、私的にはありなのかと、ちょっと想像してな」
何を言っているんだ?
この女は!?
オ、オラが、小豆洗いと?
くっつくだと? そ、そんなわけ、あるわけないじゃないか?
で、でも、オラは……
「オラと小豆洗いがくっつく!? な、何言ってんだ!」
小豆洗いの奴は…… まだ台所にいる。この話は聞がれでね。
急に何言いだすんだ、この女は!?
オラが慌てていると、
「こっちは脈ありか。うーむ。むしろ一旦そっちにアライを目覚めさせてから、トウフとの仲を…… これはアリか?」
独り言のようにそう言っているんじゃが……
この女が何言っているのか、オラにはまるで理解できないのだが?
それになんで豆腐小僧が関係してくるんだ?
オラと小豆洗いの仲に、豆腐小僧は関係ないんじゃないのか?
「な、なんなんだべ? この女は?」
オラが恐れおののいていると、定位置に座っているぬらりひょん様が、
「邪悪だから、おまえのような妖怪は関わるな」
と、そう声を掛けてくださった。
確がにこのカズミどがいう人間の女は、どごが邪悪さ思える。




