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「す、すみません、ルカ。警報に耐えられなくて、つい……何かまずかったですか?」
パーティの三人も、他の調査班の三人も飛び出してくる。全員突然のログアウトに混乱しているようだったが、ルカはすぐさま我に返った。
「いえ、まだそうと決まったわけじゃないんですが……モルダさん、今回の調査の規則はどうなってますか? 『扉が開いても無闇に立ち入らないこと』ってクエスト依頼書に記載していましたっけ?」
「いいえ、そういった決まりはないわ……あ、じゃなくて! 決まりはないゾ! 遺物は一度集めて分配する方式だと伝えてはいるが……なあ、一体そっちで何があったんだ? 突然ログアウトさせられて状況が分からんのだが」
「実は『巨人の化石』の開錠に成功したみたいなんです。ただあの巨塔……古代人の重要施設だったようで、相当強力なセキュリティが敷かれていると思われます。もし中に誰かが踏み込んでしまったら――」
その時、何かが爆発するような音や悲鳴のような声が聞こえてきた。はっとなったルカは、「うわぁ、やっぱそうなるか……」と額に汗をにじませる。
「みなさん、さあ立って! 巨塔の中に入った人たちの救出に向かいますよ!」
「ちょ、ちょっと待ってください、ルカ! 何が起こってるっていうんですか?」
「今ワタシたちがいた『アナザーアース』は、管理権限第二号――つまりミコナさんだけを招いていたわけです! なら、ミコナさん以外が入ってしまったらそれは侵入者なわけで、古代遺跡の防衛機能が起動してしまうってことです!」
古代遺跡の防衛機能……様々なクエストに参加してきたのだろう、その場にいた全員が顔色を変えた。
慌てて外へと飛び出すと、巨塔に電気が流れてあちこちにライトが点っているのに気づく。そして巨塔の扉が開かれており、護衛班が集まって必死に抑えつけていた。
「おーい、ミコナァ!! すまねえ、中のやつ助けてやってくれ!! 早く……この扉、今にも閉じそうなんだ……!!」
ソウガおじさんに呼ばれて駆けつけてみれば、巨塔の中は戦場の有様だった。
「げっ、『守護者』!? しかも何よ、この数!」
「うわぁ、厄介なのが出てきましたねぇ……倒すのはライアでも苦労するんですよぉ」
リリンもライアですらもうんざりしてしまう『守護者』――白くつるりとした金属版に包まれた機械の肉体に様々な兵器を搭載した、『ロボット』と呼ばれる古代の兵器である。
護衛班の人たちが大剣を振り回し、魔法で火球を浴びせる中、何事もなく二足の機械の足で突き進んでくる。無数のアームに装備されたナイフ、電磁ロッド、捕縛用の粘着弾が込められた『機関銃』や、目が痛くなるガスもまき散らしてくる……そんな厄介な存在が何十体もおり、塔の中心を貫いている大柱の中から続々と出てきていた。
「うわぁ……まさかこんなことになるなんて……」
「後悔は後にしてください、ミコナさん! とにかく『守護者』を外に出しちゃいけませんよ! 遺跡を傷つけない屋外に出てくると、途端使う兵器の危険性が上がりますからね!? リリンさんたちも分かってますか!?」
「金属弾とか『追尾弾』とかの事よね? 一度殺されかけたことあるから嫌ってほど理解してるわ……」
「抑え込みながら護衛班の救出するのは難しいですね。かなり大変ですが、少し数を減らしましょう!」
ライアはそう言って巨塔の中へ飛び込むと、拘束した護衛班を切り刻もうとしていた『守護者』の一体に剣を振るった。
「スキル【封魔解放】、発動――【瞬閃一文字】!」
唱えた瞬間、剣の刀身から質感が消え、紅い光となって『守護者』の胴体をすり抜ける。斬りつけられたところは赤熱して溶けており、上半身がずるりと滑り落ちた。
しかし『守護者』がその程度で倒されるはずもない。分断された上半身が、回転刃が取りつけられたアームをライアに突き出す。
「スキル【水龍の砲弾LvⅠ】、発動!」
「【我が分身よ】! そいつをぶっ飛ばしない!」
ルカの水撃が魔法紙によって激流となり、『守護者』の回転刃を大きく逸らす。その水流に飛び込んだリリンの分身が勢いをそのままに『守護者』を遠くへ蹴り飛ばした。
そんな彼女たちの下に、また別の『守護者』たちが迫ろうとしている。
「っ! スキル【風魔の大槍LvⅤ】、【雷神の――】」
咄嗟に三人の前へと飛び出し、私は対『守護者』用に開発した破壊と電撃を同時に行う魔法を唱えようとした。
……その時、『円』の残高が脳裏に思い出された。
せっかく貯めたのにがっつりと減ってしまった、あの金額……ここで魔法を唱えたらどこまで減ってしまうのだろう。その思考は隙となり、『守護者』の攻撃を許してしまう。
「おわっと、と、と――んにゃあっ!?」
連続で放たれる粘着弾。反応しきれず何発か当たってしまう。
当たった衝撃で背後へと吹っ飛び、「ぐはっ!?」ルカと激突。
「うわっ、まずいですよ、ミコナさん! すぐに離れないと!」
「も、もう硬化が……! にゅあああっ!」
地面に張り付いた粘着液を爪で切断し、完全に固まる前に立ち上がる。しかし、ルカと離れる前に硬化が終わってしまい、背中合わせの形で固定されてしまった。
「ミコナさん、次来ます! 次!」
ルカに言われ、私はぐいっと身を引いた。電磁ロッドの突きは躱せたものの、「ひぎゃっ!」とルカは壁に激突。再び銃撃が繰り出され、ルカを振り回す要領で躱すが、「ぶにゃっ!」勢いがつき過ぎて今度は私が壁に叩きつけられた。
「ちょっとあんたら何やってんの!?」
「動けない二人はライアたちの背後へ!」
リリンとライアが助けに来ようとする。しかしすぐ近くで戦っていた冒険者の一人が、
「うわあああ! す、スキル【炎鬼の剛腕LvⅡ】、発動ッ!!」
とヤケクソ気味に魔法を放った。
彼に襲いかかろうとしていた三体の『守護者』は爆炎に飲まれ、ばらばらになりながら吹っ飛んできた。私たちの方角に、である。
えっ!? と凍りつく私たち。
誰も反応できず爆風に巻き込まれ、私たちは背後へと吹っ飛ばされた。
そこにあるのは、『守護者』たちが出てきた格納庫の扉。
壁に叩きつけられた瞬間、格納庫全体が大きく揺れ、
「うわっ、この感覚……!」
「ちょ、ちょちょ、あたしたち浮いてない!?」
「みんな、ライアの鎧にしがみついて! 早く!!」
格納庫と思われたその箱型の空間はエレベーターだったらしい。巨塔中央を貫いている大柱の内側に設置されたレールを使い、各階に運ばれる仕組みのようだ。吹っ飛んだエレベーターから投げ出されたから、その構造が良く見える。
つまり、私たちは宙に投げ出されたということで、
「にゃあ、あ、あああああああっ……!!」
私たちは真っ逆さまに墜落した。
今後何作か完結作品を投稿予定。奈坂秋吾ツイッター(@nasaka_syugo2)
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