〜そして、陸へ~12.
ゆっくりと歩きながら、先刻とは違う部屋に着いた。
少し広さはなくなっているが、明るくてさっぱりした調度品の客室のようだった。
ウィルが持ってきてくれた軽食も、台車に乗せて運んできていた。
それを手早く、リーアが食べられるよう準備してくれた。
「どうぞ、こちらでお召し上がりください」
椅子に座るのを手伝ってから、飲み物のお代わりを取りに行くと、リーアが退室する。
ローラはふうと、一つ溜息をついた。急な部屋移動とはいえ、仮にも王宮の中を歩いたため、割りと距離があった。とはいえ、きっと普通に歩けばなんてことのない距離なのだろう。
ちらりと台車を見やる。コレがあれば、一人でも歩く練習ができそう。
そう考えると、あとでリーアに、暫く貸してもらえるか聞いてみることにする。
その時、キュウと自分の腹が鳴るのを聞いた。
考えてみれば、人の姿になってから、何にも食べていない。
薬湯と先程飲んだ果汁のみだ。
ローラには、見たことのない食べ物ばかりだったが、恐る恐る口に入れてみる。すると以外にも、口に合うものばかりだった。
おいしい!
まだ喉に違和感があるため、よく噛み、果物を中心に口に運ぶ。
ゆっくり、初めての食事を堪能しているうちに、リーアが果汁だけでなく、水やお茶などの準備もしてきてくれた。
「ローラ様、医師様が食後に薬湯を飲むようにと……」
や、やくとう!?
途端に昨日のことを思い出し、かっと赤面してしまう。
ローラのそんな様子に、何も知らないリーアが慌てて話しかける。
「だ、大丈夫ですか。何か喉に詰まりましたか?」
ローラの言うところの、『ゆでダコ』のような顔で、首を横に振った。
今更ウィルの柔らかな唇の感触を思い出したとは、とても言えたものではない。
その後、なんとか食事を済ませて、薬湯を喉に流し込むと、やっと人心地ついた。
先刻まで朝焼けに染まっていた部屋は、すっかり、朝の光が適度に差し込む位に落ち着いていた。
リーアが後片付けをしているのを見つめながら、ローラはふと尋ねてみる。
『あ、の……。ウィル、は……』




